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episode3 「風神の豪鬼」
episode3 #8「過去の自分と今の自分」
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足に重りを付けた炎美はもう既に疲れきっていた。
「どうした、兄ちゃん! まだ始まってすらいないでー! ガッハハハハハ!!」
豪鬼の大笑いが響く中炎美はゼエハアしながら足を一生懸命動かさそうとしていた。
「す、すいません! これはちょっと…流石…に…」
息切れしながら受け答えする炎美。足には20キロの重りを付けているせいで歩くのもシンドイ。
「うだうだ言うてても何も始まらんでー! この街一周するのに50キロはあるんやで!」
「ご、50キロ!!」
サラッと言われた衝撃の発言に驚愕の顔を隠し切れなかった炎美。
「せや! 中途半端な距離測るよりもそっちの方が分かりやすくてええやろ! ガッハハハハハ!!」
(最早、笑いどころじやない…)
炎美の心の中ではそう思っていた。
「ホラ、ボサッとしとらんで早よ走りーや! 時間は待ってくれへんでー!!」
どうやら豪鬼は本気でやらせようという腹積もりの様だ!
(…やるしかないのか…)
炎美は諦めた様子で走り出そうとしたが…
「ハア…ハア…ハア!」
重りが重過ぎて少し走っただけで息切れしてしまった。
「何や、早過ぎやろ! 兄ちゃん、どんだけ体力無いねん!!」
豪鬼は炎美の体力のなさに逆に驚いていた。
「流石にイキナリこのトレーニングはちょっとキツイんじゃないかと…」
「だらしないのー、こんなモン気合いで何とかせいや!」
「…えー!」
適当なアドバイスを送る豪鬼。
(気合いで何とかなるものではないけど…っていうか俺ってこんなに体力無かったの! 一体(記憶のある)前の俺ってどんだけ…)
そう思って時だった。
「…また記憶が無い事を言い訳にするんか?」
「え?」
不意に問われた炎美は豪鬼の方に振り向くと豪鬼は真剣な面持ちで炎美を見ていた。
「お前さん、柑菜と戦ってた時もそんなこと考えっとたやろ! だから、最初は逃げはってた」
「あ、あの…」
豪鬼は真顔で語り出し炎美の言葉も聞かず話続けた。
「ええか。今の自分は今の自分や! 分かるか?」
「?」
豪鬼の質問の意味が分からず首を傾げる炎美。
「過去の自分に戻る事は出来ん! なら今の自分がどうしたいかが大事なんやろ!! 今の自分の気持ちはどうや! 本当にココで終わりたいんか?」
豪鬼は炎美に近づき熱く語った。
炎美はいつも過去の自分がどんな人間だったのか? そんな事をいつも考えているうちにやがて出来ない事を記憶喪失のせいにしていた。
「俺の今の気持ちを言えばいいんですか?」
炎美は豪鬼の目を真っ直ぐ見つめて問いかけた。豪鬼は黙って小さく頷いた。
「---お願いします! 俺を強くして下さい!!」
炎美は豪鬼に深々と頭を下げた。
---そして炎美の地獄の強化月間を再開したのだった。
「どうした、兄ちゃん! まだ始まってすらいないでー! ガッハハハハハ!!」
豪鬼の大笑いが響く中炎美はゼエハアしながら足を一生懸命動かさそうとしていた。
「す、すいません! これはちょっと…流石…に…」
息切れしながら受け答えする炎美。足には20キロの重りを付けているせいで歩くのもシンドイ。
「うだうだ言うてても何も始まらんでー! この街一周するのに50キロはあるんやで!」
「ご、50キロ!!」
サラッと言われた衝撃の発言に驚愕の顔を隠し切れなかった炎美。
「せや! 中途半端な距離測るよりもそっちの方が分かりやすくてええやろ! ガッハハハハハ!!」
(最早、笑いどころじやない…)
炎美の心の中ではそう思っていた。
「ホラ、ボサッとしとらんで早よ走りーや! 時間は待ってくれへんでー!!」
どうやら豪鬼は本気でやらせようという腹積もりの様だ!
(…やるしかないのか…)
炎美は諦めた様子で走り出そうとしたが…
「ハア…ハア…ハア!」
重りが重過ぎて少し走っただけで息切れしてしまった。
「何や、早過ぎやろ! 兄ちゃん、どんだけ体力無いねん!!」
豪鬼は炎美の体力のなさに逆に驚いていた。
「流石にイキナリこのトレーニングはちょっとキツイんじゃないかと…」
「だらしないのー、こんなモン気合いで何とかせいや!」
「…えー!」
適当なアドバイスを送る豪鬼。
(気合いで何とかなるものではないけど…っていうか俺ってこんなに体力無かったの! 一体(記憶のある)前の俺ってどんだけ…)
そう思って時だった。
「…また記憶が無い事を言い訳にするんか?」
「え?」
不意に問われた炎美は豪鬼の方に振り向くと豪鬼は真剣な面持ちで炎美を見ていた。
「お前さん、柑菜と戦ってた時もそんなこと考えっとたやろ! だから、最初は逃げはってた」
「あ、あの…」
豪鬼は真顔で語り出し炎美の言葉も聞かず話続けた。
「ええか。今の自分は今の自分や! 分かるか?」
「?」
豪鬼の質問の意味が分からず首を傾げる炎美。
「過去の自分に戻る事は出来ん! なら今の自分がどうしたいかが大事なんやろ!! 今の自分の気持ちはどうや! 本当にココで終わりたいんか?」
豪鬼は炎美に近づき熱く語った。
炎美はいつも過去の自分がどんな人間だったのか? そんな事をいつも考えているうちにやがて出来ない事を記憶喪失のせいにしていた。
「俺の今の気持ちを言えばいいんですか?」
炎美は豪鬼の目を真っ直ぐ見つめて問いかけた。豪鬼は黙って小さく頷いた。
「---お願いします! 俺を強くして下さい!!」
炎美は豪鬼に深々と頭を下げた。
---そして炎美の地獄の強化月間を再開したのだった。
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