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第4章「実は私」
第16話「友達から」
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「有紗ー、ちょっといいか?」
俺は有紗の部屋のドアを2、3度ノックした。漫画とかではありがちだがノックもせずに勝手に部屋に入って女の子の着替えシーンを見てぶっ飛ばされるオチがあるが残念ながら今の俺は真剣に有紗と話がしたいから今回ばかりはその展開は期待するなよ!
「…何?」
するとゆっくりとドアが半分まで開きそこから有紗の顔が出てきた。彼女の表情を見るとどこか不安そうにしていた。どっちかというと俺が不安になるべきだと思うんだが。
「話があるんだけど、とりあえず入っていい?」
だが俺は不安になるどころか有紗にグイグイ迫るような態度をとった。だが決してやましいことを考えている訳では無い。
「ん…」
有紗は小さく返事をするとドアを開けて俺を迎え入れてくれた。ここ最近は俺に対する態度が嘘のように優しい。
それはそれで良いのだと思うが俺からすればどう接したらいいのか分からず調子が狂うのだ。
「話って何?」
俺が部屋に入るとすぐに質問を投げかける有紗。早く終わらしてしまいたいのだろうか? そうだとすると若干嫌われてる気がして辛いのだが。
「あのさ、返事なんだけど…もういいよ!」
「…えっ?」
有紗は俺の言っている意味が分からない様子だった。まあ分からないのも当然かもしれない。自分から告白して返事はいらないと言われたらそれは確かに意味が分からんよな。
「だからその代わりってのも変かもしれないけど、俺と…友達になってくれないか!?」
「え? ええ!?」
更に困った顔をする有紗もまた新鮮で可愛いかった。
「返事はもういいからとりあえず友達から始めないか!?」
困っている有紗に追い打ちをかけるように俺は懇願した。有紗は相変わらず困った顔をしているが今の状況を整理しているようだった。
俺と有紗の関係を今一度考えてみるとただの同級生でただの同居人だ。友人関係としてはまだ成立はしていなかった。だからここでその関係を結んでしまえばそこまで必死に考える必要はない。お互いがその気であればそれ以上の関係を結べばいいのだから。
「アンタと私が友達…」
有紗はようやく意味を理解出来たらしくぼそりと小言を呟いていた。すると突然、有紗の顔に笑みが浮かんでいた。
「分かったわ。じゃあこれからはアンタと私は友達同士ってことね」
「お、おう」
そこまで友達が増えて嬉しかったのか? それとも悩まずに済んだのが嬉しかったのか? それは分からないがでもこれで晴れて俺達は『友達』という間柄になった。
「じゃあアンタ、じゃなくて…」
「?」
すると有紗が何か言おうとしていたが口ごもってしまった。何を言おうとしたのだろうか?
「和彦、これからよろしくね」
そう言えば有紗に名前で呼ばれたことあったっけ? そうか、彼女は名前で呼びたかったのか。そんな彼女の姿はどこか儚くも見え美しくも見えた。
「ああ、よろしく」
そう言って俺と有紗は硬く握手を交わした。
「…イデデデデ!」
「ふふ♪」
忘れていたが有紗の握力は人間を辞めてしまうほどの威力だということに握手をしてから思い出したのだった。
俺は有紗の部屋のドアを2、3度ノックした。漫画とかではありがちだがノックもせずに勝手に部屋に入って女の子の着替えシーンを見てぶっ飛ばされるオチがあるが残念ながら今の俺は真剣に有紗と話がしたいから今回ばかりはその展開は期待するなよ!
「…何?」
するとゆっくりとドアが半分まで開きそこから有紗の顔が出てきた。彼女の表情を見るとどこか不安そうにしていた。どっちかというと俺が不安になるべきだと思うんだが。
「話があるんだけど、とりあえず入っていい?」
だが俺は不安になるどころか有紗にグイグイ迫るような態度をとった。だが決してやましいことを考えている訳では無い。
「ん…」
有紗は小さく返事をするとドアを開けて俺を迎え入れてくれた。ここ最近は俺に対する態度が嘘のように優しい。
それはそれで良いのだと思うが俺からすればどう接したらいいのか分からず調子が狂うのだ。
「話って何?」
俺が部屋に入るとすぐに質問を投げかける有紗。早く終わらしてしまいたいのだろうか? そうだとすると若干嫌われてる気がして辛いのだが。
「あのさ、返事なんだけど…もういいよ!」
「…えっ?」
有紗は俺の言っている意味が分からない様子だった。まあ分からないのも当然かもしれない。自分から告白して返事はいらないと言われたらそれは確かに意味が分からんよな。
「だからその代わりってのも変かもしれないけど、俺と…友達になってくれないか!?」
「え? ええ!?」
更に困った顔をする有紗もまた新鮮で可愛いかった。
「返事はもういいからとりあえず友達から始めないか!?」
困っている有紗に追い打ちをかけるように俺は懇願した。有紗は相変わらず困った顔をしているが今の状況を整理しているようだった。
俺と有紗の関係を今一度考えてみるとただの同級生でただの同居人だ。友人関係としてはまだ成立はしていなかった。だからここでその関係を結んでしまえばそこまで必死に考える必要はない。お互いがその気であればそれ以上の関係を結べばいいのだから。
「アンタと私が友達…」
有紗はようやく意味を理解出来たらしくぼそりと小言を呟いていた。すると突然、有紗の顔に笑みが浮かんでいた。
「分かったわ。じゃあこれからはアンタと私は友達同士ってことね」
「お、おう」
そこまで友達が増えて嬉しかったのか? それとも悩まずに済んだのが嬉しかったのか? それは分からないがでもこれで晴れて俺達は『友達』という間柄になった。
「じゃあアンタ、じゃなくて…」
「?」
すると有紗が何か言おうとしていたが口ごもってしまった。何を言おうとしたのだろうか?
「和彦、これからよろしくね」
そう言えば有紗に名前で呼ばれたことあったっけ? そうか、彼女は名前で呼びたかったのか。そんな彼女の姿はどこか儚くも見え美しくも見えた。
「ああ、よろしく」
そう言って俺と有紗は硬く握手を交わした。
「…イデデデデ!」
「ふふ♪」
忘れていたが有紗の握力は人間を辞めてしまうほどの威力だということに握手をしてから思い出したのだった。
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