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第2章「なんか色々とヤバい気がするんだが…」
第22話「諦めないから」
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俺達が帰宅している途中、俺のスマホから着信音が鳴っていた。俺は嫌な予感をしながらも電話に出た。
「はい、もしも…」
『もしもしじゃないです! 何で帰っちゃうんですかー!?』
嫌な予感は的中し須川さんからの電話だった。呑気に電話に出る俺に対し彼女の声は若干(じゃっかん)涙声になっていた。涙目になった須川さんの顔が頭に浮かぶ。
「いや、今日何か疲れたから早く休みたくって…」
『だからって話の途中で帰らないでください!』
珍しくちょっと怒ってる気もする。まあごもっともだが、それにしても怒と哀の情緒が不安定になってきているみたいだな。
『言っときますけど、私絶対に諦めませんからね!』
そりゃあそうか。何年も前から狙ってた獲物(ターゲット)を簡単に諦めてくれる訳ないか。
『それと1つお願いがあるんですけど…』
獲物にお願い事っておかしな話だと思うが一応聞いてみるか?
「お願いって?」
『私が吸血鬼だと言う事は誰にも言わないでください!』
彼女のお願いは俺が思ってるより簡単なものだった。何を思っていたかはご想像にお任せするが。
俺は有紗の方に視線を向け判断を仰ごうとした。どうやら話の内容は聞こえていたようで溜め息混じりに首を縦に振った。まあ言ったとしても信じてもらえないだろうし別にいっか。
「うん、分かったよ。絶対に言わないよ」
『本当ですか?』
「本当だって。友達のお願いなんだから当然だろう?」
『!?』
サラッと余計な一言を付け加えると数秒の間、沈黙の時間が訪れた。アレ? 本当に余計なことを言ってしまったか? ひょっとして友達だと思っていたのは俺だけだったか? だとすると俺、かなり恥ずかしいこと言ってる気がする。
『…ズルいです』
「え?」
何かボソッと小声で言ってたような気がするが聞き取れなかった。
『何でもありません。あともう1ついいですか?』
「何?」
『…本当にお友達だと思ってるんでしたらし、下の名前で呼んでください』
しかし彼女のお願いは俺が思ってるよりも簡単なものだった。何を思っていたかはご想像にお任せするが。
「分かったよ、み、みのり」
だが実際に言ってみると思いのほか恥ずかしかった。そういえば有紗の時もこんな気持ちになったような気がするが。
『ふふっ、それじゃあまた明日、和彦君♡』
どうやら機嫌を直してくれたようだ。ちゃっかり俺も下の名前で呼ばれて少しだけドキっとした。電話を切ると何故か有紗がソワソワしていた。
「??」
急にどうしたんだ? トイレでも近いのか? まさか女の子の日とか?!
「あんた、あいつといつの間に連絡先交換してたのね」
「え? ああ、色々あったんだよ!」
オタク趣味は2人の秘密になっているからとりあえずやんわりと誤魔化した。
「ふ~ん」
聞いといて何だよその態度。ん? 有紗の方をよく見ると上着のポケットから何か取り出そうとしていた。…ああ、なるほどね。
「連絡先交換するか?」
俺は自分のスマホを有紗の目の前に持ってきた。今思えば有紗の連絡先を俺は知らなかった。同棲(どうせい)していたから連絡する手段はあまり必要と感じていなかったからな。
「しょ、しょうがないわね」
本当に素直じゃない奴。まるで俺から聞いてきてるみたいじゃねーか。しょうがないのはコッチの方こそだよ。
こうして俺は美少女の連絡先をゲットし吸血鬼(?)の女の子とも奇妙な交友関係が生まれたのだった。
「はい、もしも…」
『もしもしじゃないです! 何で帰っちゃうんですかー!?』
嫌な予感は的中し須川さんからの電話だった。呑気に電話に出る俺に対し彼女の声は若干(じゃっかん)涙声になっていた。涙目になった須川さんの顔が頭に浮かぶ。
「いや、今日何か疲れたから早く休みたくって…」
『だからって話の途中で帰らないでください!』
珍しくちょっと怒ってる気もする。まあごもっともだが、それにしても怒と哀の情緒が不安定になってきているみたいだな。
『言っときますけど、私絶対に諦めませんからね!』
そりゃあそうか。何年も前から狙ってた獲物(ターゲット)を簡単に諦めてくれる訳ないか。
『それと1つお願いがあるんですけど…』
獲物にお願い事っておかしな話だと思うが一応聞いてみるか?
「お願いって?」
『私が吸血鬼だと言う事は誰にも言わないでください!』
彼女のお願いは俺が思ってるより簡単なものだった。何を思っていたかはご想像にお任せするが。
俺は有紗の方に視線を向け判断を仰ごうとした。どうやら話の内容は聞こえていたようで溜め息混じりに首を縦に振った。まあ言ったとしても信じてもらえないだろうし別にいっか。
「うん、分かったよ。絶対に言わないよ」
『本当ですか?』
「本当だって。友達のお願いなんだから当然だろう?」
『!?』
サラッと余計な一言を付け加えると数秒の間、沈黙の時間が訪れた。アレ? 本当に余計なことを言ってしまったか? ひょっとして友達だと思っていたのは俺だけだったか? だとすると俺、かなり恥ずかしいこと言ってる気がする。
『…ズルいです』
「え?」
何かボソッと小声で言ってたような気がするが聞き取れなかった。
『何でもありません。あともう1ついいですか?』
「何?」
『…本当にお友達だと思ってるんでしたらし、下の名前で呼んでください』
しかし彼女のお願いは俺が思ってるよりも簡単なものだった。何を思っていたかはご想像にお任せするが。
「分かったよ、み、みのり」
だが実際に言ってみると思いのほか恥ずかしかった。そういえば有紗の時もこんな気持ちになったような気がするが。
『ふふっ、それじゃあまた明日、和彦君♡』
どうやら機嫌を直してくれたようだ。ちゃっかり俺も下の名前で呼ばれて少しだけドキっとした。電話を切ると何故か有紗がソワソワしていた。
「??」
急にどうしたんだ? トイレでも近いのか? まさか女の子の日とか?!
「あんた、あいつといつの間に連絡先交換してたのね」
「え? ああ、色々あったんだよ!」
オタク趣味は2人の秘密になっているからとりあえずやんわりと誤魔化した。
「ふ~ん」
聞いといて何だよその態度。ん? 有紗の方をよく見ると上着のポケットから何か取り出そうとしていた。…ああ、なるほどね。
「連絡先交換するか?」
俺は自分のスマホを有紗の目の前に持ってきた。今思えば有紗の連絡先を俺は知らなかった。同棲(どうせい)していたから連絡する手段はあまり必要と感じていなかったからな。
「しょ、しょうがないわね」
本当に素直じゃない奴。まるで俺から聞いてきてるみたいじゃねーか。しょうがないのはコッチの方こそだよ。
こうして俺は美少女の連絡先をゲットし吸血鬼(?)の女の子とも奇妙な交友関係が生まれたのだった。
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