俺の高校生活に平和な日常を

プロローグ

　誰しもが一回はマンガやラノベのような世界になって欲しいと思ったことがあるかもしれない。特に小・中学生ぐらいの頃は。だが、現実はそう甘くはない。一度でもそんなことを思った奴がいたら今すぐ考えを改めた方がいい。
　突然、女の子と世界を救う為に異能力を使って怪物達と闘ったり、自分の才能で弱小校が強豪にまで上り詰めたり、難事件を次々と解決していったりetc….. 

　俺佐藤 和彦（さとう かずひこ）は今でもそうなって欲しいと願っている。俺の秘めた力で強敵達を倒して女の子達とハーレムな展開があったり、なんてことを期待している。しかし、現実はそう甘くない。そんなことが起こるはずがないのだ。

我ながら恥ずかしい話だが、妄想力の豊富さが俺の唯一の取り柄である。妄想こそが生き甲斐だといっても過言じゃない。まあ、ぶっちゃけて言うと俺にはそれしかないのだが…、なんだろう、自分で言ってて悲しくなってきた。

　だが万が一、イヤ億が一、兆が一そんな世界になったとしても問題が幾つか生じてしまう。まず一つ目に俺は非モテ男子だということ。ハーレムとは程遠い存在だし。二つ目、妄想力はあるくせにそれを上手く活用できないということ。行動を移す度胸なんてあるわきゃない。三つ目、そもそも自分がそんな世界に放り込まれたらどうしたらいいのかわからないということだ。絶対パニくる。

　この三つの問題を解決しない限り、俺があんな世界で主人公になり得るなんて絶対にありえない。

　さて、話は少し長くなったが、そんな俺の平和な日常はあの日、彼女との出会いによってそんな俺の日常は劇的に変わり始める。

　それは2016年4月6日のことであった。あの日のことは生涯忘れる事はないだろう…と思う。