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第11章「異世界編、始まる」
第71話「シルヴィアさんとの再会」
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---「…んんっ」
再び目を覚ました俺は日傾計を確認してみると、日傾計は黄色から赤色に変わりそうになっていた。どうやらたっぷり寝ていたらしい。今日は休みとはいえ半日も寝て過ごすのはさすがにマズいな。おかげで身体の節々や頭が痛い。
腹も減ってきたし、とりあえずなにか口にしたいと思った俺はとりあえずベッドから起き上がることにした。もうすぐ夕方だというのに寝癖を立たせているのはこの世界ではおそらく俺くらいだろうな。
しかし、寝癖を手櫛で適当に直し、風呂も入らないどころか服装も昨日のままで俺は部屋を出た。今は身だしなみよりなにか食べたいという欲求に駆られていた。まあ風呂はなんか食った後でも大丈夫だろうし。
---「ーーー」
いつもの食事場に行こうと下の階に降りたら下の階から話し声が聞こえてきた。アリアさんともう1人聞き覚えのある声がする。
「あっ」
「んー?」
そのまま降りていると、受付の方でだれかと話し合っているアリアさんがいた。降りてくる音が聞こえたのか、こっちの方に視線を移したアリアさんと目が合った。
「カズヒコさーん、おはよーございまーす!」
「お、おはようざいます」
アリアさんは俺が寝起きだとすぐに気づいたようで、夕方なのに朝のあいさつをしてきた。からかわれているのかもしれんが、いちおう俺も朝のあいさつで返事を返した。なんか恥ずいな。
「こんな遅くになってから起床するとは、随分と気が弛んでいるな、カズヒコ」
「ッ!? シ、シルヴィアさん?!」
俺とアリアさんがあいさつを交わし終えると、横からシルヴィアさんがため息混じりに呆れた口調で話に入ってきた。久しぶりにシルヴィアさんを見た俺はふとあのときのシルヴィアさんの下着姿が脳内でフラッシュバックされた。なんか途端に気まずくなってきたが、シルヴィアさんはあのときのことをまったく覚えてはいなさそうだった。酔っていたしな。
「お、お久しぶり、です!」
「ああ、久しぶり。1ヶ月以上は会ってなかったか? 君達の噂は予々聞いてはいたが、もうそんなに会っていなかったか」
「噂、ですか」
シルヴィアさんのいう噂はなんとなく知っている。最近ギルドでも俺達が来ると、こそこそとその話題が始まるようになった。イブリートさんに至ってはこそこそせずに堂々と俺達に向かって「今日のゴブリン、どうやったー?」と、「今日の朝のうらない、どうだったー?」ぐらいのノリで聞いてくる始末。ぶっちゃっけ、ほとんど有紗が瞬殺で片付けてしまうからなにも変わらんのだけど。
「ゴブリンは冒険者にとっては取るに足りない存在だが、村の人達からすれば魔王やドラゴンよりも恐ろしい存在だ。だから、君達には感謝しているよ」
「ッ!? い、いえ、そんな…」
そんな変な噂を聞いて皮肉でも言われるのかと思いきや、その逆に感謝の言葉を述べるシルヴィアさん。まさか感謝されるとは思わず、反応に若干困ってしまった。感謝されることはうれしいことなのだが。
「しかし、休日にそのだらし無い格好で彷徨(うろつ)くのはあまり関心しないな」
「ゔっ!? す、すいません」
だが、シルヴィアさんが発した次の言葉は俺の身だしなみに対しての指摘注意だった。ぐうの音も出なくて思わず謝ってしまった。
「んーでもー、この間ーシルヴィアちゃんー、訓練にー遅刻したーってー聞いたよー」
「なっ!?」
しかし、アリアさんからまさかの密告にシルヴィアさんは顔を真っ赤にした。どうやらその話は本当のことのようだ。
「あっ、あれは、その、だな…」
「どうせまたーお酒飲んでー寝坊したんでしょー?」
「ゔっ!?」
「シルヴィアちゃんってばー、あんまりお酒ー得意じゃないのにー、見栄張ってー無理にー飲んだりーするもんねー♡」
「ぐっ!?」
アリアさんに精神的に追い討ちをかけられるシルヴィアさんは胸が苦しそうだった。人を棚にあげた結果だな。
「…あれ? それって俺達の歓迎会してくれたときの話ですか?」
「……」
アリアさんの追い討ちを聞いてふとあの日のことを思い出した。たしかにあのときそこまで飲んでいなかったが、俺を抱き枕と勘違いするレベルに酔っ払ってたな。そのせいで俺が痛い目を見る羽目になってしまったのだが。
しかし、俺の問いかけに俯いたままコクンと首を縦に振るシルヴィアさんがちょっと可愛くてそれ以上問い詰める気は起きなかった。
「うふふふー♡ さーてっとー、シルヴィアちゃん弄りはーここまでにーしておいてー、軽ーめのーおにぎりでもー作ってー来ますねー!?」
「あっ、はい!? すいません、ありがとうございます!」
シルヴィアさんをからかい終わったアリアさんは俺のために軽食を作りに厨房に向かって行った。
再び目を覚ました俺は日傾計を確認してみると、日傾計は黄色から赤色に変わりそうになっていた。どうやらたっぷり寝ていたらしい。今日は休みとはいえ半日も寝て過ごすのはさすがにマズいな。おかげで身体の節々や頭が痛い。
腹も減ってきたし、とりあえずなにか口にしたいと思った俺はとりあえずベッドから起き上がることにした。もうすぐ夕方だというのに寝癖を立たせているのはこの世界ではおそらく俺くらいだろうな。
しかし、寝癖を手櫛で適当に直し、風呂も入らないどころか服装も昨日のままで俺は部屋を出た。今は身だしなみよりなにか食べたいという欲求に駆られていた。まあ風呂はなんか食った後でも大丈夫だろうし。
---「ーーー」
いつもの食事場に行こうと下の階に降りたら下の階から話し声が聞こえてきた。アリアさんともう1人聞き覚えのある声がする。
「あっ」
「んー?」
そのまま降りていると、受付の方でだれかと話し合っているアリアさんがいた。降りてくる音が聞こえたのか、こっちの方に視線を移したアリアさんと目が合った。
「カズヒコさーん、おはよーございまーす!」
「お、おはようざいます」
アリアさんは俺が寝起きだとすぐに気づいたようで、夕方なのに朝のあいさつをしてきた。からかわれているのかもしれんが、いちおう俺も朝のあいさつで返事を返した。なんか恥ずいな。
「こんな遅くになってから起床するとは、随分と気が弛んでいるな、カズヒコ」
「ッ!? シ、シルヴィアさん?!」
俺とアリアさんがあいさつを交わし終えると、横からシルヴィアさんがため息混じりに呆れた口調で話に入ってきた。久しぶりにシルヴィアさんを見た俺はふとあのときのシルヴィアさんの下着姿が脳内でフラッシュバックされた。なんか途端に気まずくなってきたが、シルヴィアさんはあのときのことをまったく覚えてはいなさそうだった。酔っていたしな。
「お、お久しぶり、です!」
「ああ、久しぶり。1ヶ月以上は会ってなかったか? 君達の噂は予々聞いてはいたが、もうそんなに会っていなかったか」
「噂、ですか」
シルヴィアさんのいう噂はなんとなく知っている。最近ギルドでも俺達が来ると、こそこそとその話題が始まるようになった。イブリートさんに至ってはこそこそせずに堂々と俺達に向かって「今日のゴブリン、どうやったー?」と、「今日の朝のうらない、どうだったー?」ぐらいのノリで聞いてくる始末。ぶっちゃっけ、ほとんど有紗が瞬殺で片付けてしまうからなにも変わらんのだけど。
「ゴブリンは冒険者にとっては取るに足りない存在だが、村の人達からすれば魔王やドラゴンよりも恐ろしい存在だ。だから、君達には感謝しているよ」
「ッ!? い、いえ、そんな…」
そんな変な噂を聞いて皮肉でも言われるのかと思いきや、その逆に感謝の言葉を述べるシルヴィアさん。まさか感謝されるとは思わず、反応に若干困ってしまった。感謝されることはうれしいことなのだが。
「しかし、休日にそのだらし無い格好で彷徨(うろつ)くのはあまり関心しないな」
「ゔっ!? す、すいません」
だが、シルヴィアさんが発した次の言葉は俺の身だしなみに対しての指摘注意だった。ぐうの音も出なくて思わず謝ってしまった。
「んーでもー、この間ーシルヴィアちゃんー、訓練にー遅刻したーってー聞いたよー」
「なっ!?」
しかし、アリアさんからまさかの密告にシルヴィアさんは顔を真っ赤にした。どうやらその話は本当のことのようだ。
「あっ、あれは、その、だな…」
「どうせまたーお酒飲んでー寝坊したんでしょー?」
「ゔっ!?」
「シルヴィアちゃんってばー、あんまりお酒ー得意じゃないのにー、見栄張ってー無理にー飲んだりーするもんねー♡」
「ぐっ!?」
アリアさんに精神的に追い討ちをかけられるシルヴィアさんは胸が苦しそうだった。人を棚にあげた結果だな。
「…あれ? それって俺達の歓迎会してくれたときの話ですか?」
「……」
アリアさんの追い討ちを聞いてふとあの日のことを思い出した。たしかにあのときそこまで飲んでいなかったが、俺を抱き枕と勘違いするレベルに酔っ払ってたな。そのせいで俺が痛い目を見る羽目になってしまったのだが。
しかし、俺の問いかけに俯いたままコクンと首を縦に振るシルヴィアさんがちょっと可愛くてそれ以上問い詰める気は起きなかった。
「うふふふー♡ さーてっとー、シルヴィアちゃん弄りはーここまでにーしておいてー、軽ーめのーおにぎりでもー作ってー来ますねー!?」
「あっ、はい!? すいません、ありがとうございます!」
シルヴィアさんをからかい終わったアリアさんは俺のために軽食を作りに厨房に向かって行った。
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