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第11章「異世界編、始まる」
第59話「粗相のないように」
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---「ど、どうですか? 痛くないですか?」
「は、はい!? 大丈夫です!?」
「そうですか。痛かったり痒かったりしたら遠慮せずに言って下さいね」
「わ、わかりました」
サキさんが俺の背中をボディタオルで丁寧に洗っているなか、俺はガチガチに緊張して背筋がピンと立っていた。
緊張し過ぎるあまり、その緊張が自分の息子にまで伝達してしまい、身動きが取りづらくなってしまった。今絶対に立てない。
「カズヒコさん」
「っ!? はい?!」
そんななか、サキさんから再び声をかけられた。まさかバレたか?
「どうしてアリサさんを庇ったんですか?」
「えっ?」
と思っていたが、思っていたこととかなり違うことを問いかけられた。急に話が切り替わり過ぎて驚いてしまった。
「あっ、いえ。今のは悪口とかではなくて純粋な疑問と言いますか。失礼な事を言ってしまうかもしれませんけど、カズヒコさんあまり身体を鍛えられて無いとお見受けします」
「ゔっ!?」
サキさんは申し訳ないと思いながらも俺の痛いところを突いてきた。事実だからなにも言い返しようがない。
「だから、そんな人が誰かの為に身体を張る理由が判らないんです。下手したら自分が死ぬかも知れないのに。そこまでしてカズヒコさんを動かす動機ってなんなんですか?」
「……」
それからサキさんは俺に対して問いかけてきた。そんなこと考えたことなかったが、サキさんに言われてふと考えてみた。
「そこまでたいそうな動機はなかったと思います。有紗が俺を庇ってくれて、それで傷ついた有紗を見たら今度は俺が助けなきゃと思っただけです」
「もしかしたらモンスターに殺されてしまったかも知れませんよ? 怖く無かったんですか?」
「もちろん死ぬのは怖かったですけど、だれかが目の前で死ぬ方が俺は嫌なんです。人が死ぬ姿なんてできる限り見たくありませんから」
少し考えていたら、考えていたことを自然と口に出していた。
改めて考えてみたが、そんなたいそうな動機はなかったかもしれない。有紗が命を張って助けてくれたから今度は自分が助ける番だと思った。
無論、死ぬのはものすごく怖い。けど、それ以上に人が死ぬ姿を見る方が俺は怖かった。動機なんてそれだけだ。
「やっぱりカズヒコさんはお優しい方なんですね。自分の命よりも他人の命を優先してしまうなんて。冒険者の鑑ですね」
「い、いや、俺、そんなたいそうな人なんかじゃあ…」
「けど、これだけは忘れないで下さい」
「?」
サキさんは俺の話を聞いて称賛の言葉を送るが、それと同時に他になにか言いたいことがあるようだ。
「カズヒコさんの命は1人のものではありません。それが失われてしまえば、悲しむ人達が必ず出てきます。だから、自分の命も大事にして下さい」
「ッ!?」
サキさんの言葉に俺は返す言葉が出てこなかった。そういえばそんなことあんまり考えたことなかったな。俺ってやっぱりバカだな。
「教えてくれてありがとうございます。これからは気をつけ…」
そのことに気づかせてくれたサキさんにとりあえずお礼をしようと俺はふと後ろを振り返った。
「っ!? サ、サキさん?!」
「はい?! ど、どうかしましたか?」
後ろを振り返った途端、とんでもないものを見てしまい、思わず声をあげた。それに驚くサキさん。
そんなサキさんの身体に巻かれているバスタオルが湯船に浸かったせいで重くなったからか、少し下にズレていた。
ズレたことにより、本来隠れている胸の部分がちょっとだけ見えてしまっている。それを俺は見てしまったのだ。水滴が谷間の中に滑り落ちていくところが妙にエロさを感じる。
「そ、その、えっと、タオルが、少し、下に…」
「えっ?」
とりあえず俺はサキさんに伝えようとしたが、ストレートに言うのがなんだか恥ずかしくて言葉が詰まってしまった。
だがしかし、サキさんはなんとなく伝わったようで自分の身体の方に視線を移した。
「ッ!?」
自分の姿を確認すると、一瞬で顔が真っ赤になるサキさん。
「す、すいま、きゃっ!?」
「うおっ?!」
慌てふためくサキさんは直そうとしたのか立ち上がろうとしたが、慌てすぎて足を滑らせ、俺のところに倒れてきた。そんなサキさんを反射的に受け止めた。
「サキさん、大丈夫…」
「す、すいません。つい慌てちゃっ…」
サキさんを受け止めた俺はサキさんに声をかけると、サキさんはお礼を言おうとした。
「ッッ!?!?」
「ッッ!?!?」
のだが、受け止めたサキさんのバスタオルがいつのまにか脱げており、その上お互いの上半身が密着していて、サキさんの胸の感触を直に感じていた。
「あ、あ…」
すると、サキさんの顔が一層赤くなっていき、若干涙目になっている。
「ごめんなさーーーーい!!」
そして、サキさんは俺を振り払い、慌てて風呂場を出ていった。
『くれぐれも粗相のないように』
風呂場に取り残された俺の頭にみのりの言葉が脳内再生されていた。どうしてこうなった?
「は、はい!? 大丈夫です!?」
「そうですか。痛かったり痒かったりしたら遠慮せずに言って下さいね」
「わ、わかりました」
サキさんが俺の背中をボディタオルで丁寧に洗っているなか、俺はガチガチに緊張して背筋がピンと立っていた。
緊張し過ぎるあまり、その緊張が自分の息子にまで伝達してしまい、身動きが取りづらくなってしまった。今絶対に立てない。
「カズヒコさん」
「っ!? はい?!」
そんななか、サキさんから再び声をかけられた。まさかバレたか?
「どうしてアリサさんを庇ったんですか?」
「えっ?」
と思っていたが、思っていたこととかなり違うことを問いかけられた。急に話が切り替わり過ぎて驚いてしまった。
「あっ、いえ。今のは悪口とかではなくて純粋な疑問と言いますか。失礼な事を言ってしまうかもしれませんけど、カズヒコさんあまり身体を鍛えられて無いとお見受けします」
「ゔっ!?」
サキさんは申し訳ないと思いながらも俺の痛いところを突いてきた。事実だからなにも言い返しようがない。
「だから、そんな人が誰かの為に身体を張る理由が判らないんです。下手したら自分が死ぬかも知れないのに。そこまでしてカズヒコさんを動かす動機ってなんなんですか?」
「……」
それからサキさんは俺に対して問いかけてきた。そんなこと考えたことなかったが、サキさんに言われてふと考えてみた。
「そこまでたいそうな動機はなかったと思います。有紗が俺を庇ってくれて、それで傷ついた有紗を見たら今度は俺が助けなきゃと思っただけです」
「もしかしたらモンスターに殺されてしまったかも知れませんよ? 怖く無かったんですか?」
「もちろん死ぬのは怖かったですけど、だれかが目の前で死ぬ方が俺は嫌なんです。人が死ぬ姿なんてできる限り見たくありませんから」
少し考えていたら、考えていたことを自然と口に出していた。
改めて考えてみたが、そんなたいそうな動機はなかったかもしれない。有紗が命を張って助けてくれたから今度は自分が助ける番だと思った。
無論、死ぬのはものすごく怖い。けど、それ以上に人が死ぬ姿を見る方が俺は怖かった。動機なんてそれだけだ。
「やっぱりカズヒコさんはお優しい方なんですね。自分の命よりも他人の命を優先してしまうなんて。冒険者の鑑ですね」
「い、いや、俺、そんなたいそうな人なんかじゃあ…」
「けど、これだけは忘れないで下さい」
「?」
サキさんは俺の話を聞いて称賛の言葉を送るが、それと同時に他になにか言いたいことがあるようだ。
「カズヒコさんの命は1人のものではありません。それが失われてしまえば、悲しむ人達が必ず出てきます。だから、自分の命も大事にして下さい」
「ッ!?」
サキさんの言葉に俺は返す言葉が出てこなかった。そういえばそんなことあんまり考えたことなかったな。俺ってやっぱりバカだな。
「教えてくれてありがとうございます。これからは気をつけ…」
そのことに気づかせてくれたサキさんにとりあえずお礼をしようと俺はふと後ろを振り返った。
「っ!? サ、サキさん?!」
「はい?! ど、どうかしましたか?」
後ろを振り返った途端、とんでもないものを見てしまい、思わず声をあげた。それに驚くサキさん。
そんなサキさんの身体に巻かれているバスタオルが湯船に浸かったせいで重くなったからか、少し下にズレていた。
ズレたことにより、本来隠れている胸の部分がちょっとだけ見えてしまっている。それを俺は見てしまったのだ。水滴が谷間の中に滑り落ちていくところが妙にエロさを感じる。
「そ、その、えっと、タオルが、少し、下に…」
「えっ?」
とりあえず俺はサキさんに伝えようとしたが、ストレートに言うのがなんだか恥ずかしくて言葉が詰まってしまった。
だがしかし、サキさんはなんとなく伝わったようで自分の身体の方に視線を移した。
「ッ!?」
自分の姿を確認すると、一瞬で顔が真っ赤になるサキさん。
「す、すいま、きゃっ!?」
「うおっ?!」
慌てふためくサキさんは直そうとしたのか立ち上がろうとしたが、慌てすぎて足を滑らせ、俺のところに倒れてきた。そんなサキさんを反射的に受け止めた。
「サキさん、大丈夫…」
「す、すいません。つい慌てちゃっ…」
サキさんを受け止めた俺はサキさんに声をかけると、サキさんはお礼を言おうとした。
「ッッ!?!?」
「ッッ!?!?」
のだが、受け止めたサキさんのバスタオルがいつのまにか脱げており、その上お互いの上半身が密着していて、サキさんの胸の感触を直に感じていた。
「あ、あ…」
すると、サキさんの顔が一層赤くなっていき、若干涙目になっている。
「ごめんなさーーーーい!!」
そして、サキさんは俺を振り払い、慌てて風呂場を出ていった。
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風呂場に取り残された俺の頭にみのりの言葉が脳内再生されていた。どうしてこうなった?
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