俺の高校生活に平和な日常を

慶名 安

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第11章「異世界編、始まる」

第54話「レベル上げも簡単ではない」

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 「レベル100ってそんなに難しいものなんですか?」

 サキさんの話を聞いてみのりがサキさんに問いかけた。たしかにコツコツやっていけばイケなくはなさそうだが、レベル上げってそこまで難しいものなのだろうか?

 「そうですね。レベルが上がる毎に次のレベルに必要な経験値が多くなります。そうなると経験値の低い低レベルのモンスターでは中々レベルが上がり辛く効率が悪くなります」

 「となると、経験値の高い高レベルのモンスターの方を狩った方がいいという考え方になりますね」

 「ですが、高レベルのモンスターはかなり手強いですし、そんなに何度も戦える相手ではありませんからね。心身共に疲労は溜まりますし」

 「なるほど。たしかにそうですね」

 みのりの問いかけに返すサキさんの発言を聞いて納得させられた。それと同時に俺達の考えが甘すぎると再認識させられた。

 俺達の考え方はRPGのようにひたすら敵を倒す→HPやMPがある程度減ってきたら回復する→敵を倒す→回復する→倒す、みたいな作業的なものを想像していたが、現実だとそうはいかない。

 身体を動かせば肉体にも精神にも多少なりとも疲労が溜まる。

 特にモンスターとの戦闘はかなり疲弊する。現に俺もベオウルフマンとの戦闘で心身共に疲弊しきっているしな。

 疲労は回復魔法でも回復しないから身体を休ませない限り、どんどん疲労は蓄積されていく。

 そんな状態で戦闘なんかし続けたらいずれ身体になにかしらの異変が起きるだろう。

 そんなのが戦闘中に起きればほぼ間違いなくモンスターにやられてしまうだろう。そう考えると、この世界でのレベル上げは決して簡単ではないようだ。

 でも、それだけレベル上げが困難な世界で100も上げられるイブリートさんやナターシャさんは只者じゃないな。ついさっきまで共に行動していた人達が急にはるか遠い存在のように思えてきて少し寂しさを感じた。

 「とりあえず後日、本部の方に今回の件を書類で送って判断を仰ぎますね」

 「対策はできるんですか?」

 「一応村の設備を強化したり、マヒリそうという麻痺毒性のある草を周辺に植えとけば、大丈夫だと思います。マヒリ草は匂いを嗅ぎ過ぎると身体が麻痺してしまうので鼻の良いウルフ系のモンスターは迂闊に近寄って来ない筈です」

 「そ、それはすごい、ですね…」

 話は変わり、今回の件についてサキさんはギルド本部に報告し村の防衛を強化してもらうよう要請してくれるらしい。とりあえず村は安全になるだろうが、マヒリ草っていかにもマヒリそうな名前だな。

 そんなこんなで話し合いは終わりを迎えたのだった。
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