俺の高校生活に平和な日常を

第9章「淫らな風紀委員長？」

第4話「受け入れてくれますか？」

　「っ！？　突き飛ばした？！　な、なんで？」

　綴さんの衝撃の告白に俺は驚愕させられた。大事な親友だと言っているが、一体、どうして親友を川に突き飛ばしたりなんかしたのだろう？

　「それは全部、私のせいなんです。サモナーを目指している者であれば知っていて当然のルールを守れず、そのせいで親友に司の正体がバレてしまいました。親友はとても優しく、クラスでも人気のあるようないい子でした。しかし、司が普通の人間でないと知ると、私達に恐怖心を抱き、威嚇するように睨みつけ、正直話そうとすると罵詈雑言を浴びせてきました」

　「……」

　俺は綴さんの言葉を自分なりに妄想してみたが、あまりにもひどい光景だということは俺にでも理解できた。

　優しかった親友がそこまで豹変してしまうほど司君のようなものは受け入れてはもらえなかった。

　それが綴さんにとってどれだけの苦痛だったか、おそらく俺達では想像できないだろう。

　「だから、その親友の人を川に突き飛ばしたの？」

　「それもありますけど、彼女が警察に連絡を入れようとしたのを阻止するためというのが一番の理由でしたね」

　「警察にバレると余計事態が悪化しかねないしね」

　俺の問いかけに綴さんが答えると、それに有紗はフォローするように言い付け加えた。

　けど、有紗の言う通り、警察に知られてしまうとただごとでは済まなくなるというのは俺でも理解できる。

　「で？　その親友はどうなったの？」

　そして有紗は1番重要なことを綴さんに問いかけた。川に突き飛ばしたというが、そのあとどうなったのだろうか？

　「川に突き飛ばしたと言いましたが、正確には河川敷から川に向かって突き飛ばしたので、川には落ちていませんでした。けど、頭を強く打ったせいでその日の記憶を無くしていました」

　「それって記憶喪失ってこと？」

　俺の疑問に綴さんはこくりと頷いた。こういうのは不幸中の幸いというべきなのだろうか？

　「そんな彼女を見て最初はホッとしていました。けれど、いずれ思い出してしまうのではないかと思うと怖くなってしまって」

　「なるほど。それで転校することになったのね？」

　「…はい」

　「……」

　---綴さんの話を聞き終えるとしばらく沈黙の空気が流れていた。あんな話を聞いた後でなんと言えばいいのか、俺にはわからなかった。多分、有紗も同じ気持ちなのだろう。「大丈夫だよ！」とか軽々しく言える話ではないしな。

　「…ますか？」

　「…えっ？」

　そんなときだった。綴さんがなにかを呟くのが聞こえた。

　しかし、その声はあまりにもか細かった。綴さんの方を見ると、綴さんの目には涙が零れ落ちていた。

　「こんな最低な私でも、2人は受け入れてくれますか？」

　そして、綴さんは泣きながら俺達にそう問いかけてくるのだった。