俺の高校生活に平和な日常を

第8章番外編「私の罪」

第12話「アクシデント」

　---「あっ、雨降ってきちゃったね」

　家路につく道中、曇り空から大量の雨が降ってきた。今日の天気は１日中曇りになると予報で出ていたが、降水確率は割と低かったから、3人とも傘を持ち合わせてはいなかった。ショッピングに行くから荷物がかさばるだろうと彩香も言っていたし。

　今思えば折りたたみ傘でも鞄かどこかに持ち歩いておけばよかったのだが、そのときの私達にはそういう発想はなかった。

　「2人とも、早く早く！　急いで！？」

　私達は急いで家に帰ろうと走って帰ることにしたのだが、荷物が重くて中々走るのがキツかった。こんなに重いとは思わなかった。

　「ハア…ハア…ハア…」

　息切れさせながらもとにかく私達は私の家に向かって走り続けていた。多分、私の家まではあと5分くらいだと思うが。

　「ハア、ハア、あ、あと、もうちょっとだから、ハア、2人とも早…」

　「ゔぇっ！？」

　「ッ！？　司！？」

　「司君！？」

　息切れを起こす中、河川敷を走りながら私は2人に声をかけていた。もう全身びしょ濡れで、服に吸収された水分が余計に重く感じる。このままだと明日は風邪を引いてしまうかもしれない。

　そんなとき、アクシデントが起こってしまった。

　1番後ろを走っていた司がおもいっきり転んでしまったのだ。

　私と彩香はすぐに後ろを振り返り司の元へ駆け寄って行った。

　「司君！？　大丈…」

　司に近かった彩香は私よりも早く司の元にたどり着いた、のだったが、司に手を差し伸べようとした途端、差し伸べようとした手をすぐに引っ込めた。

　「？　彩香？」

　そんな奇妙な行動をとった彩香に私は近づき、顔を恐る恐る覗いてみることにした。急にどうしたんだろうか？

　「……」

　「ッ！？　彩香？！」

　すると、彩香の顔が真っ青になっているのが見えたのだ。まるで恐ろしいものでも目撃してしまったかのように血の気が引いていた。さっきまで楽しそうに話していた彩香だが、完全に言葉を失っていた。

　そんな彩香を見て私は司の方に視線を移した。司になにかあったのだろうか？

　「ッ！？」

　すると、司の様子を見て、私も血の気が引いてしまった。私の場合、恐ろしいものを目撃してしまったというより、嫌な予感がして血の気が引いていた。

　倒れている司の頭と身体が分離していたのだ。まるで頭の取れた人形のように倒れている司を見て、彩香は顔を真っ青にし絶句していた。

　「…んんっ…」

　「ッ！？」

　私と彩香が青ざめている中、頭と身体が分離したはずの司からかすかに奇妙な呻き声が聞こえてくるのだった。