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第8章番外編「私の罪」

第6話「不二宮司」

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 ---「あなた、本当に召喚獣?」

 「そうっスよ! っていうことは、あなたがオイラのご主人ってことでいいんスよね?」

 「えっ、ええ。多分…」

 召喚の儀式が無事終わった私は脱力感を感じていた。

 疲れたからという理由もあるけど、1番の理由はやはりこの少年、いや、この召喚獣にある。

 ぽっちゃりした体型に幼い顔立ち。側から見ても中学男子にしか見えない。

 召喚獣といえばもうちょっと禍々しい姿をしたイメージがあった。しかし、理想と現実は違うのだということをこの少年を見て思わざるを得ない。

 「…ハア…」

 「? どうしたんスか?」

 「いえ、なんでもないわ」

 少年を見て思わずため息がこぼれた。これを果たして成功したと言っていいのだろうか?

 「…よし」

 「??」

 しかし、儀式は終わった。そして召喚獣もこうして現れた。なら、これ以上文句を言っても仕方ない。そう自分に言い聞かせ、私は気持ちを切り替えようと軽く自己紹介を始めることにした。

 「おほん。私は不二宮綴と言います。これからあなたの主人になりますので、あなたのことを聞かせてもらってもいいかしら?」

 軽い紹介を終えた私は今度は少年に問いかけてみた。契約する以上、なんの種族なのかぐらいは把握しておく必要があるためだ。

 「オイラのことっスか? オイラの種族は不死者(アンデット)っスよ!」

 「アンデット? っていうことは、あなたは不死の能力を持っているということですか?」

 「そうっスよ!」

 「……」

 元気よくそう返してくる少年だが、私はどう返していいか困惑していた。

 アンデットの不死の能力はたしかに強力な能力かもしれない。何度も蘇るからね。

 しかし、アンデットは基本的に『不死の能力だけ』しかないのだ。いくら死なないとはいえ戦力にならなければ意味がない。

 「あなた、他に特殊な能力とかは持っていないの?」

 「その前に1つだけいいっスか?」

 「? なに?」

 私がさらに問いかけると、少年は話を遮り私になにか物申したいようだ。なにか気になることでもあるのだろうか? まあ召喚されたばかりだから、気になることは山ほどあるだろうが。

 「その『あなた』っていう呼びかた、変えて欲しいというか、名前が欲しいんスけど?」

 「…えっ?」

 どうやら少年は私の少年に対する呼びかたに物申したいようだ。たしかに今後も一緒にいるとなると呼び名は重要なってくる。

 『あなた』と呼ぶのも変だし『アンデット』というのもしっくりこない。やっぱり、名前は必要みたい。

 「そうね。なら、『司』なんてどうかしら? これからは私があなたを司ることになるから、名前としてはちょうどいい思うけど」

 「司っスか? いいっスね! なんかかっこいいっス!!」

 「そう。ならよかった。じゃああなたは今日から『不二宮司』ね」

 こうして不二宮司は誕生したのだった。
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