俺の高校生活に平和な日常を

慶名 安

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第6章「ようこそ愛ヶ咲島」

第21話「いざ海へ!」

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 2016/7/31

 ---「和彦君、昨日は大丈夫でしたか?」

 「ん? んー、ダメだ。全然思い出せないな。俺昨日、何してたっけ?」

 愛ヶ咲島2日目、最悪な初日を終えた俺は、露天風呂の件のことについては何も覚えていないというていで過ごしていた。墓穴を掘らないようにとりあえず頭を抱え思い出せないの一点張りで貫いていた。しかしみんな思いのほか信じてくれているようだ。

 「えっ? ええと、たしか、そう! お風呂場で滑って頭を打ったんですよ! そうですよね、梓さん?!」

 「えっ?! そ、そう! お兄ちゃんが倒れてたから、みんな、慌てて従業員さん呼びに行ったんだよ!」

 「そ、そうなのか」

 無論、みのりと梓が嘘をついているのを承知の上で乗っかっていた。必死に説明する様が妙におかしくて、笑いを堪えるこっちの方が必死だった。ちなみに有紗とイーリスちゃんは完全に無関心で、2人とも黙々と今日の朝飯を頬張っていた。あれだけ怒り心頭だった2人だが、昨日のことなど何もなかったかのように平常運転だった。一応、俺はまだ忘れていないのだが。

 「そ、そういえば、今日一日晴天みたいですよ! ちょうど海にも行きますし、雨天にならないでよかったですね!」

 「そ、そうですね! 海、楽しみですね!?」

 みのりは話題を切り替えなんとか誤魔化さそうとしていた。それに梓は乗っかってきたが、やはりその表情はどこかぎこちなかった。

 昨日あんなことがあったっていうのに、次は海に行くと来たものだ。まあ元々、そういう名目でこの島に来たわけだし、泳がないわけにはいかないのだろうが、俺は水着以上にセクシーなものを見てしまっているからな。あれ以上求めるものはないのだが。

 しかし、行かなければ怪しまれるから、ここはみのり達に乗っかっておくことにしよう。

 「こ、ここの海って、かなり綺麗だったよな? かなり透き通ってたし。ああいうのってたしか、エメラルドグリーンって言うんだっけか?」

 「え、ええそうですね。とっても綺麗でしたし、お魚とかも見えて凄かったですね!?」

 「は、はい! あんなに綺麗な海なら、綺麗なお魚さんとか、いっぱいいそうですもんね!?」

 そう言う2人の表情はやはりぎこちなかった。本当に必死だな。

 ---そんな気まずい雰囲気の中、朝食を済ませた俺達はバスに乗って最寄りの海辺へと向かって行くのだった。果たしてこんなんで大丈夫なのだろうか?
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