191 / 445
第6章「ようこそ愛ヶ咲島」
第7話「みのりイベント」
しおりを挟む
「ぶふうっ!?」
俺の予感は見事に的中した。しかしその発言は俺の想定をはるかに超えていた。
「ななな何、言ってんだよ!」
「わわわ、私は、けけけ、けっこう、ままま、まじめに、いいい、言ってるんですよ!」
俺が慌てふためきながら聞き返すと、みのりは俺以上に慌てふためき、顔を真っ赤にしながら返してきた。あんな恥ずかしいセリフ、よく出てきたな。
「私も経験はなくても多少なり性知識はあります。けど女の子って、あんなことされて本当に気持ちいいのか、男の子もあれで興奮するのか、ちょっと興味があったんです」
「きょきょきょ、興味って…」
俺はパニックのあまりみのりの発言に思わず反応してしまった。しかしみのりもみのりでその発言はどうかと思うが。
「やっぱ、私みたいな可愛くない女の子じゃあ和彦君は興奮しないですよね?」
「いや、そんなことは…」
みのりは反応に困ることばかり聞いてくるから俺は答えることをつい渋ってしまう。その上涙顔までされるとなお困る。
「じゃあ、私と、してくれますか?」
「……」
そしてみのりは再び俺に問いかけてきた。決していやというわけではない。むしろこっちからお願いしたい方だ。
しかし物事には順序というのもあるわけで、健全な関係でいくにはちゃんと順序というものを踏んでいかなければ…
「……」
「……」
だがみのりにそんな潤んだ瞳で見られたら断ることが出来ない。
「…わ、わかった」
俺が首を縦に振って返すと、みのりは嬉しそうな表情に変わった。さっきの涙顔がまるで演技だったかのようだ。もし演技だったら将来、名女優になれるんじゃないか?
「じゃ、じゃ、じゃあ、ま、ま、ま、まずは、キ、キ、キ、キ、キスから…」
しかし途端になってまた恥ずかしくなったのか、再び顔が真っ赤になり、言葉が詰まったり、目が泳いだりして、明らかに挙動不審だ。
「そ、そ、そ、そ、そ、そうだな。じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ、い、い、い、いくぞ?!」
俺も恥ずかしくなり、みのりと同じ症状に陥っていた。
だが、みのりは決心したのか、目を閉じ、唇を少し前に出して俺を待っていた。
「……」
俺はみのりのキス顔に見とれてしまっていた。とても美しく見えてしまったからだ。
そんなみのりを見てふと俺の妄想が今ある現実と初めてリンクした。
結婚式場でみんなが見守る中、ウエディングドレスを身にまとったみのりが誓いのキスを待っている。俺の妄想ではそんな風に見えた。
「……」
だからこそこの状況に罪悪感を抱いていた。こんな勢い任せでみのりの初めてを奪うなんて、あまりにも卑劣な行為なんじゃないか?
しかしみのりだって興味があったとはいえ別にだれでもいいとは思っていないのだろう。
『和彦君は大事な人ですから』
ふとそんな言葉が脳裏によぎった。大事な人というのは、ひょっとしてそういう意味だったのだろうか?
「…んんっ」
俺はそんなことを思いながらもおもむろにみのりへと近づいていた。罪悪感は多少あるが、みのりがあそこまでお願いしてくれたのだから今更辞めることなど出来ない。
気がつくと俺とみのりの顔はお互いの息がかかるぐらいの距離まで接近していた。俺の心臓の鼓動が激しくなっている。このままだとショック死してしまいそうだ。
「……」
「ッ!?」
そんな俺のことなどおかまいなしにみのりは突然、閉じていた目を見開いた。俺は思わず驚いてしまい後ずさりしてしまった。危うくマジでショック死するところだった。いきなりなんだ?
「やっぱりね」
「ッッ!?」
その時、俺の背後から声が聞こえた。かなり嫌な予感を感じ背筋が凍った。
「…あ、有、紗、さん?」
俺が恐る恐る振り返ると鬼の形相をした有紗が俺の部屋で仁王立ちしていた。もはやただの金剛力士だ。
「嫌な予感したから早めに帰ってみれば、あんた達…」
「いや、それは、そのー…」
「うるさい! 黙れこの、変態!!」
「うぇぶしっ!?」
無論、ここから先はいつもの展開通りだった。宥めようとした俺は有紗の渾身の一撃を顔面にくらい、気を失った。
そこからどうなったかはわからないが、気を失った俺にはその後のことなど、知るよしもなかった。
俺の予感は見事に的中した。しかしその発言は俺の想定をはるかに超えていた。
「ななな何、言ってんだよ!」
「わわわ、私は、けけけ、けっこう、ままま、まじめに、いいい、言ってるんですよ!」
俺が慌てふためきながら聞き返すと、みのりは俺以上に慌てふためき、顔を真っ赤にしながら返してきた。あんな恥ずかしいセリフ、よく出てきたな。
「私も経験はなくても多少なり性知識はあります。けど女の子って、あんなことされて本当に気持ちいいのか、男の子もあれで興奮するのか、ちょっと興味があったんです」
「きょきょきょ、興味って…」
俺はパニックのあまりみのりの発言に思わず反応してしまった。しかしみのりもみのりでその発言はどうかと思うが。
「やっぱ、私みたいな可愛くない女の子じゃあ和彦君は興奮しないですよね?」
「いや、そんなことは…」
みのりは反応に困ることばかり聞いてくるから俺は答えることをつい渋ってしまう。その上涙顔までされるとなお困る。
「じゃあ、私と、してくれますか?」
「……」
そしてみのりは再び俺に問いかけてきた。決していやというわけではない。むしろこっちからお願いしたい方だ。
しかし物事には順序というのもあるわけで、健全な関係でいくにはちゃんと順序というものを踏んでいかなければ…
「……」
「……」
だがみのりにそんな潤んだ瞳で見られたら断ることが出来ない。
「…わ、わかった」
俺が首を縦に振って返すと、みのりは嬉しそうな表情に変わった。さっきの涙顔がまるで演技だったかのようだ。もし演技だったら将来、名女優になれるんじゃないか?
「じゃ、じゃ、じゃあ、ま、ま、ま、まずは、キ、キ、キ、キ、キスから…」
しかし途端になってまた恥ずかしくなったのか、再び顔が真っ赤になり、言葉が詰まったり、目が泳いだりして、明らかに挙動不審だ。
「そ、そ、そ、そ、そ、そうだな。じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ、い、い、い、いくぞ?!」
俺も恥ずかしくなり、みのりと同じ症状に陥っていた。
だが、みのりは決心したのか、目を閉じ、唇を少し前に出して俺を待っていた。
「……」
俺はみのりのキス顔に見とれてしまっていた。とても美しく見えてしまったからだ。
そんなみのりを見てふと俺の妄想が今ある現実と初めてリンクした。
結婚式場でみんなが見守る中、ウエディングドレスを身にまとったみのりが誓いのキスを待っている。俺の妄想ではそんな風に見えた。
「……」
だからこそこの状況に罪悪感を抱いていた。こんな勢い任せでみのりの初めてを奪うなんて、あまりにも卑劣な行為なんじゃないか?
しかしみのりだって興味があったとはいえ別にだれでもいいとは思っていないのだろう。
『和彦君は大事な人ですから』
ふとそんな言葉が脳裏によぎった。大事な人というのは、ひょっとしてそういう意味だったのだろうか?
「…んんっ」
俺はそんなことを思いながらもおもむろにみのりへと近づいていた。罪悪感は多少あるが、みのりがあそこまでお願いしてくれたのだから今更辞めることなど出来ない。
気がつくと俺とみのりの顔はお互いの息がかかるぐらいの距離まで接近していた。俺の心臓の鼓動が激しくなっている。このままだとショック死してしまいそうだ。
「……」
「ッ!?」
そんな俺のことなどおかまいなしにみのりは突然、閉じていた目を見開いた。俺は思わず驚いてしまい後ずさりしてしまった。危うくマジでショック死するところだった。いきなりなんだ?
「やっぱりね」
「ッッ!?」
その時、俺の背後から声が聞こえた。かなり嫌な予感を感じ背筋が凍った。
「…あ、有、紗、さん?」
俺が恐る恐る振り返ると鬼の形相をした有紗が俺の部屋で仁王立ちしていた。もはやただの金剛力士だ。
「嫌な予感したから早めに帰ってみれば、あんた達…」
「いや、それは、そのー…」
「うるさい! 黙れこの、変態!!」
「うぇぶしっ!?」
無論、ここから先はいつもの展開通りだった。宥めようとした俺は有紗の渾身の一撃を顔面にくらい、気を失った。
そこからどうなったかはわからないが、気を失った俺にはその後のことなど、知るよしもなかった。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる