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第5章「隣人のお姉さんにはご注意を」
第17話「脱出」
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「くっ、ならこっちから…」
しかし有紗は諦めず今度は反対の方向に向かって行く。何をするつもりなのだろうか?
それにしてもさっきからシナモンのような甘い香りが鼻に入ってくる。俺を監禁していた部屋にあった変な壺から出ていた煙よりはキツくはないが、なんかこの匂いを嗅ぐ度に頭がボーっとして身体が火照ってくる。
「ハア…ハア…」
有紗は息を荒くしたまま俺を担いでなんとかリビングにたどり着いた。
すると俺を隅に降ろしベランダの方に歩いて行った。その時、俺はなんとなく有紗がここに来た目的を理解した。
「ふふふっ、なるほど」
そして由佳さんも理解したようだ。それを理解したうえでもまだ余裕の笑みを浮かべている。
おそらく有紗はベランダから抜け出そうとしているのだろう。玄関のドアは破れなかったがベランダの窓なら破れるかもしれない。
だが、由佳さんの余裕の笑みを浮かべていることからしてベランダの方にも結界が張られているのだろう。あのバカみたいな腕力を持った有紗でも破れないほど強力な結界だ。それほど強力な結界を破る方法などあるのだろうか?
「ふふふっ、無駄よ。この部屋の周り全てに結界を張ったといたのよ。さっきも言ったと思うけど普通の人間の力じゃ破れないって。どんなにあなたの力が強くてもこの結界は絶対に破れないわよ!」
俺の予想は虚しいほどに的中していた。しかし有紗の目はまだ諦めていないようだった。
「ええ…そうね。力…だけじゃ…無理だわ。けど…」
「??」
有紗は息を切らしながらも微笑を浮かべている。そして視線を自分の懐に向けている。
由佳さんはその意味に気づいていないようだが、俺は気づいてしまった。有紗の視線の意味を。
『普通の人間の力じゃ破れない!』
その言葉の解釈が正しければ、『普通の人間の力』というのは人間の腕力や脚力のことを言っているのではないのか?
なら文明の利器を使うとどうなるのだろうか? 力を使わずにベランダの窓を破るものを有紗は所有している。
それは『銃』だ。有紗は普段から携帯している。こんな平和主義の国にそんな物騒なものを普段から持ち運んでいるのは有紗ぐらいだろうが。まさか女子高生が銃を所持してるなんて流石の由佳さんも気がつかないだろう。
おそらく由佳さんが余裕ぶっているのは、有紗が武器を所持していないと思っていたからだろう。
この部屋にはほとんどものが置いてない。そのほとんども怪しげなものばかりで迂闊に触れない。正直に言うと人が住めた部屋じゃない。どうやら由佳さんはこの部屋を監禁部屋でしか扱っていないのだろう。
しかし有紗には銃がある。これで窓を結界ごとぶち破ることができれば外に出れる。まあ上手くいくかどうかはわからないが。
「これなら…どうかしら!?」
そして有紗は息を荒くしながらも懐から銃を抜き出したのだった。
しかし有紗は諦めず今度は反対の方向に向かって行く。何をするつもりなのだろうか?
それにしてもさっきからシナモンのような甘い香りが鼻に入ってくる。俺を監禁していた部屋にあった変な壺から出ていた煙よりはキツくはないが、なんかこの匂いを嗅ぐ度に頭がボーっとして身体が火照ってくる。
「ハア…ハア…」
有紗は息を荒くしたまま俺を担いでなんとかリビングにたどり着いた。
すると俺を隅に降ろしベランダの方に歩いて行った。その時、俺はなんとなく有紗がここに来た目的を理解した。
「ふふふっ、なるほど」
そして由佳さんも理解したようだ。それを理解したうえでもまだ余裕の笑みを浮かべている。
おそらく有紗はベランダから抜け出そうとしているのだろう。玄関のドアは破れなかったがベランダの窓なら破れるかもしれない。
だが、由佳さんの余裕の笑みを浮かべていることからしてベランダの方にも結界が張られているのだろう。あのバカみたいな腕力を持った有紗でも破れないほど強力な結界だ。それほど強力な結界を破る方法などあるのだろうか?
「ふふふっ、無駄よ。この部屋の周り全てに結界を張ったといたのよ。さっきも言ったと思うけど普通の人間の力じゃ破れないって。どんなにあなたの力が強くてもこの結界は絶対に破れないわよ!」
俺の予想は虚しいほどに的中していた。しかし有紗の目はまだ諦めていないようだった。
「ええ…そうね。力…だけじゃ…無理だわ。けど…」
「??」
有紗は息を切らしながらも微笑を浮かべている。そして視線を自分の懐に向けている。
由佳さんはその意味に気づいていないようだが、俺は気づいてしまった。有紗の視線の意味を。
『普通の人間の力じゃ破れない!』
その言葉の解釈が正しければ、『普通の人間の力』というのは人間の腕力や脚力のことを言っているのではないのか?
なら文明の利器を使うとどうなるのだろうか? 力を使わずにベランダの窓を破るものを有紗は所有している。
それは『銃』だ。有紗は普段から携帯している。こんな平和主義の国にそんな物騒なものを普段から持ち運んでいるのは有紗ぐらいだろうが。まさか女子高生が銃を所持してるなんて流石の由佳さんも気がつかないだろう。
おそらく由佳さんが余裕ぶっているのは、有紗が武器を所持していないと思っていたからだろう。
この部屋にはほとんどものが置いてない。そのほとんども怪しげなものばかりで迂闊に触れない。正直に言うと人が住めた部屋じゃない。どうやら由佳さんはこの部屋を監禁部屋でしか扱っていないのだろう。
しかし有紗には銃がある。これで窓を結界ごとぶち破ることができれば外に出れる。まあ上手くいくかどうかはわからないが。
「これなら…どうかしら!?」
そして有紗は息を荒くしながらも懐から銃を抜き出したのだった。
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