俺の高校生活に平和な日常を

慶名 安

文字の大きさ
上 下
142 / 445
第4章番外編「私の守りたいもの」

第10話「2度目の対立」

しおりを挟む
 「?! どういうことよ?」

 目的がこの島? 何で? ミシェーラは何を考えてるの?

 「なあイーリス? 魔力は人間以外にも備わってるって話、知ってるか?」

 「……?」

 それぐらい知っているわ。人間は誰でも微弱ながらに魔力を持っている。だが実のところ、人間以外にも魔力を持っているのだ。

 動物全般だけでなく草花や土といった自然にも魔力が備わっているのだ。だがその話と今の話になんの関係があるの?

 「そんで魔女達は自然の魔力を有効活用する為に木々が生い茂った無人島なんかを住処にしているのさ!」

 それも知ってる。魔女は自分の住処を守る為に結界や使い魔などを使っているが出している間は常に膨大の魔力を消費する。

 いくら魔女といえども常に膨大の魔力を消費してしまっては魔力回復が間に合わない。

 そこで自然が豊かな無人島などを活用するのだ。草木や動物達から魔力を貰いそれを結界や使い魔の魔力に利用するのだ。

 「つまり新しい住処が欲しいからここをあけ渡せと言いたいわけ?」

 「…住処、ねぇ…」

 私がそう答えるとミシェーラは曖昧な返事を返してきた。今の話の流れからすればそういうことだと思っていたがどうやら違うらしい。じゃあ一体何だというの?

 「ママが言うにここをラスカーの研究施設にするって話だ」

 「ラスカー? あんた達、正気?」

 ラスカーは使い魔とは違いかなり獰猛どうもうなうえ死んでしまうとちりのように消えてしまう。その為、魔女でもラスカーを飼うのは極めて難しい。

 そんな生物を研究しようだなんて無謀にも程がある。

 「正気も正気さ。ママならラスカーを捕まえることぐらい容易いさ。実際に今、上位も含めて5匹のラスカーを捕まえてるんだぜぇ」

 「!?」

 そんなバカな。上位ランクのラスカーは魔女でも手を焼くほど強いと言われてる。下位のラスカーでも難しいはずなのに一体どうやって?

 「あれぇー? ひょっとして疑ってるー?」

 「……」

 ミシェーラが見透かしたかのように煽ってくるが何も反応しなかった。確かににわかに信じ難い話だが今はそんなことどうでもいい。

 「おっ?」

 私が今すべきこと、それはもちろんあいつを追い返す。ここは絶対に渡す訳にはいかない。

 どんな手を使ってでも守ってみせる! そう心の中で決意を固めると私は手前にワープホールを出しそこに手を突っ込み一冊の本を取り出した。

 私が取り出したのは魔法書スペルブックという魔法道具マジックツールの一つだ。

 魔法書はあらゆる魔法の術式(オペレーション・タイプ)が記載されている。つまり、この本と魔力さえあれば高度な魔法でも簡単に出せてしまうのだ。

 はっきり言うと私は魔女っ子としてもまだまだ弱い方だ。ミシェーラの魔力を久しぶりに感じた時、改めて思い知らされた。私とアイツの差は昔と変わっていないということを。

 だからといって引き下がるつもりは毛頭ない。実力差はあれど魔法書こいつがあれば勝てない相手ではないはず。

 「何だ? まさか私とヤル気ー?」

 「そうね。今すぐ引き返すなら話は別だけど」

 私の発言がおかしく聞こえたのかミシェーラはケラケラと笑い出した。まあ想定内の反応だけど。

 「はっ! 私がお前なんかにビビるかっての!? イイぜ! やってやるよ!」

 「ッ!?」

 この反応も想定内ではあった。しかしその後は私の想定を超えるものであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...