俺の高校生活に平和な日常を

慶名 安

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第4章「実は私」

第33話「変な想像してねーよ!」

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 ---「それも超能力の暴走で?」

 「はい。そうみたいです」

 先生の肩を落としている姿が見えずとも何となく想像がつく。先生がため息混じりに話しているからだ。申し訳ないという気持ちより後悔の気持ちの方がまさっているようだ。

 「んー…」

 困ったなあ。姿が見えないとなると迂闊に出歩かすワケにはいかんな。本当はここの探索に協力して欲しかったのだが。

 「先生」

 「はい?」

 先生の間の抜けた返事がちょっとだけ安心する。とりあえずはここの探索をする必要があるな。裸にされ身動きが取れなくなった有紗とインビシブルした先生はここに残すとなると俺1人で探索しなければいけない。

 だがその前に先生にはやってもらわなければいけない事がある。

 「自分を中心にして円を書いてください」

 「えっ? 円??」

 また間の抜けた返事が返ってきた。ワケが分からないようだったが言われるがままに自分を中心とした半径1メートルほどの円を書いた。どうやら砂浜に図を書いたり物に触れたりすることは可能のようだ。

 「佐藤君、書いたよ。これでどうするの?」

 「よし、それじゃあ先生は、そこから動かないでください!」

 「…へ?」

 先生に円を書かせたワケは先生がそこにいるという目印を作る為だ。申し訳ないが現状ではこうするしか方法がなかった。今の発言で先生が目を丸くしている様子が容易に想像がつく。

 「んじゃー俺はここら辺探索してくるんで」

 「ちょっ、ちょっと佐藤君!?」

 俺は先生の呼びかけを無視して木々生い茂る林の中へと歩いて行った。

 ---「そういえばここ電波通ってんのかな?」

 林の中を進んで行くうちにそんなことをふと思った。そういえばまだ試してなかったなあ。遭難と言うと大抵、携帯が使えないのが定番だと思い込んでしまっていた為、試そうという発想が今まで考えつかなかった。

 「スマホ水没してなきゃいいけど…」

 一度海中に沈みかけたから流石にマズイかと思っていたがアッサリと電源がついた。最近のスマホは防水機能の性能が飛躍的に上がってきている証拠だな。

 「…アレ? ここ電波通ってる…」

 だが更に驚くべきことに電波がバリ4も立っている。ひょっとして無人島ではないのか?

 「ってことは、地図見れんじゃねー!?」

 ということは俺が探索する意味はあんまりないのではと思ったがそんなことよりも早く地図アプリを開いて現在地を確認する。

 「…??」

 しかし地図を見てみると自分の現在地が関東圏の太平洋を指してある。島らしきものが書かれていないのだ。ズームしても真っ青な海しか出てこない。

 考えられるとすれば、まだ発見されていない未開の地かあるいは軍事的事情により地図には載せられないのか。

 「いや、ありえねーだろ?」

 前者で考えればここは千葉の海に結構近い。そんな所にある島が未だ見つけられないのは不自然過ぎる。

 後者で考えるなら国が保有している土地となる。なら監視塔の一つぐらい置いていないとただの無人島と同じだし国が保有したくなるようなものなど全く見えないのだが。

 「ーーー」

 「!? 誰か…いる??」

 そんな事を考えていると異変を感じた。俺はその瞬間、息を潜めることにした。今確かに人の声が聞こえた。ひょっとして後者の方で正しかったのか?

 「ーーー」

 誰かと話してる。つまり少なくとも2人以上はいる。この声、女の人か?

 「……」

 ふとあの2人を思い出した。いや流石にあの2人ではないだろう。だって2人共裸だぜ? 先生はともかく有紗なんてオープン状態なんだから動けるワケがない。別に変な想像してねーよ。2人が裸で歩き回ってる想像なんか全然してねーよ!

 「…体調わりーのかなー?」

 急に鼻血出てきた。
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