161 / 201
第5章 入学編
第5章ー㉔
しおりを挟む
「俺は、友達作りしに来たわけでも、思い出を作りに来たわけでもねぇ」
「…」
「…サダメ…」
彼にどういう思惑があるかなんて知った事じゃない。だから自分は、思いの丈を彼にぶつけた。
「お前がなんで俺を敵視しているのかは分からないけど、俺だって勇者目指す為にここに居るんだ。お前がどうしようが、そこだけは絶対にまげねぇから」
「…」
自分の意見を伝えるが、彼の表情は全く変わらず、冷たい目でこっちを見ていた。きっと、高校生ぐらいの自分だったら彼の視線を見ただけで萎縮して物を申すなんて出来やしなかっただろう。けど、今は不思議と恐怖を感じない。ただ、自分の意志を曲げたくはないという意地の方が勝っていた。
「…はあ。そうか」
自分の意志が変わらない事を理解したのか、彼はため息を一つ零してその場を去ろうとしていた。思いの外物分かりがいいのか? それとも、呆れ果ててしまったのだろうか。
「なら、お前は俺の敵、いや、俺の目的を果たす為の踏み台にしてやる」
「ッ!?」
と思っていたが、去り際彼の口から衝撃発言が飛んだ。それは、完全なる宣戦布告の合図だった。
「おい、なーにが踏み台だー! 先にこいつに勇者になるって言われた手前、同じ事言えなくって言い方変えただけの癖によー! 偉そうにしてんじゃねーぞ、黒歴史拗らせヤロー!」
「ギ、ギリスケ。あんま大声出すなって…」
「許せぬ! 其方! 今の発言、撤回せよ!!」
「ちょっ、マヒロまで?! 駄目だって、ここで刀抜いちゃ!?」
「うぬぬ、離すでござるミオ。友人を馬鹿にされ黙っているなど武士の恥! そやつには発言を撤回させるまで許す訳にはいかぬ!」
それを機に、自分よりもギリスケとマヒロの怒りに引火してしまい、暴言を吐いて殴り掛かりに行きそうなギリスケは自分、刀を抜いて襲い掛かろうとしているマヒロをミオで必死に押さえつけた。マズい。初日から問題行動を起こしたら、最悪退学処分だ。それだけは避けなければ。けど、二人共ヒートアップしすぎて手が付けられない。何事かと周囲の野次馬が増えて来てるし、先生が来る前になんとかこの騒動を終わらせねば。
「…な」
「あ゛あ゛っ?! なんだってー?! 聞こえねーよ痛《いた》眼帯野郎!」
そんな中、アラガはぼそりと何か呟いた。ギリスケがお怒り状態のまま聞き返すと、アラガがゆっくりと後ろを振り返った。
「うるせえな、虫けら共!」
彼の初めて見せた怒り剥き出しの一言は、一瞬で周囲の空気を凍らせた。
「…」
「…サダメ…」
彼にどういう思惑があるかなんて知った事じゃない。だから自分は、思いの丈を彼にぶつけた。
「お前がなんで俺を敵視しているのかは分からないけど、俺だって勇者目指す為にここに居るんだ。お前がどうしようが、そこだけは絶対にまげねぇから」
「…」
自分の意見を伝えるが、彼の表情は全く変わらず、冷たい目でこっちを見ていた。きっと、高校生ぐらいの自分だったら彼の視線を見ただけで萎縮して物を申すなんて出来やしなかっただろう。けど、今は不思議と恐怖を感じない。ただ、自分の意志を曲げたくはないという意地の方が勝っていた。
「…はあ。そうか」
自分の意志が変わらない事を理解したのか、彼はため息を一つ零してその場を去ろうとしていた。思いの外物分かりがいいのか? それとも、呆れ果ててしまったのだろうか。
「なら、お前は俺の敵、いや、俺の目的を果たす為の踏み台にしてやる」
「ッ!?」
と思っていたが、去り際彼の口から衝撃発言が飛んだ。それは、完全なる宣戦布告の合図だった。
「おい、なーにが踏み台だー! 先にこいつに勇者になるって言われた手前、同じ事言えなくって言い方変えただけの癖によー! 偉そうにしてんじゃねーぞ、黒歴史拗らせヤロー!」
「ギ、ギリスケ。あんま大声出すなって…」
「許せぬ! 其方! 今の発言、撤回せよ!!」
「ちょっ、マヒロまで?! 駄目だって、ここで刀抜いちゃ!?」
「うぬぬ、離すでござるミオ。友人を馬鹿にされ黙っているなど武士の恥! そやつには発言を撤回させるまで許す訳にはいかぬ!」
それを機に、自分よりもギリスケとマヒロの怒りに引火してしまい、暴言を吐いて殴り掛かりに行きそうなギリスケは自分、刀を抜いて襲い掛かろうとしているマヒロをミオで必死に押さえつけた。マズい。初日から問題行動を起こしたら、最悪退学処分だ。それだけは避けなければ。けど、二人共ヒートアップしすぎて手が付けられない。何事かと周囲の野次馬が増えて来てるし、先生が来る前になんとかこの騒動を終わらせねば。
「…な」
「あ゛あ゛っ?! なんだってー?! 聞こえねーよ痛《いた》眼帯野郎!」
そんな中、アラガはぼそりと何か呟いた。ギリスケがお怒り状態のまま聞き返すと、アラガがゆっくりと後ろを振り返った。
「うるせえな、虫けら共!」
彼の初めて見せた怒り剥き出しの一言は、一瞬で周囲の空気を凍らせた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

記憶喪失の異世界転生者を拾いました
町島航太
ファンタジー
深淵から漏れる生物にとって猛毒である瘴気によって草木は枯れ果て、生物は病に侵され、魔物が這い出る災厄の時代。
浄化の神の神殿に仕える瘴気の影響を受けない浄化の騎士のガルは女神に誘われて瘴気を止める旅へと出る。
近くにあるエルフの里を目指して森を歩いていると、土に埋もれた記憶喪失の転生者トキと出会う。
彼女は瘴気を吸収する特異体質の持ち主だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猛焔滅斬の碧刃龍
ガスト
ファンタジー
ある日、背後から何者かに突然刺され死亡した主人公。
目覚めると神様的な存在に『転生』を迫られ 気付けば異世界に!
火を吐くドラゴン、動く大木、ダンジョンに魔王!!
有り触れた世界に転生したけど、身体は竜の姿で⋯!?
仲間と出会い、絆を深め、強敵を倒す⋯単なるファンタジーライフじゃない!
進むに連れて、どんどんおかしな方向に行く主人公の運命!
グルグルと回る世界で、一体どんな事が待ち受けているのか!
読んで観なきゃあ分からない!
異世界転生バトルファンタジー!ここに降臨す!
※「小説家になろう」でも投稿しております。
https://ncode.syosetu.com/n5903ga/
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※


病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる