転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第5章 入学編

第5章ー⑯

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 「こちらが一年の教室となります。席は自由なので、担当教諭が来るまでここで待機するように。トイレに行かれたい方は早めに行っておいてくださいね」

 「うへー、ひれー」

 学園関係者に案内された教室は大学の教室ぐらい広く、皆唖然としていた。まあ、自分は大学行った事ないから実際の比較は出来ないけど。

 「んじゃ、適当に座ろーぜー」

 案内役の人が居なくなると、自分達は流れるように席に座っていく。流石に足が疲れたからか前から二番目に自分とギリスケ、一番前にミオとマヒロが座る形となった。





 「…なあ、遅くねーか?」

 「たしかに。もう三十分ぐらい経ってそうだよなー」

 それから暫く時間が経つが、いくら待っても教師が来る気配がない。どんな先生が来るのか予想したりしてある程度盛り上がっていたのだが、流石に時間が経ちすぎて暇を持て余していた。何かあったのだろうか。

 ドザッ

 「ん?」

 そう思っていた矢先、なにかが倒れる音が聞こえた。音の方向からして入り口の方からみたいで、気になって視線を入り口の方に移した。

 「ッ?!」

 すると、入り口の方で誰かが倒れているのを発見。コケたようにも見えなくはないが、少し様子見するも立ち上がる気配がない。

 「あの、大丈夫ですか?!」

 見かねてか、ミオが倒れた人の元へ向かう。自分達も少し気になり、後を追うように入り口の方へ向かう。

 「はあ…はあ…」

 倒れていたのは男性で、ボサボサと顎鬚を生やしており、正直衛生面はよろしくない。制服も着ていないし、見た目からして三十路超えてそうだから生徒ではなさそうだ。けど、教師にしてはだらしなさすぎる身なりだ。じゃあ、この人は一体何しにここに来たんだ? 学園関係者かも怪しいのだが。

 「どこか痛いですか? それともどこか体調が? 呼吸出来ます?」

 「うっ…」

 だが、そんなことを気にする様子もなくミオは問診を続けていた。薬屋の娘なだけあって、ある程度こういう対応には手慣れている様子。

 しかし、男は苦しそうにしているだけで、まともな回答はない。よっぽど辛いのだろうか。

 「私の声聞こえますか? 聞こえるなら…」

 「…わるい」

 「ッ!? 今、なんて言いました?!」

 男が苦しんでいても、懸命に声を掛けるミオ。すると、ようやく男が口を開いた。よく聞き取れなかったからか、ミオは男の口元に耳を近づけていた。自分達も、黙ったまま耳を澄ませて男の言葉に耳を傾けていた。一体、何を言おうとしていたのだろうか。































           「昨日、飲み過ぎて、気持ち悪い」














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