147 / 201
第5章 入学編
第5章ー⑩
しおりを挟む
「はえー、どこもかしこも広いなー」
寮から少し離れた場所を散歩しているのだが、言葉にならないぐらい建物が高い上、あちこちに建造されているものだから、ついつい上を見たりあっちこっち見回したりしている。傍から見たら田舎者にしか見えなさそうだ。実際そうなんだけれども。
にしても、この学園は良い意味で異常だ。高層ビルぐらいの高さの建物を当然の建てているのだから。ここはもうれっきとした都市だ。
「これだけあると暫くは迷子になりそうだなー。今のうちに最低限の道順くらい覚えておいた方がよさそうかもな。覚えられるかは別として」
しかし、似たような建物も幾つかある為、方向音痴じゃなくても道に迷ってしまいそうだ。いちおうご丁寧に案内板なんか設置されてるけど。学園に案内板なんて初めて見たぞ。大学かここは?
「うぅ、なんか首痛くなってきた」
暫く散歩していると、段々首の痛みが気になりだしてきた。高い建物が視界に入ってしまうと、反射的に見上げてしまっている。最早癖になっている気がする。
「うーん、一度帰るか? けど、まだ朝方だし、この程度でへばってるようじゃ一生この学園に馴染めないよなー」
左手で首を支えながらどうするか考える。今は日が出て間もない早朝。寮内には食堂があるのだが、入れる時間と閉まる時間が決まっており、入るにはまだ時間がある。部屋に帰って休むという手もあるが、上を見上げただけでグロッキーするなど、学園の生徒として恥ずべき行為だ。リーフさんも似たような事言ってたしな。多分、そういう意味ではないのかもしれないが。
「ん? あれは…」
どうしようかと頭を悩ませていた時、少し歩いていると、木々が生い茂る脇道を発見する。まるで森の入り口のように先が見えないが、どこに続いているのだろうか。
「…まあ、ずっと見上げてばっかよりかはマシか」
不思議な脇道を見つけ、妙な好奇心に駆られ、無意識のうちに足を運んでいた。ちょっと小休憩もしたいし、偶には緑を見て落ち着かせるのも悪くはないだろう。
「まさかこんな所に道があるなんて…」
脇道を進むと思いの外長い林道となっていた。道はなんてことない土の地面で、あまり歩道整備もされていない様子。普段誰も通らないから放っておかれているのだろうか。たしかに、貴族なんて絶対通らないだろうし、自分のように好奇心に駆られないか大した用もない限り誰も通らんだろう。
「ん?」
進んで行くと、微かに水の音が聞こえて来た。湧き水か? いや、音の大きさから察するに川である可能性が高い。あれだけ高い建造物群のすぐ近くに川があるとは思わなかった。けど、たまの癒しにはいい音だ。気持ちの問題か、さっきより涼しくなってきた気がする。
「へー、なんか風情を感じる…」
歩いていると、開けた道の先に小川を発見。川にしては少々水深が深いように見えるが、整備されてなかった割には綺麗な水が流れている。
「…おろ?」
小川を見つけ感心していると、突然女の子の声が聞こえてきた。どことなくとぼけた言い方にこの声、ついこの間聞いたような気がする。
「…おまえ…」
恐る恐る声の方向に振り向くと、そこには白くて艶のある肌を露出全開にした、マヒロ・トーエンの姿があった。
寮から少し離れた場所を散歩しているのだが、言葉にならないぐらい建物が高い上、あちこちに建造されているものだから、ついつい上を見たりあっちこっち見回したりしている。傍から見たら田舎者にしか見えなさそうだ。実際そうなんだけれども。
にしても、この学園は良い意味で異常だ。高層ビルぐらいの高さの建物を当然の建てているのだから。ここはもうれっきとした都市だ。
「これだけあると暫くは迷子になりそうだなー。今のうちに最低限の道順くらい覚えておいた方がよさそうかもな。覚えられるかは別として」
しかし、似たような建物も幾つかある為、方向音痴じゃなくても道に迷ってしまいそうだ。いちおうご丁寧に案内板なんか設置されてるけど。学園に案内板なんて初めて見たぞ。大学かここは?
「うぅ、なんか首痛くなってきた」
暫く散歩していると、段々首の痛みが気になりだしてきた。高い建物が視界に入ってしまうと、反射的に見上げてしまっている。最早癖になっている気がする。
「うーん、一度帰るか? けど、まだ朝方だし、この程度でへばってるようじゃ一生この学園に馴染めないよなー」
左手で首を支えながらどうするか考える。今は日が出て間もない早朝。寮内には食堂があるのだが、入れる時間と閉まる時間が決まっており、入るにはまだ時間がある。部屋に帰って休むという手もあるが、上を見上げただけでグロッキーするなど、学園の生徒として恥ずべき行為だ。リーフさんも似たような事言ってたしな。多分、そういう意味ではないのかもしれないが。
「ん? あれは…」
どうしようかと頭を悩ませていた時、少し歩いていると、木々が生い茂る脇道を発見する。まるで森の入り口のように先が見えないが、どこに続いているのだろうか。
「…まあ、ずっと見上げてばっかよりかはマシか」
不思議な脇道を見つけ、妙な好奇心に駆られ、無意識のうちに足を運んでいた。ちょっと小休憩もしたいし、偶には緑を見て落ち着かせるのも悪くはないだろう。
「まさかこんな所に道があるなんて…」
脇道を進むと思いの外長い林道となっていた。道はなんてことない土の地面で、あまり歩道整備もされていない様子。普段誰も通らないから放っておかれているのだろうか。たしかに、貴族なんて絶対通らないだろうし、自分のように好奇心に駆られないか大した用もない限り誰も通らんだろう。
「ん?」
進んで行くと、微かに水の音が聞こえて来た。湧き水か? いや、音の大きさから察するに川である可能性が高い。あれだけ高い建造物群のすぐ近くに川があるとは思わなかった。けど、たまの癒しにはいい音だ。気持ちの問題か、さっきより涼しくなってきた気がする。
「へー、なんか風情を感じる…」
歩いていると、開けた道の先に小川を発見。川にしては少々水深が深いように見えるが、整備されてなかった割には綺麗な水が流れている。
「…おろ?」
小川を見つけ感心していると、突然女の子の声が聞こえてきた。どことなくとぼけた言い方にこの声、ついこの間聞いたような気がする。
「…おまえ…」
恐る恐る声の方向に振り向くと、そこには白くて艶のある肌を露出全開にした、マヒロ・トーエンの姿があった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

記憶喪失の異世界転生者を拾いました
町島航太
ファンタジー
深淵から漏れる生物にとって猛毒である瘴気によって草木は枯れ果て、生物は病に侵され、魔物が這い出る災厄の時代。
浄化の神の神殿に仕える瘴気の影響を受けない浄化の騎士のガルは女神に誘われて瘴気を止める旅へと出る。
近くにあるエルフの里を目指して森を歩いていると、土に埋もれた記憶喪失の転生者トキと出会う。
彼女は瘴気を吸収する特異体質の持ち主だった。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。

猛焔滅斬の碧刃龍
ガスト
ファンタジー
ある日、背後から何者かに突然刺され死亡した主人公。
目覚めると神様的な存在に『転生』を迫られ 気付けば異世界に!
火を吐くドラゴン、動く大木、ダンジョンに魔王!!
有り触れた世界に転生したけど、身体は竜の姿で⋯!?
仲間と出会い、絆を深め、強敵を倒す⋯単なるファンタジーライフじゃない!
進むに連れて、どんどんおかしな方向に行く主人公の運命!
グルグルと回る世界で、一体どんな事が待ち受けているのか!
読んで観なきゃあ分からない!
異世界転生バトルファンタジー!ここに降臨す!
※「小説家になろう」でも投稿しております。
https://ncode.syosetu.com/n5903ga/
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる