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第5章 入学編
第5章ー⑥
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「ッ?! 新たな、勇者?!」
リーフさんのとんでもない一言に驚愕する自分。新しい勇者を生み出す?
「ここ数年、勇者の活躍の影響で魔物の脅威はかなり減っていた。しかし、去年辺りからその脅威が増えつつある。そのせいもあってか、次々とアクシデントが発生し、生徒達に被害が及んでいる。これは由々しき事態だ。だから、私は新しい勇者を見つけなければと考えてはいたんだ。が、従来通りのやり方では勇者の任を背負える逸材は現れない。それに…」
「それに?」
話の途中、急に言葉が詰まるリーフさん。どことなく言いづらそうな表情を浮かべている様子だが、続きが気になり聞いてみることにした。
「前任の勇者も不運な目に遭ってしまったからね」
「ッ?!」
すると、リーフさんが信じられない事実を口にする。不運な目? それってつまり、いや、そんなことよりも…
「リーフさんは、勇者がどうなったか知ってるんですか?」
「…」
この人、リーフさんは勇者に何があったのか知っているかのような口ぶりだった。十年前、自分が見て以降姿をくらました勇者。誰も行方など知っている訳がないと思っていた。だが、この人はなにか知っている。さっき言葉が詰まったのも、恐らく自分に話すかどうか考えてしまったのだろう。
しかし、逆に言えば自分には伝えづらい事があるということ。まさか…
「私が知っている事は少ない。だから、私からは口にする事は出来ない」
「そ、そんな…」
と、思っていたが、リーフさんは何も教えてくれない。今の発言から察するに、勇者がどうなったかぐらいは知っている筈だ。なのに、何故言えないのだ。ここまできたら教えてくれてもよさそうなものだが。
あれからもう十年も経ってる。勇者がどんな結末を迎えようとも受け入れる覚悟は出来ている。自分は目でリーフさんに訴えかけてみるが、それでもリーフさんの意志は変わらなさそうだ。
「…けど、いずれ分かる時がくるよ」
「えっ? どういう意味ですか?」
「それもいずれわかるさ」
「…」
気になる部分だけ上手い事はぐらかされ、大事な情報は結局分からずじまい。ここまで隠されるとどうしても気になってしまうのだが。
「ともかく、私は勇者になれる素質を探しているが、今の勇者に必要な資質は高い魔力量や実力だけではなく、運の強さも必要なんじゃないかと思い、今年の試験は運要素の強い内容にしたんだよという話をしたかったんだ」
これ以上詮索をされるのを嫌がったのか、リーフさんは半ば強引に話を終わらせた。まあ、この人の考えはよく理解した。たしかに、魔力量が高く、実力もあり、おまけに幸運の持ち主という属性盛り盛りの人物なら相当凄い勇者になりそうだ。その人はきっと、漫画の主人公になれるような逸材だろう。
「…けど、そんな人って居るんでしょうか?」
しかし、そんな都合のいい人材などいるのだろうか。高い魔力量や実力があるのはともかく、不運にも負けない運の強い持ち主など存在するのだろうか。あまりにも理想が高すぎる。それだけの逸材、何十年、いや、何百年、何千年に一人といった次元ではないのか?
「おや? あまり自覚はないタイプかな?」
「?」
「私は、君にその資質を感じているんだけどね」
そんな自分の疑問に対し、リーフさんは自分を指さしながら返答する。
リーフさんのとんでもない一言に驚愕する自分。新しい勇者を生み出す?
「ここ数年、勇者の活躍の影響で魔物の脅威はかなり減っていた。しかし、去年辺りからその脅威が増えつつある。そのせいもあってか、次々とアクシデントが発生し、生徒達に被害が及んでいる。これは由々しき事態だ。だから、私は新しい勇者を見つけなければと考えてはいたんだ。が、従来通りのやり方では勇者の任を背負える逸材は現れない。それに…」
「それに?」
話の途中、急に言葉が詰まるリーフさん。どことなく言いづらそうな表情を浮かべている様子だが、続きが気になり聞いてみることにした。
「前任の勇者も不運な目に遭ってしまったからね」
「ッ?!」
すると、リーフさんが信じられない事実を口にする。不運な目? それってつまり、いや、そんなことよりも…
「リーフさんは、勇者がどうなったか知ってるんですか?」
「…」
この人、リーフさんは勇者に何があったのか知っているかのような口ぶりだった。十年前、自分が見て以降姿をくらました勇者。誰も行方など知っている訳がないと思っていた。だが、この人はなにか知っている。さっき言葉が詰まったのも、恐らく自分に話すかどうか考えてしまったのだろう。
しかし、逆に言えば自分には伝えづらい事があるということ。まさか…
「私が知っている事は少ない。だから、私からは口にする事は出来ない」
「そ、そんな…」
と、思っていたが、リーフさんは何も教えてくれない。今の発言から察するに、勇者がどうなったかぐらいは知っている筈だ。なのに、何故言えないのだ。ここまできたら教えてくれてもよさそうなものだが。
あれからもう十年も経ってる。勇者がどんな結末を迎えようとも受け入れる覚悟は出来ている。自分は目でリーフさんに訴えかけてみるが、それでもリーフさんの意志は変わらなさそうだ。
「…けど、いずれ分かる時がくるよ」
「えっ? どういう意味ですか?」
「それもいずれわかるさ」
「…」
気になる部分だけ上手い事はぐらかされ、大事な情報は結局分からずじまい。ここまで隠されるとどうしても気になってしまうのだが。
「ともかく、私は勇者になれる素質を探しているが、今の勇者に必要な資質は高い魔力量や実力だけではなく、運の強さも必要なんじゃないかと思い、今年の試験は運要素の強い内容にしたんだよという話をしたかったんだ」
これ以上詮索をされるのを嫌がったのか、リーフさんは半ば強引に話を終わらせた。まあ、この人の考えはよく理解した。たしかに、魔力量が高く、実力もあり、おまけに幸運の持ち主という属性盛り盛りの人物なら相当凄い勇者になりそうだ。その人はきっと、漫画の主人公になれるような逸材だろう。
「…けど、そんな人って居るんでしょうか?」
しかし、そんな都合のいい人材などいるのだろうか。高い魔力量や実力があるのはともかく、不運にも負けない運の強い持ち主など存在するのだろうか。あまりにも理想が高すぎる。それだけの逸材、何十年、いや、何百年、何千年に一人といった次元ではないのか?
「おや? あまり自覚はないタイプかな?」
「?」
「私は、君にその資質を感じているんだけどね」
そんな自分の疑問に対し、リーフさんは自分を指さしながら返答する。
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