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第5章 入学編
第5章ー③
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「…うおー、すっっげー」
村の入り口前に一際目立つ馬車が待機していた。間違いなく学園用の馬車だろう。しかし、前回乗った馬車とは一味違い驚愕させられた。白くて大きい荷台にも驚かされるが、魔導馬《ソーサ・ホース》が以前よりも一回り大きく、汚れ一つ見えない程真っ白な毛並。自分達が乗るにはあまりにも不釣り合いだと思ってしまうぐらい豪華な馬車が目の前にあるのだ。付近を通った村の人達も、あの馬車を見て呆気に取られている。
「…ねえサダメ。私達、本当にアレに乗るの?」
「…う、うん。多分」
自分も呆気にとられるあまり、ミオの問いかけにも曖昧な返答で返してしまった。流石に学園用の馬車で合っているのだろうが、万が一偶々通りかかった貴族の馬車とかだったらどえらいことになりそうだ。可能性は低いだろうけど、ゼロじゃないからちょっと怖い。
「と、とりあえず行ってみようぜ」
「…うん」
しかし、確認してみないことには何も始まらないし、緊張の面持ちで馬車に近づいていく。
「あ、あのー…」
「んん?」
恐る恐る近づき、馬車の近くで立ち止まっていた御者らしき人物に声を掛ける。白いスーツも見に纏い、ガタイも中々良いせいで余計怖いのだが。
「この馬車って、学園行きの馬車で、合ってます?」
とりあえず愛想笑いで御者に問いかけてみる。緊張しているからか、妙に唾が溜まるのだが。
「そうですよ。あっ、ひょっとしてサダメ・レールステンさんとミオ・チヤドールさんでお間違いございませんか?」
「は、はい!? そうですけど…」
だが、自分達の変な緊張とは裏腹に、御者の人は笑顔な上にわざわざ敬語で返してくれた。よかった。『無礼者!!』とか言われたらどうしようかと思った。
「…アレ? そういえばなんで俺達の名前を?」
間違えずに済んで一安心した途端、不意に疑問が思い浮かぶ。何故自分達の名前を知っているのだろうか。学園行きの馬車だから学園関係者の可能性もあるだろうが、これだけ目立つ感じの人、学園に居ただろうか? 自分達の顔も一目見たときは気づかなかったっぽいし。チェック用の名簿らしきものも持っていなさそうだし、この人は何で自分達を知ったのか謎だな。
「それは中に入ればわかりますよ。ささ、中へどうぞ」
「?」
しかし、御者の人は意味深な返答で返し、そのまま自分達を荷台の方に案内した。中に入れば分かるとはどういう意味なのだろう。全くわからんのだが。
「挨拶はもう済ませたかな?」
「あっ!?」
が、中に入った瞬間、その意味をすぐに理解した。
「リーフさん?!」
「やあ。ちゃんと会うのは一ヶ月ぶりぐらいかな?」
荷台の中には、ソワレル学園の理事長であるリーフ・エンドレッドさんが座っていた。
村の入り口前に一際目立つ馬車が待機していた。間違いなく学園用の馬車だろう。しかし、前回乗った馬車とは一味違い驚愕させられた。白くて大きい荷台にも驚かされるが、魔導馬《ソーサ・ホース》が以前よりも一回り大きく、汚れ一つ見えない程真っ白な毛並。自分達が乗るにはあまりにも不釣り合いだと思ってしまうぐらい豪華な馬車が目の前にあるのだ。付近を通った村の人達も、あの馬車を見て呆気に取られている。
「…ねえサダメ。私達、本当にアレに乗るの?」
「…う、うん。多分」
自分も呆気にとられるあまり、ミオの問いかけにも曖昧な返答で返してしまった。流石に学園用の馬車で合っているのだろうが、万が一偶々通りかかった貴族の馬車とかだったらどえらいことになりそうだ。可能性は低いだろうけど、ゼロじゃないからちょっと怖い。
「と、とりあえず行ってみようぜ」
「…うん」
しかし、確認してみないことには何も始まらないし、緊張の面持ちで馬車に近づいていく。
「あ、あのー…」
「んん?」
恐る恐る近づき、馬車の近くで立ち止まっていた御者らしき人物に声を掛ける。白いスーツも見に纏い、ガタイも中々良いせいで余計怖いのだが。
「この馬車って、学園行きの馬車で、合ってます?」
とりあえず愛想笑いで御者に問いかけてみる。緊張しているからか、妙に唾が溜まるのだが。
「そうですよ。あっ、ひょっとしてサダメ・レールステンさんとミオ・チヤドールさんでお間違いございませんか?」
「は、はい!? そうですけど…」
だが、自分達の変な緊張とは裏腹に、御者の人は笑顔な上にわざわざ敬語で返してくれた。よかった。『無礼者!!』とか言われたらどうしようかと思った。
「…アレ? そういえばなんで俺達の名前を?」
間違えずに済んで一安心した途端、不意に疑問が思い浮かぶ。何故自分達の名前を知っているのだろうか。学園行きの馬車だから学園関係者の可能性もあるだろうが、これだけ目立つ感じの人、学園に居ただろうか? 自分達の顔も一目見たときは気づかなかったっぽいし。チェック用の名簿らしきものも持っていなさそうだし、この人は何で自分達を知ったのか謎だな。
「それは中に入ればわかりますよ。ささ、中へどうぞ」
「?」
しかし、御者の人は意味深な返答で返し、そのまま自分達を荷台の方に案内した。中に入れば分かるとはどういう意味なのだろう。全くわからんのだが。
「挨拶はもう済ませたかな?」
「あっ!?」
が、中に入った瞬間、その意味をすぐに理解した。
「リーフさん?!」
「やあ。ちゃんと会うのは一ヶ月ぶりぐらいかな?」
荷台の中には、ソワレル学園の理事長であるリーフ・エンドレッドさんが座っていた。
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