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第4章 入学試験編
第4章ー㊾
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「お待たせしました。こちらが学生証になります。再発行は可能ですが、場合によっては時間が掛かる可能性もあったり、学生証を拾った者が悪用してしまう可能性もあるのでなるべく紛失しないようにしてください」
「はい、ありがとうございます」
難なく学生証を受け取る事が出来一安心。学生証はしっかりとした銅板を使用されており、銅板には名前や学年等の軽い個人情報が刻まれている。どうやらこの学生証、多少力を加えても曲がったりしないぐらいには頑丈で、一応魔法耐性もあり、ある程度の威力なら攻撃魔法も防げるとのこと。胸ポケットとかに入れておけばひょっとしたら防刃の役割を果たしたりしそうかもな。まあ、実用性はほぼほぼないだろうが。
「サダメ、終わった?」
「ん? ああ、ちょうど今終わったとこ」
自分が学生証を受け取ったタイミングでミオがこっちにやって来た。彼女は両手で自身の学生証を見せつけてくる。よっぽど嬉しいのだろう。自分も嬉しいっちゃ嬉しいが、流石に彼女のように無邪気にはなれなかった。これは中身がおっさんだからなのか、それとも性格的な問題なのかは分からない。けど、彼女が喜ぶ姿を見ると不思議とこっちも嬉しくなってしまう。やっぱおっさんだからなのかな。
「サダメ―! ミオー!」
「おお。マヒロも終わったのか?」
彼女の嬉しそうな様子を見守っているなか、今度はマヒロがやって来た。こっちも嬉しそうに走りながら学生証を片手でぶんぶん振り回しながら見せつけてくる。こっちはこっちで元気有り余ってんな。
「うむー! 今から入学式が楽しみでござる!」
「ははは、それは気が早い気がするけど」
元気が有り余りすぎているのか、来るなり目を輝かせてぴょんぴょんと跳ねたりして落ち着きようがない。自分の知ってる女子高生ってこんなきゃぴきゃぴしてただろうか。
「拙者、この高まる気持ちを抑えきれない故、急いで準備しに家に帰るでござる」
「お、おお、そうか。それじゃあ、な゛っ?!」
「えへへ。また会おうでござる、サダメー!」
「ッ?!」
はやる気持ちが抑えきれないからか、別れ際に彼女は自分に抱き着いてきた。この子、かなりスキンシップが激しめというか、あまりにも大胆すぎる。いくらテンションが上がっているとはいえ、初対面で同い年の異性にここまで積極的に来るのは明らかに異常だ。恐らく彼女は無意識にやっているのだろうが、ちょっと危うい子な気がしてきた。他の男子だったら間違いなく勘違いしてただろうな。高校生の頃の自分でも絶対してる自身がある。
けど、今の自分は異性に抱き着かれたからドキッとしたというより、周囲の視線にドキッとさせられている。自分からして見ればおっさんに抱き着いてる女子高生の構図にしか見えないからな。ついつい世間体を気にしてしまう。
「…」
それはともかく、抱き着かれた際にふと自分は魔力感知で彼女の魔力を探っていた。あの時の異様な魔力の正体、ひょっとしたら最後に脱出した彼女のものなのではないかと思い、確かめてみたくなった。
しかし、彼女の魔力はごく平凡。あの時の魔力と見間違える訳がないというぐらいに違いすぎている。あれは気のせいだったのか? いや、あれだけ不可解な魔力を感じて気のせいとは思いにくいのだが。だとすると、あの魔力は一体…
「二人共、さらばでござるー!!」
「あ、ああ。またな」
「…またね」
などと考えていると、いつの間にかマヒロは遠くに行き、こちらに手を振りながら走り去って行った。本当に落ち着きようがないというか、台風のような子だったな。
「…ッチ」
「ん? なんか言った?」
彼女の姿が見えなくなると、後ろに居たミオがぼそりとなにか呟いた。そういえば、急に元気が無くなったように見えるのだが、彼女のテンションの高さに付いて行けずに下がってしまったのだろうか。
「サダメの、エッチーーーーー!!!」
「ぶへあっ?!」
と思いきや、いきなりミオは自身の学生証で自分の頬を思いっきりぶってきた。銅とはいえ金属。金属バット並の重さと衝撃が頬の骨に伝わり、ぶっ飛ばされると同時に口から勢いよく血を噴き出した。ああ、そういうことか。自分がマヒロに抱き着かれて鼻の下でも伸ばしたとでも思っていたのだろう。アレ? 仮にそうだったとしても、自分に落ち度あるのかこれ? にしても、まさか学生証にこんな実用方法があったとは。流石の一言としか言わざるを得ない。
そんなこんなあり、自分とミオはなんとか試験に合格し、晴れてソワレル魔法学園に通う事となった。
―転生勇者が死ぬまで、残り4112日
「はい、ありがとうございます」
難なく学生証を受け取る事が出来一安心。学生証はしっかりとした銅板を使用されており、銅板には名前や学年等の軽い個人情報が刻まれている。どうやらこの学生証、多少力を加えても曲がったりしないぐらいには頑丈で、一応魔法耐性もあり、ある程度の威力なら攻撃魔法も防げるとのこと。胸ポケットとかに入れておけばひょっとしたら防刃の役割を果たしたりしそうかもな。まあ、実用性はほぼほぼないだろうが。
「サダメ、終わった?」
「ん? ああ、ちょうど今終わったとこ」
自分が学生証を受け取ったタイミングでミオがこっちにやって来た。彼女は両手で自身の学生証を見せつけてくる。よっぽど嬉しいのだろう。自分も嬉しいっちゃ嬉しいが、流石に彼女のように無邪気にはなれなかった。これは中身がおっさんだからなのか、それとも性格的な問題なのかは分からない。けど、彼女が喜ぶ姿を見ると不思議とこっちも嬉しくなってしまう。やっぱおっさんだからなのかな。
「サダメ―! ミオー!」
「おお。マヒロも終わったのか?」
彼女の嬉しそうな様子を見守っているなか、今度はマヒロがやって来た。こっちも嬉しそうに走りながら学生証を片手でぶんぶん振り回しながら見せつけてくる。こっちはこっちで元気有り余ってんな。
「うむー! 今から入学式が楽しみでござる!」
「ははは、それは気が早い気がするけど」
元気が有り余りすぎているのか、来るなり目を輝かせてぴょんぴょんと跳ねたりして落ち着きようがない。自分の知ってる女子高生ってこんなきゃぴきゃぴしてただろうか。
「拙者、この高まる気持ちを抑えきれない故、急いで準備しに家に帰るでござる」
「お、おお、そうか。それじゃあ、な゛っ?!」
「えへへ。また会おうでござる、サダメー!」
「ッ?!」
はやる気持ちが抑えきれないからか、別れ際に彼女は自分に抱き着いてきた。この子、かなりスキンシップが激しめというか、あまりにも大胆すぎる。いくらテンションが上がっているとはいえ、初対面で同い年の異性にここまで積極的に来るのは明らかに異常だ。恐らく彼女は無意識にやっているのだろうが、ちょっと危うい子な気がしてきた。他の男子だったら間違いなく勘違いしてただろうな。高校生の頃の自分でも絶対してる自身がある。
けど、今の自分は異性に抱き着かれたからドキッとしたというより、周囲の視線にドキッとさせられている。自分からして見ればおっさんに抱き着いてる女子高生の構図にしか見えないからな。ついつい世間体を気にしてしまう。
「…」
それはともかく、抱き着かれた際にふと自分は魔力感知で彼女の魔力を探っていた。あの時の異様な魔力の正体、ひょっとしたら最後に脱出した彼女のものなのではないかと思い、確かめてみたくなった。
しかし、彼女の魔力はごく平凡。あの時の魔力と見間違える訳がないというぐらいに違いすぎている。あれは気のせいだったのか? いや、あれだけ不可解な魔力を感じて気のせいとは思いにくいのだが。だとすると、あの魔力は一体…
「二人共、さらばでござるー!!」
「あ、ああ。またな」
「…またね」
などと考えていると、いつの間にかマヒロは遠くに行き、こちらに手を振りながら走り去って行った。本当に落ち着きようがないというか、台風のような子だったな。
「…ッチ」
「ん? なんか言った?」
彼女の姿が見えなくなると、後ろに居たミオがぼそりとなにか呟いた。そういえば、急に元気が無くなったように見えるのだが、彼女のテンションの高さに付いて行けずに下がってしまったのだろうか。
「サダメの、エッチーーーーー!!!」
「ぶへあっ?!」
と思いきや、いきなりミオは自身の学生証で自分の頬を思いっきりぶってきた。銅とはいえ金属。金属バット並の重さと衝撃が頬の骨に伝わり、ぶっ飛ばされると同時に口から勢いよく血を噴き出した。ああ、そういうことか。自分がマヒロに抱き着かれて鼻の下でも伸ばしたとでも思っていたのだろう。アレ? 仮にそうだったとしても、自分に落ち度あるのかこれ? にしても、まさか学生証にこんな実用方法があったとは。流石の一言としか言わざるを得ない。
そんなこんなあり、自分とミオはなんとか試験に合格し、晴れてソワレル魔法学園に通う事となった。
―転生勇者が死ぬまで、残り4112日
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