転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第4章 入学試験編

第4章ー㉕

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 翌日の早朝。いよいよ試験当日である。朝起きると、一気に緊張感が増してきた。こんなに緊張したのは何時振りだろうか。

 「おはよう、サダメ」

 「おはよう」

 「「…」」

 部屋を出たタイミングで偶然ミオと鉢合わせた。彼女と目が合うとお互い挨拶を交わすのだが、どこかぎこちなかった。恐らく彼女も緊張しているのだろう。当然だ。これが最初で最後のチャンスなのだから、今回の試験で絶対に受からねばならないというプレッシャーもある。

 「…行くか」

 「…そ、そうだね」

 お互いガチガチになりながらも、試験会場の方へと向かった。





 「…マジかよ…」

 学園の校門前に行くと、一昨日の比じゃない程の受験者が既に集まっていた。宿舎に止まっていたのは二百人程で、その十倍の数は居るだろうか。朝っぱらからこの人だかりを見せられて、脳がバグりかけている。こんな人だかりを見るのは多分人生初な気がする。

 「…ここに居る人、全員受験生なんだよね?」

 「まあ、それ以外考えられないな」

 ミオも人だかりを見て茫然としていた。彼女があの中に入ったら、下手したらショック死しかねないな。

 『受験者の皆様、おはようございます! 只今から試験会場へと案内しますので、くれぐれも離れないようにお気を付けください。万が一はぐれて試験会場に辿り着かなかった場合は、その場で不合格になってしまうのでちゃんと付いて来てくださいねー!!』

 人だかりの先頭で男の人のアナウンスが入るが、人が多すぎて全く見えない。こりゃあ前方の人達が見失ったら終わりだな。流石にそんなことはないだろうが、ちょっと不安だな。前方に行きたいが、ミオには少々キツいだろうし、なるべく人の流れから外れないようにしないとな。





 その後、男の人がはぐれないように定期的にアナウンスしてくれたおかげで自分の不安は払拭され、試験会場へと進んで行く。校門から入り、本校舎であろう建物を横切って行く。わざわざこれだけの人を案内するっていうことは、どうやら会場は本校舎とは違う場所のようだ。いくらなんでもこれだけの人数を入れるのは流石に厳しいか。在校生も居るだろうし。

 しかし、進むにつれ別の不安が過る。はたして、このまま人混みについて行けば試験会場に辿り着くのだろうか。ひょっとしたら試験会場に辿り着くまでが試験内容、なんてどこかの漫画で見た事ある展開になったりしないだろうか。歩くの早くなったりしないよね? ここに来て謎の漫画脳が爆発して、変な不安を一人で勝手に抱いていた。本当に大丈夫なのだろうか?
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