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第4章 入学試験編
第4章ー⑨
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「なるほど。その歳であそこまでの勇敢さを秘めているのはそういうことだったのか。随分と大変な人生を歩んでいたんだね」
それから暫くの間、近くの酒場でリーフさんと色んな話をしていた。ちなみに、さっきまで大騒ぎしていた村人達であるが、リーフさんが賊を捕まえたおかげで徐々に落ち着きを取り戻し、営業を止めていた店も通常営業に戻る店もちらほら出て来ていた。酒場の店主も恩人へのせめてものお礼ということで酒とつまみをタダで提供。ちゃっかり自分もジュースをご馳走して貰っていた。何もしていないのにこんな待遇してくれたのは少々心苦しかったが、気前のいい店主は気にするなと笑顔で奢ってくれたものだから断る事が出来なかった。
それと、例の賊は騎士団が来るまでの間は馬小屋に拘束されている。昔、自分に馬を貸してくれたおじさんが今度は馬小屋を貸してくれたそうだ。本当にあのおじさんは良い人だな。
そんなこんなでお互い飲みながら自分の事を話し合っていた。驚くべきことに、リーフさんはソワレル魔法学園の教員を務めているらしく、あちこちの村に行っては良い人材を見つけ声を掛けたりもしてるそうだ。中にはスカウト枠で学園に特別入学してくれる場合もあるそうだ。学校そっちのけでスカウトの旅してるってことは、クラスを受け持ってたり、担当科目があるわけではないのだろうか。あれ? じゃあこの人はなぜ学園に努めているのだろうか。スカウト担当か?
「とはいえ、ああいう輩に勇気を出して立ち向かうのは凄い事だ。よっぽどその勇者に憧れているんだね」
「はい。俺、勇者みたいな強くて優しくて、威厳のあるような人になりたいんです」
リーフさんとの話は不思議と居心地がよく、周りに隠していた事もついつい話してしまう。それぐらい謎の魅力をこの人から感じているのだろうか。
十年前。自分は勇者に憧れ、先ずは強くなろうと特訓しまくった。そんな中、勇者は行方不明となった。なぜかはわからない。一時、新聞の記事に『勇者死亡説』を書く者が現れ、それが物議を醸しだしていた時期もあった。それほど勇者の失踪は驚愕させられた。
最初は信じられなかった。人知れず魔物達と戦っているのだろうと思っていた。しかし、あの日から今日に至るまで、勇者の目撃情報は一切聞かれず、次第に村の人達も話題にしなくなっていた。
今は正直、死亡説を疑っている。あれだけ凄い人が、一切の痕跡を残さず魔物達と戦っているなんてにわかには信じがたい。流石の自分も中身はいいおっさんだ。それぐらい察することは出来る。
ただ、勇者に憧れたあの時の気持ちは今でも持っているし、勇者のような人になることを今でも諦めていない。たとえあの人がこの世から居なくなったとしても、次は自分があの人の意思を受け継ぐつもりだ。あの人なら望んではいないだろうけどな。
「ふむ。それなら…」
「はい?」
勇者のような人になりたいという自分の発言をリーフさんは笑ったりせず、寧ろなにか考え込み、提案を持ち掛けようとしていた。
「魔法学園の入学試験、受けてみないかい?」
それから暫くの間、近くの酒場でリーフさんと色んな話をしていた。ちなみに、さっきまで大騒ぎしていた村人達であるが、リーフさんが賊を捕まえたおかげで徐々に落ち着きを取り戻し、営業を止めていた店も通常営業に戻る店もちらほら出て来ていた。酒場の店主も恩人へのせめてものお礼ということで酒とつまみをタダで提供。ちゃっかり自分もジュースをご馳走して貰っていた。何もしていないのにこんな待遇してくれたのは少々心苦しかったが、気前のいい店主は気にするなと笑顔で奢ってくれたものだから断る事が出来なかった。
それと、例の賊は騎士団が来るまでの間は馬小屋に拘束されている。昔、自分に馬を貸してくれたおじさんが今度は馬小屋を貸してくれたそうだ。本当にあのおじさんは良い人だな。
そんなこんなでお互い飲みながら自分の事を話し合っていた。驚くべきことに、リーフさんはソワレル魔法学園の教員を務めているらしく、あちこちの村に行っては良い人材を見つけ声を掛けたりもしてるそうだ。中にはスカウト枠で学園に特別入学してくれる場合もあるそうだ。学校そっちのけでスカウトの旅してるってことは、クラスを受け持ってたり、担当科目があるわけではないのだろうか。あれ? じゃあこの人はなぜ学園に努めているのだろうか。スカウト担当か?
「とはいえ、ああいう輩に勇気を出して立ち向かうのは凄い事だ。よっぽどその勇者に憧れているんだね」
「はい。俺、勇者みたいな強くて優しくて、威厳のあるような人になりたいんです」
リーフさんとの話は不思議と居心地がよく、周りに隠していた事もついつい話してしまう。それぐらい謎の魅力をこの人から感じているのだろうか。
十年前。自分は勇者に憧れ、先ずは強くなろうと特訓しまくった。そんな中、勇者は行方不明となった。なぜかはわからない。一時、新聞の記事に『勇者死亡説』を書く者が現れ、それが物議を醸しだしていた時期もあった。それほど勇者の失踪は驚愕させられた。
最初は信じられなかった。人知れず魔物達と戦っているのだろうと思っていた。しかし、あの日から今日に至るまで、勇者の目撃情報は一切聞かれず、次第に村の人達も話題にしなくなっていた。
今は正直、死亡説を疑っている。あれだけ凄い人が、一切の痕跡を残さず魔物達と戦っているなんてにわかには信じがたい。流石の自分も中身はいいおっさんだ。それぐらい察することは出来る。
ただ、勇者に憧れたあの時の気持ちは今でも持っているし、勇者のような人になることを今でも諦めていない。たとえあの人がこの世から居なくなったとしても、次は自分があの人の意思を受け継ぐつもりだ。あの人なら望んではいないだろうけどな。
「ふむ。それなら…」
「はい?」
勇者のような人になりたいという自分の発言をリーフさんは笑ったりせず、寧ろなにか考え込み、提案を持ち掛けようとしていた。
「魔法学園の入学試験、受けてみないかい?」
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