転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第3章 逆襲編

第3章ー㉛

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 協会を去った後、村の人に無理を言って馬を拝借しリーヴ村を出てドレーカ村の方向へ走っていた。それから休息を取りつつ二日程経過していた。

 「ふぅ、あともう少しか」

 親切な村人からドレーカ村までの地図を貰い、なんとか見知った光景の場所まで辿り着いていた。馬まで貸してくれてホント感謝しかないな。

 「…ここには居ないか」

 そんなことを思いつつ、辺りを見渡す。たしかここら辺は自分達が襲われた場所だったと思う。異様な荒地を見ればすぐにわかる。

 しかし、そこには勇者の姿は無かった。ひょっとしたらまたここら辺でなにかしているかと思ったが、違っていたようだ。

 「となると、あとはあそこか」

 勇者の用事と聞いて真っ先にここら辺を思い出したが、残念ながらハズレ。ただ、もう一つ心当たりのある場所がある。

 それがドレーカ村。恐らく勇者はそこに居ると予想し、ここを訪れたのだ。

 だが、ドレーカ村はほぼほぼもぬけの殻だろう。自分達を追いかけて来た魔物は勇者によって全滅している筈。村人も自分とミオ以外の生存者は居ないだろう。多分、勇者はそれを確かめに行ったのだと思う。本来なら自分達が村の状況を話せていれば早い話だったのだが。時間は有限。特に勇者は一秒たりとも無駄に出来ない立場にあるのだろう。

 とはいえ、自分達が何もないと言ったとしても確認は必要だろう。もぬけの殻ということは他の魔物や盗賊みたいな賊が根城に利用している可能性もある。他にも理由はありそうだが、念のために確認しておくのは大事な事だ。

 そう思った自分は、ここに居るという可能性を信じてここまでやって来た。これで勇者が居なければ諦めるしかない。居てくれたらいいなという願望も正直入っている。あの人はどうしても話したくてここまで来たのだ。無駄にはしたくない。

 「すれ違いで会えなくなる可能性もあるし、急ぐか」

 ラエル達の墓場にももう一度手を合わせておきたい所ではあるが、すれ違う可能性もあるから急いでドレーカ村に走って行った。





 「はあ…はあ…」

 それから半日以上経過。ドレーカ村が見えてきた。といっても、村というにはあまりにも閑散とした焼け野原と化していて、村という原型を留めてはいなかった。自分が派手にやってしまったというせいでもあるが、改めて見るとこの村もだいぶ変わってしまったな。流石に賊でも住みそうにないな。

 「あっ」

 しかし、そんな焼け野原の土地に人の姿を一人確認。見覚えのある後ろ姿だった。
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