74 / 201
第3章 逆襲編
第3章ー㉖
しおりを挟む
「『そうですか。なら、遠慮はいりません。やっておしまいなさい!』」
「オッシャアァァァァァ!!」
「くっ!?」
これはかなりマズイ。勇者は手を負傷している。その状態じゃ魔法どころか剣を振ることすら出来ない。
「勇者さん。ここは逃げた方が…」
そう思った自分は勇者に逃げるよう提案してみた。いくら十死怪を倒せる実力者とはいえ、剣も握れない状態じゃどうやっても戦えるわけがない。
「大丈夫。一撃で終わらせれば問題ない」
「えっ? 一撃?」
しかし、勇者から信じられない発言が飛び出してくる。向こうは十人以上、目の前にはエイシャだって居る。そいつらを一撃で倒すって? いくらなんでも無理がある。その手で一体何が出来る?
「降りそそげ、残り火の塵芥達」
「『ん?』」
そう思っていた矢先、勇者が魔法を詠唱し始めた。だが、手を構える様子はない。武器を出す素振りも見えない。ただ、急に空が赤く染まっているような気がした。まだ日が出る時間帯ではないはず。エイシャも違和感に気づいたのか、上に視線を移していた。それにつられるように自分も上を見上げる。
「あっ」
上を見ると、驚愕の光景が目撃。
「【降火灰塵《ディセイア・ダスト》】」
空から無数に降って来る火の玉の大群。まるで流星群の如く降り注いでくる。空が赤く染まり出したのはそれが原因か。しかし、これだけの数の火の玉を詠唱を唱える僅か数秒の間で生成出来るものなのか。魔法はイメージだ。火の玉を一から作り出すだけでも時間がそれ相応に掛かる筈なのに、それをどうやってこの数を…
「…そうか、残り火!」
という疑問はすぐに解消。さっきのダークボルト戦で放った一撃で残った上空の残り火。それがまだ残っていて、その火を利用して火の玉を生み出したのか。魔法の応用にしても、こんな使い方まで出来るとは思わなんだ。というか、あんな残り火だけでここまで凄い魔法を撃てるなんて、流石は勇者。
「『ちっ』」
「な、なんだありゃあ?!」
「おいおいおい、やべーぞ! 早く逃げろーーー!!」
「ま、待ってくれーーー!!!」
少し遅れながら魔物の連中も上の異変に気付き、状況を理解した後散り散りに逃亡を図ろうとしていた。
「もう遅せーよ」
しかし、攻撃範囲があまりにも広く、半径五〇〇メートル以上は届きそうな程広範囲にまで降り注いでいた。
「くっっっっそぉぉぉぉぉ!!」
「『…覚えておけよ、勇者!』」
降り注ぐ火の玉は次々と地面に着弾。着弾すると激しい爆発で魔物達を巻き添えにしていく。一つ一つの威力は想像以上に高く、地面を軽く吹き飛ばす程。最早爆撃に近しいような威力と化しており、自分達の周囲一帯が戦争のような地獄絵図と化していた。
「オッシャアァァァァァ!!」
「くっ!?」
これはかなりマズイ。勇者は手を負傷している。その状態じゃ魔法どころか剣を振ることすら出来ない。
「勇者さん。ここは逃げた方が…」
そう思った自分は勇者に逃げるよう提案してみた。いくら十死怪を倒せる実力者とはいえ、剣も握れない状態じゃどうやっても戦えるわけがない。
「大丈夫。一撃で終わらせれば問題ない」
「えっ? 一撃?」
しかし、勇者から信じられない発言が飛び出してくる。向こうは十人以上、目の前にはエイシャだって居る。そいつらを一撃で倒すって? いくらなんでも無理がある。その手で一体何が出来る?
「降りそそげ、残り火の塵芥達」
「『ん?』」
そう思っていた矢先、勇者が魔法を詠唱し始めた。だが、手を構える様子はない。武器を出す素振りも見えない。ただ、急に空が赤く染まっているような気がした。まだ日が出る時間帯ではないはず。エイシャも違和感に気づいたのか、上に視線を移していた。それにつられるように自分も上を見上げる。
「あっ」
上を見ると、驚愕の光景が目撃。
「【降火灰塵《ディセイア・ダスト》】」
空から無数に降って来る火の玉の大群。まるで流星群の如く降り注いでくる。空が赤く染まり出したのはそれが原因か。しかし、これだけの数の火の玉を詠唱を唱える僅か数秒の間で生成出来るものなのか。魔法はイメージだ。火の玉を一から作り出すだけでも時間がそれ相応に掛かる筈なのに、それをどうやってこの数を…
「…そうか、残り火!」
という疑問はすぐに解消。さっきのダークボルト戦で放った一撃で残った上空の残り火。それがまだ残っていて、その火を利用して火の玉を生み出したのか。魔法の応用にしても、こんな使い方まで出来るとは思わなんだ。というか、あんな残り火だけでここまで凄い魔法を撃てるなんて、流石は勇者。
「『ちっ』」
「な、なんだありゃあ?!」
「おいおいおい、やべーぞ! 早く逃げろーーー!!」
「ま、待ってくれーーー!!!」
少し遅れながら魔物の連中も上の異変に気付き、状況を理解した後散り散りに逃亡を図ろうとしていた。
「もう遅せーよ」
しかし、攻撃範囲があまりにも広く、半径五〇〇メートル以上は届きそうな程広範囲にまで降り注いでいた。
「くっっっっそぉぉぉぉぉ!!」
「『…覚えておけよ、勇者!』」
降り注ぐ火の玉は次々と地面に着弾。着弾すると激しい爆発で魔物達を巻き添えにしていく。一つ一つの威力は想像以上に高く、地面を軽く吹き飛ばす程。最早爆撃に近しいような威力と化しており、自分達の周囲一帯が戦争のような地獄絵図と化していた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

記憶喪失の異世界転生者を拾いました
町島航太
ファンタジー
深淵から漏れる生物にとって猛毒である瘴気によって草木は枯れ果て、生物は病に侵され、魔物が這い出る災厄の時代。
浄化の神の神殿に仕える瘴気の影響を受けない浄化の騎士のガルは女神に誘われて瘴気を止める旅へと出る。
近くにあるエルフの里を目指して森を歩いていると、土に埋もれた記憶喪失の転生者トキと出会う。
彼女は瘴気を吸収する特異体質の持ち主だった。

猛焔滅斬の碧刃龍
ガスト
ファンタジー
ある日、背後から何者かに突然刺され死亡した主人公。
目覚めると神様的な存在に『転生』を迫られ 気付けば異世界に!
火を吐くドラゴン、動く大木、ダンジョンに魔王!!
有り触れた世界に転生したけど、身体は竜の姿で⋯!?
仲間と出会い、絆を深め、強敵を倒す⋯単なるファンタジーライフじゃない!
進むに連れて、どんどんおかしな方向に行く主人公の運命!
グルグルと回る世界で、一体どんな事が待ち受けているのか!
読んで観なきゃあ分からない!
異世界転生バトルファンタジー!ここに降臨す!
※「小説家になろう」でも投稿しております。
https://ncode.syosetu.com/n5903ga/
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※


異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる