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第3章 逆襲編
第3章ー㉔
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「…」
「んな゛っ!?」
二人の一撃勝負は思いの外あっけない結末を迎えた。
「悪ぃな。全力を使うまでもなかった」
ダークボルトの全力で放った黒雷天は、結界内を覆ってしまう程のどでかい一撃だった。あれでは勇者は逃げることさえ叶わなかっただろう。
しかし、勇者はその一撃を一刀両断。自身が張った結界ごとダークボルトを斬り伏せたのだ。あまりの出来事に状況を理解するまで少し時間が掛かってしまった。
上空には勇者が放ったであろう炎魔法の残り火が舞っており、地面は一帯の草地が跡形もない荒地と化していた。
「…すごい」
ありえない光景を目の当たりにしっぱなしで自分の語彙力がどんどんなくなっているような気がした。だが、実際に凄い光景を目の当たりにすると大抵の人間は言葉を選んでいる余裕も無くなり、安直の言葉しか思い浮かばなくなる。
「さてと…」
そんな自分を余所に勇者は剣を手放しこちらに歩み寄って来る。手放した剣は地面に落ちるとほぼ同時に消失。あの剣は魔法だったのか。
「傷の方は大丈夫かい?」
「あっ、はい。もう大丈夫、みたいです」
歩み寄りながら勇者は負傷していた自分に優しく声を掛けてくれた。さっきまで二人の戦闘に夢中になっていて気づかなかったが、腹の傷は完治しており、痛みも気にならない程度には無くなっていた。
「あ、あの、助けてくれてありがとう、ございます」
回復した自分は勇者に礼を述べようと起き上がろうとするも、身体はまだ本調子ではなさそうで、無礼だと思いつつも半分寝た状態で礼を述べた。
「無理して起きなくてもいいよ。完治したとはいえさっきまで重症だったんだ。身体もまだ状況を理解出来てなくて戸惑ってるんだろ」
「は、はあ…」
冗談交じりに語る勇者の顔はとても優しい笑顔を浮かべていた。そういえば、この人の顔を真正面からちゃんと見るのは初めてだな。二十代前半ぐらいの青年顔で汗と泥で若干不衛生に見えるが、不思議と爽やかさを感じる。
「それはさておき、君達に色々聞かなきゃならない事があるんだが…うーん、身体の調子もまだ完璧じゃないだろうし、とりあえず先にどっか休める場所まで移動するべきか。一旦休憩してからでも…」
「あ、あの、俺達は大丈夫なんで、それよりも…」
勇者は自分達を気遣って今後の予定を考えてくれているが、まだすべきことが残ってある。まずは先に皆の死体を回収して置きたい。あのまま放っておくと風でどこかに飛ばされたり野生の魔物の餌にされてしまうかもしれない。そういう不安が頭にあった為、勇者に力を貸して貰おうと提案しようとした。
その時だった。
「『【黒影双槍《ダーシャ・ぺスピア》】!』」
「ッ!?」
勇者の背後から聞き覚えある台詞。それを聞き瞬時に勇者は背後を振り返るが…
「がぁっ!?」
地面から現れた二つの黒い槍が、勇者の腹を貫いた。
「んな゛っ!?」
二人の一撃勝負は思いの外あっけない結末を迎えた。
「悪ぃな。全力を使うまでもなかった」
ダークボルトの全力で放った黒雷天は、結界内を覆ってしまう程のどでかい一撃だった。あれでは勇者は逃げることさえ叶わなかっただろう。
しかし、勇者はその一撃を一刀両断。自身が張った結界ごとダークボルトを斬り伏せたのだ。あまりの出来事に状況を理解するまで少し時間が掛かってしまった。
上空には勇者が放ったであろう炎魔法の残り火が舞っており、地面は一帯の草地が跡形もない荒地と化していた。
「…すごい」
ありえない光景を目の当たりにしっぱなしで自分の語彙力がどんどんなくなっているような気がした。だが、実際に凄い光景を目の当たりにすると大抵の人間は言葉を選んでいる余裕も無くなり、安直の言葉しか思い浮かばなくなる。
「さてと…」
そんな自分を余所に勇者は剣を手放しこちらに歩み寄って来る。手放した剣は地面に落ちるとほぼ同時に消失。あの剣は魔法だったのか。
「傷の方は大丈夫かい?」
「あっ、はい。もう大丈夫、みたいです」
歩み寄りながら勇者は負傷していた自分に優しく声を掛けてくれた。さっきまで二人の戦闘に夢中になっていて気づかなかったが、腹の傷は完治しており、痛みも気にならない程度には無くなっていた。
「あ、あの、助けてくれてありがとう、ございます」
回復した自分は勇者に礼を述べようと起き上がろうとするも、身体はまだ本調子ではなさそうで、無礼だと思いつつも半分寝た状態で礼を述べた。
「無理して起きなくてもいいよ。完治したとはいえさっきまで重症だったんだ。身体もまだ状況を理解出来てなくて戸惑ってるんだろ」
「は、はあ…」
冗談交じりに語る勇者の顔はとても優しい笑顔を浮かべていた。そういえば、この人の顔を真正面からちゃんと見るのは初めてだな。二十代前半ぐらいの青年顔で汗と泥で若干不衛生に見えるが、不思議と爽やかさを感じる。
「それはさておき、君達に色々聞かなきゃならない事があるんだが…うーん、身体の調子もまだ完璧じゃないだろうし、とりあえず先にどっか休める場所まで移動するべきか。一旦休憩してからでも…」
「あ、あの、俺達は大丈夫なんで、それよりも…」
勇者は自分達を気遣って今後の予定を考えてくれているが、まだすべきことが残ってある。まずは先に皆の死体を回収して置きたい。あのまま放っておくと風でどこかに飛ばされたり野生の魔物の餌にされてしまうかもしれない。そういう不安が頭にあった為、勇者に力を貸して貰おうと提案しようとした。
その時だった。
「『【黒影双槍《ダーシャ・ぺスピア》】!』」
「ッ!?」
勇者の背後から聞き覚えある台詞。それを聞き瞬時に勇者は背後を振り返るが…
「がぁっ!?」
地面から現れた二つの黒い槍が、勇者の腹を貫いた。
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