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第3章 逆襲編
第3章ー⑯
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「なっ、なんだてめ…」
「ふっ!」
「ぬぅっ!?」
ダークボルトの攻撃を受け止めた男は、そのままダークボルトを吹き飛ばした。いや、奴が後ろに跳んだのか。あれだけ余裕そうにしていた奴が圧されたのか?
「炎々《えんえん》燃ゆる不死鳥の、温和に包まれし古巣に永遠の恩恵を、【不死鳥の羽休め】」
「ッ?!」
男の人の方は、間髪入れずに魔法を詠唱し出した。すると、自分達の周りの空気が急に暖かくなってきた。というか、地面の感触も変な感じがする。藁のような感触に近い気がする。それに加え、浮いているような浮遊感すらある。
「な、なん、だ?」
謎の違和感の正体がどうしても気になってしまい、首だけゆっくりと横に向けた。辛うじて横に向けることに成功するが、首を動かすだけでもこれだけ大変だとは正直思わなかった。
「…」
「す、すごい。あったかい」
それはさておき、違和感の正体が判明。先程まで草木に倒れていた自分達だが、いつの間にか枯草の上に倒れていた。枯草は鳥の巣のような皿状の形に形成されており、少しだけ地面から離れていた。つまり、自分達は浮いている鳥の巣に乗っけられているわけだ。
暖かいのは、巣を守るように茜色の結界のようなものが展開されているからなのだろう。全身に蒸気を浴びているような温かさ。例えるならサウナというより岩盤浴に近いか。心地よい温度のおかげか、少しだけ心が落ち着いてきた気がする。
「うわっ!」
そんななか、ミオが急にビックリし出したから何事かと思い、今度は上に首をゆっくり動かす。
「ッ!?」
すると、自分の視界を埋め尽くす程の大きさを誇る巨大な炎の鳥が出現。あまりの大きさに自分も思わず驚愕させられた。そういえば、今自分達が居る場所は鳥の巣。もしかして、この巣の主なのか?
「安心してくれ。こいつは俺の魔法で呼び出した使い魔…の類みたいなもんだ。そこに居ればこいつが君達を守ってくれる。だから、そこで大人しくしててくれ」
自分の疑問を男の人が若干歯切れの悪そうな説明で教えてくれた。使い魔の類、ということは使い魔とは少し違うのだろうか。
「で、でも、サダメ、彼の腹の傷が深くて死にそうなんです!」
そんなことを思っているなか、ミオの方は自分の状況を簡潔に説明してくれていた。そういえば、なんで瀕死の状況で自分はこんなに落ち着いているのだろう。落ち着きすぎて余計な事まで考えてしまっていた。なんか、あんまり痛みを感じないような…
「大丈夫! その魔法は治癒魔法の効果も施されてる。即死とか四肢欠損以外ならなんでも治るよ。その傷なら数分もあれば完治出来るから安心してて!」
「ほ、本当ですか?!」
「ああ。現に今、彼の傷が修復しつつあるよ。見てごらん」
「ッ!? ホントだ…」
気がすると思っていたら、男の人に言われた通りに自分の腹部を見ると、先程まで溢れるように流れていた血は完全に止まっており、紅天画撃で負った傷口が小さくなってきている。それだけではなく、あちこち負っていた他の傷や痛みも無くなっていた。どおりで痛みを感じなかったわけだ。
「ほおぉ? 随分便利な魔法もってやがる、なっ!?」
「ッ!?」
「ふっ!」
呑気に自分の傷を確認していると、ダークボルトが痺れを切らしたかのように自分達に襲い掛かろうとしてきた。
だがしかし、それを男の人は咄嗟に反応し、再び剣で受け止める。今自分は目で追いきれなかった。負傷中というのもあるが、今の攻撃に反応出来ていたかどうか怪しいレベルの速さ。それを男の人は、さっきまでこっちを見ていたというのに、軽々と受け止めた。間違いない。この人、相当強い。
「へっ、俺の速さに付いて来れるとは、面白れぇ! てめぇ、ナニモンだぁ!?」
「俺か? 俺は…」
次の男の一言に、自分の鼓動が高まる。これは恐怖からなどではなく、きっと、好奇心のようなものなのかもしれない。
「勇者だ!」
「ふっ!」
「ぬぅっ!?」
ダークボルトの攻撃を受け止めた男は、そのままダークボルトを吹き飛ばした。いや、奴が後ろに跳んだのか。あれだけ余裕そうにしていた奴が圧されたのか?
「炎々《えんえん》燃ゆる不死鳥の、温和に包まれし古巣に永遠の恩恵を、【不死鳥の羽休め】」
「ッ?!」
男の人の方は、間髪入れずに魔法を詠唱し出した。すると、自分達の周りの空気が急に暖かくなってきた。というか、地面の感触も変な感じがする。藁のような感触に近い気がする。それに加え、浮いているような浮遊感すらある。
「な、なん、だ?」
謎の違和感の正体がどうしても気になってしまい、首だけゆっくりと横に向けた。辛うじて横に向けることに成功するが、首を動かすだけでもこれだけ大変だとは正直思わなかった。
「…」
「す、すごい。あったかい」
それはさておき、違和感の正体が判明。先程まで草木に倒れていた自分達だが、いつの間にか枯草の上に倒れていた。枯草は鳥の巣のような皿状の形に形成されており、少しだけ地面から離れていた。つまり、自分達は浮いている鳥の巣に乗っけられているわけだ。
暖かいのは、巣を守るように茜色の結界のようなものが展開されているからなのだろう。全身に蒸気を浴びているような温かさ。例えるならサウナというより岩盤浴に近いか。心地よい温度のおかげか、少しだけ心が落ち着いてきた気がする。
「うわっ!」
そんななか、ミオが急にビックリし出したから何事かと思い、今度は上に首をゆっくり動かす。
「ッ!?」
すると、自分の視界を埋め尽くす程の大きさを誇る巨大な炎の鳥が出現。あまりの大きさに自分も思わず驚愕させられた。そういえば、今自分達が居る場所は鳥の巣。もしかして、この巣の主なのか?
「安心してくれ。こいつは俺の魔法で呼び出した使い魔…の類みたいなもんだ。そこに居ればこいつが君達を守ってくれる。だから、そこで大人しくしててくれ」
自分の疑問を男の人が若干歯切れの悪そうな説明で教えてくれた。使い魔の類、ということは使い魔とは少し違うのだろうか。
「で、でも、サダメ、彼の腹の傷が深くて死にそうなんです!」
そんなことを思っているなか、ミオの方は自分の状況を簡潔に説明してくれていた。そういえば、なんで瀕死の状況で自分はこんなに落ち着いているのだろう。落ち着きすぎて余計な事まで考えてしまっていた。なんか、あんまり痛みを感じないような…
「大丈夫! その魔法は治癒魔法の効果も施されてる。即死とか四肢欠損以外ならなんでも治るよ。その傷なら数分もあれば完治出来るから安心してて!」
「ほ、本当ですか?!」
「ああ。現に今、彼の傷が修復しつつあるよ。見てごらん」
「ッ!? ホントだ…」
気がすると思っていたら、男の人に言われた通りに自分の腹部を見ると、先程まで溢れるように流れていた血は完全に止まっており、紅天画撃で負った傷口が小さくなってきている。それだけではなく、あちこち負っていた他の傷や痛みも無くなっていた。どおりで痛みを感じなかったわけだ。
「ほおぉ? 随分便利な魔法もってやがる、なっ!?」
「ッ!?」
「ふっ!」
呑気に自分の傷を確認していると、ダークボルトが痺れを切らしたかのように自分達に襲い掛かろうとしてきた。
だがしかし、それを男の人は咄嗟に反応し、再び剣で受け止める。今自分は目で追いきれなかった。負傷中というのもあるが、今の攻撃に反応出来ていたかどうか怪しいレベルの速さ。それを男の人は、さっきまでこっちを見ていたというのに、軽々と受け止めた。間違いない。この人、相当強い。
「へっ、俺の速さに付いて来れるとは、面白れぇ! てめぇ、ナニモンだぁ!?」
「俺か? 俺は…」
次の男の一言に、自分の鼓動が高まる。これは恐怖からなどではなく、きっと、好奇心のようなものなのかもしれない。
「勇者だ!」
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