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第3章 逆襲編
第3章ー⑮
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「がっ!?」
「サダメぐッ!?」
ダークボルトの一撃を食らい、地面にぶっ倒れる。ぶっ倒れる際、自分に捕まっていたミオもその巻き添えを食らっていた。
「ヒュー…ヒュー…ヒュー…」
熱い。腹が燃えるように熱い。それに息苦しさもあって呼吸が上手く出来ない。呼吸をしても空気が抜けるようにヒューヒュー言っていて、酸素が体内に入っているか分からない。
恐る恐る自分の腹部へと目を向ける。腹にくっきりと裂け目のような穴が出来ており、そこから大量に血が流れ出ていた。その光景を見て、これはヤバイと一瞬で悟らされる。
「ほおぉぉ? 胸を穿ったつもりだが、後ろに跳んで辛うじて即死は回避したか」
「ッ!?」
そんななか、奴がこちらに歩み寄って来ていた。マズイ。このままではミオ諸共殺されてしまう。なんとかミオだけでもこの場から逃がさなければ。
「俺の紅天画撃《こうてんかげき》の一撃を躱そうとした事は評価しよう。だが、その傷は人間にとっては致命傷だな。人間ってのはなんて脆弱な生き物だということか」
「う゛っ、ごはっ!?」
とは言いつつも、少し動こうとするだけで吐血してしまうような有様である。ミオに逃げるよう促すだけでも一苦労。駄目だ、ミオだけでも助けたいのに自分ではどうすることも出来ない。
「サダメ、しっかりして! 今治してあげるから!」
「がっ?!」
そんな自分の気持ちとは裏腹に、ミオは自分を助けようと起き上がり、治癒魔法を試みようとしていた。思いもよらぬ彼女の行動に驚愕させられた。
「聖なる風の精よ、癒しの力をお恵みください。【小さき癒しの温風】!!」
「ミ゛ッオ゛ッ…」
駄目だ。ミオの今の実力では到底治せる傷じゃない。それに、ここに来るまでに相当魔力を消費している。もう魔力が尽きていてもおかしくない。ここで魔力と時間を無駄にするより、自分の命を優先して…
「私だって、サダメが生きてる限り絶対にあきらめないから!!」
「ッ!?」
欲しいと思っていたが、ミオの一言に思わず涙が零れてしまった。そうだ、ミオが居る限り自分も諦めないと言ったばかりなのに。なんて皮肉な話だ。
「なるほど。小娘、てめぇ治癒魔法が使えたのか」
「ッ!?」
だが、絶体絶命な状況は決して変わらない。どうする。せめて、最後にゼロ距離で火球を撃って一矢報いるか。はたして自分の身体が持つのだろうか。そもそも魔法を撃てるだけの余裕もあるかどうかだが。
「いいぜ。そいつの傷、治せるもんなら治してみろよ。だが、その前に俺の紅天画撃がてめぇの脳みそぶちまけるかもしれねぇけどな」
「う゛っ?!」
しかし、ダークボルトは冷酷な表情でミオの額に紅天画撃を突きつけている。どうやっても間に合わない。クソ、このままじゃ自分より先にミオが殺されてしまう。一体どうすればいい。
「それじゃあ、しめぇだ」
「ッ!?」
「や゛っ、めっ…」
考える間もなく、目の前でミオが殺されようとしている。頼む、誰でもいい。神でも仏でも、悪魔でも死神でもいい。ミオを、彼女を助けてくれ。自分に出来る最後の抵抗は神頼みしかなかった。神様なんかロクに信じた事もない自分が、まさかここまで切羽詰められるとは。
「…」
そんななか、一瞬の出来事である。瞬きをしたほんの一瞬の事だった。目の前にはダークボルトの姿があった…筈なのだが…
「なっ!?」
瞬きしている間に何者かの後ろ姿に変わっていた。なにが起こったのか全くわからない。死ぬ間際に見えた幻覚かと思ってしまった。
しかし、驚いているのは自分だけでは無かった。先程まで冷酷な顔をしていたダークボルトも驚愕の表情を浮かべていた。よく見ると、ミオに向かって穿とうとしていた紅天画撃を目の前に居る人物が受け止めている。あれは、剣か?
「遅くなってすまない」
奴の攻撃を受け止めながら、背中越しにこちらに話しかけて来た。若い男性の声。身に着けているボロボロのマントが揺らめいているせいもあって顔はよく見えない。けど、その人の声色はどことなく誠実さを感じた。
「けど、もう大丈夫。俺が必ず君達を助ける!」
「サダメぐッ!?」
ダークボルトの一撃を食らい、地面にぶっ倒れる。ぶっ倒れる際、自分に捕まっていたミオもその巻き添えを食らっていた。
「ヒュー…ヒュー…ヒュー…」
熱い。腹が燃えるように熱い。それに息苦しさもあって呼吸が上手く出来ない。呼吸をしても空気が抜けるようにヒューヒュー言っていて、酸素が体内に入っているか分からない。
恐る恐る自分の腹部へと目を向ける。腹にくっきりと裂け目のような穴が出来ており、そこから大量に血が流れ出ていた。その光景を見て、これはヤバイと一瞬で悟らされる。
「ほおぉぉ? 胸を穿ったつもりだが、後ろに跳んで辛うじて即死は回避したか」
「ッ!?」
そんななか、奴がこちらに歩み寄って来ていた。マズイ。このままではミオ諸共殺されてしまう。なんとかミオだけでもこの場から逃がさなければ。
「俺の紅天画撃《こうてんかげき》の一撃を躱そうとした事は評価しよう。だが、その傷は人間にとっては致命傷だな。人間ってのはなんて脆弱な生き物だということか」
「う゛っ、ごはっ!?」
とは言いつつも、少し動こうとするだけで吐血してしまうような有様である。ミオに逃げるよう促すだけでも一苦労。駄目だ、ミオだけでも助けたいのに自分ではどうすることも出来ない。
「サダメ、しっかりして! 今治してあげるから!」
「がっ?!」
そんな自分の気持ちとは裏腹に、ミオは自分を助けようと起き上がり、治癒魔法を試みようとしていた。思いもよらぬ彼女の行動に驚愕させられた。
「聖なる風の精よ、癒しの力をお恵みください。【小さき癒しの温風】!!」
「ミ゛ッオ゛ッ…」
駄目だ。ミオの今の実力では到底治せる傷じゃない。それに、ここに来るまでに相当魔力を消費している。もう魔力が尽きていてもおかしくない。ここで魔力と時間を無駄にするより、自分の命を優先して…
「私だって、サダメが生きてる限り絶対にあきらめないから!!」
「ッ!?」
欲しいと思っていたが、ミオの一言に思わず涙が零れてしまった。そうだ、ミオが居る限り自分も諦めないと言ったばかりなのに。なんて皮肉な話だ。
「なるほど。小娘、てめぇ治癒魔法が使えたのか」
「ッ!?」
だが、絶体絶命な状況は決して変わらない。どうする。せめて、最後にゼロ距離で火球を撃って一矢報いるか。はたして自分の身体が持つのだろうか。そもそも魔法を撃てるだけの余裕もあるかどうかだが。
「いいぜ。そいつの傷、治せるもんなら治してみろよ。だが、その前に俺の紅天画撃がてめぇの脳みそぶちまけるかもしれねぇけどな」
「う゛っ?!」
しかし、ダークボルトは冷酷な表情でミオの額に紅天画撃を突きつけている。どうやっても間に合わない。クソ、このままじゃ自分より先にミオが殺されてしまう。一体どうすればいい。
「それじゃあ、しめぇだ」
「ッ!?」
「や゛っ、めっ…」
考える間もなく、目の前でミオが殺されようとしている。頼む、誰でもいい。神でも仏でも、悪魔でも死神でもいい。ミオを、彼女を助けてくれ。自分に出来る最後の抵抗は神頼みしかなかった。神様なんかロクに信じた事もない自分が、まさかここまで切羽詰められるとは。
「…」
そんななか、一瞬の出来事である。瞬きをしたほんの一瞬の事だった。目の前にはダークボルトの姿があった…筈なのだが…
「なっ!?」
瞬きしている間に何者かの後ろ姿に変わっていた。なにが起こったのか全くわからない。死ぬ間際に見えた幻覚かと思ってしまった。
しかし、驚いているのは自分だけでは無かった。先程まで冷酷な顔をしていたダークボルトも驚愕の表情を浮かべていた。よく見ると、ミオに向かって穿とうとしていた紅天画撃を目の前に居る人物が受け止めている。あれは、剣か?
「遅くなってすまない」
奴の攻撃を受け止めながら、背中越しにこちらに話しかけて来た。若い男性の声。身に着けているボロボロのマントが揺らめいているせいもあって顔はよく見えない。けど、その人の声色はどことなく誠実さを感じた。
「けど、もう大丈夫。俺が必ず君達を助ける!」
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