転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第3章 逆襲編

第3章ー④

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 「ふわぁっー、ごはん食べたらなんだか眠くなってきちゃったよー」

 「うん、僕もー」

 晩飯を食べ終えると、眠そうに目を擦ったり、ウトウトし始める子達がちらほら増えてきた。そりゃあ月がよく見える時間帯だ。何時かまでは分からないが、下手をすると日付が変わっていてもおかしくないぐらい夜が更けっている。朝から活動しているのせいもあって相当眠気に襲われているに決まっている。現に自分も正直かなり眠気に襲われていた。

 「うーん…そうだな。今日はずっと動きっぱなしだし、交代制で少しだけ仮眠取った方が良さそうだな」

 ラエルも皆の様子を見てか、仮眠の時間を設ける事を提案してきた。まあ、こんな疲弊した状態で進むのは危険だろうし、この判断は当然だろうな。

 「よし、先にお前達寝ていいぞ。30分したら交代な。サダメ、お前もな」

 「えっ?! 俺も?!」

 しかし、ラエルよりも先に自分が寝ろと言われた事には少々驚かされた。戦力的に考えて自分が見張って置いた方が良さそうに思えるが。

 「当たり前だろ。お前は少し働きすぎだ。あいつらとやりあって疲労も結構溜まってんだろ? 無理すんなって」

 「いやでも、俺が見張って置いた方が良いんじゃないのか?」

 「大丈夫。村から大分離れてんだ。馬なしじゃあ魔物の連中だってまだ追い付いて来れないはずだ。安心出来るうちにお前の体力をなるべく回復させときたい。いざあいつらに追いつかれた時、お前の力が必要になるんだからよ」

 「…」

 たしかに。戦力面を考えるなら自分の体力はなるべく温存しておきたい。魔物の連中もまだここに来る気配はなさそうだし、後の事を考えると優先順位は自分になるのか。

 「わかった。じゃあお先に失礼するよ」

 「ああ。ミオ、悪いけどサダメが寝てる間に出来るだけ治療しておいてくれ」

 「うん、わかった」

 ラエルの言葉に甘えて仮眠を取ろうと横になる。目を閉じた瞬間、疲労と眠気が更に襲ってきてすぐに眠りに落ちそうだ。ヤバイなこりゃ。30分で起きれるか心配になるレベルだ。

 「悪ぃミオ、時間になったら起こしてくれ」

 「わかってる。だから少しでも休んでて」

 「うん。おやすみ」

 「おやすみなさい」

 念の為に自分は横に待機しているミオに頼んだ後、眠りについた。寝ている最中、ミオに治療魔法を施して貰っているのだが、それが暖かくてとても心地がいい。そのせいで余計起きれなくなりそうだ。

 そんな心配がありながらも、ものの数分で自分は眠りにつくのだった。
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