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第1章 転生編
第1章ー①
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岩倉運命さだめ、27歳フリーター。独身、交際歴なし。地元のスーパーで働いているごくごく普通の社会人の人生は一人の少年の妙な好奇心によって終わりを迎えた。そう、岩倉運命の人生はそこで終わった。
(んん? なんか眩しいな)
ふと意識が蘇り、薄っすらと目を開ける。
目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。
「ほらほらお父さん、目を開きましたよ!? 早く抱っこしてあげてください」
「あっ、は、はい!? って、ど、どうやって持ったらいいんでしたっけ?」
「ふふっ、落ち着いてくださいお父さん」
自分が目を覚ましたからか、やたら騒がしくなった。というか、ここはどこだ? 病院? ひょっとして助かったのか?
「あっ、あっ…」
必死に声を出そうとしているが、上手く声が出せない。それどころか、色々と違和感を感じていた。身体が揺れるような感覚がするし、下半身との間隔が妙に短く感じて、言葉で言い表すのが難しいが、自分の身体がなんか変なのだ。なんなんだ、この何とも言えない感覚は。
「よ、よーしよし、パ、パパですよー! よーしよし」
「!?」
変な感覚に襲われていると、いきなり知らない男の顔が自分の視界に入って来た…というか近い! 近すぎるしめっちゃ笑顔だし!? アラサーの男に迫る距離感じゃない! なにこれ?! めっちゃ怖いんですけど!?
「おっ、おお、おお、おおっと!? あ、あぶねえ…」
「お父さん! 気を付けて持ってくださいよ!? 赤ちゃんの首は繊細なんですからー」
「すすす、すいません!!」
??? さっきから話が見えてこない。急に知らない男が顔を近づけてくるし、なんか身体も持ちあげられてるっぽいし、首がグラグラして一瞬脳がぐわんってなるし。脳震盪起こすかと思ったわ。
「…あなた、わたしにも…見せてくれない?」
「あ、ああ、そうだな。よ、よーし、あああ危ないからゆっくり渡すぞー」
男に持ち上げられた自分の視界が再び動き出した。ただでさえ状況の整理が追い付いていないのに、あちこち移動させられて目まぐるしい。そもそも怪我人をこうまで動かしていいものなのだろうか?
「あ、あー」
一旦止めて欲しいと声を出そうとするも、思うように声が出せない。よほどの重症なのかなんなのかは知らないが、どうやら今の自分は声を発することがロクに出来ない状況らしい。なら、尚更無理に動かすべきではないのでは?
「ほ、ほーら、こっちがママですよー」
(ママって、今時ママ呼びなんてしたことないんだけど…)
なぜかママ呼びする男を横目に、今度は女の方に顔を向けられる。状況を飲みこめないから、いい加減だれかこの状況について説明して欲しかった。
のだが、女の顔を見て、なぜかそんなことを忘れてしまいそうになるぐらい、見惚れてしまっていた。
二次元から飛び出してきたような金髪美女が、俺の目の前に居た。
「うふふ、ようやくあなたの顔を見ることが出来た。ママ嬉しいわ」
「あ、あー」
あまりの美しさに思わず声が漏れてしまう。漏れた瞬間に思ったが、いい歳した男が美女に見惚れて声が漏れるって、中々にハズいな。顔が熱くなりそうだ。
それにしても、未だにわからないことだらけで、一体どうしたらいいのだろうかこの状況。
男の方もそうだが、女の方も見覚えがない。顔立ちも両方日本人っぽくないし、マジで誰なんだこの人たち。今さらだが、この場所も病院っぽくない気がする。だとすると、余計に謎が増えていく。
「ああ、愛らしい。顔もこんなに小さいし、手だってこんなに小さい」
(んん?!)
女の人は自分の顔を見てうっとりした表情を浮かべていた。そんな顔で見られると、こっちがドキドキしてしまうんですけど!?
とか思っていたら、とある事実に気づいてしまう。女の人が自分の手を握って来たのだが、自分の手が異様に小さかったのだ。女の人の小指をなんとか握れるレベルだ。
その光景を見て、自分の頭の中のパズルのピースが綺麗にはまっていく。パパとママと呼んでいる見知らぬ二人の存在、身体の違和感、謎の言語障害、そして、あのときの記憶。
「ねえあなた、名前はもう決めたの?」
「うん? あ、ああ。子供に名前付けるなんて初めてだから…これでいいのかどうか…」
「それだけ真剣に悩んで決めてるなら、だれも文句言ったりしないわ」
そうか、自分はあのとき、たしかに死んだんだ。あの少年に刃物で刺されて。そして、今の俺は…
「この子の名前はサダメ、サダメ・レールステンだ!」
(新しい世界に転生したんだ!)
こうして自分は、新しい名・サダメ・レールステンとして生を受けたのだった。
―勇者が死ぬまで、残り10000日
(んん? なんか眩しいな)
ふと意識が蘇り、薄っすらと目を開ける。
目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。
「ほらほらお父さん、目を開きましたよ!? 早く抱っこしてあげてください」
「あっ、は、はい!? って、ど、どうやって持ったらいいんでしたっけ?」
「ふふっ、落ち着いてくださいお父さん」
自分が目を覚ましたからか、やたら騒がしくなった。というか、ここはどこだ? 病院? ひょっとして助かったのか?
「あっ、あっ…」
必死に声を出そうとしているが、上手く声が出せない。それどころか、色々と違和感を感じていた。身体が揺れるような感覚がするし、下半身との間隔が妙に短く感じて、言葉で言い表すのが難しいが、自分の身体がなんか変なのだ。なんなんだ、この何とも言えない感覚は。
「よ、よーしよし、パ、パパですよー! よーしよし」
「!?」
変な感覚に襲われていると、いきなり知らない男の顔が自分の視界に入って来た…というか近い! 近すぎるしめっちゃ笑顔だし!? アラサーの男に迫る距離感じゃない! なにこれ?! めっちゃ怖いんですけど!?
「おっ、おお、おお、おおっと!? あ、あぶねえ…」
「お父さん! 気を付けて持ってくださいよ!? 赤ちゃんの首は繊細なんですからー」
「すすす、すいません!!」
??? さっきから話が見えてこない。急に知らない男が顔を近づけてくるし、なんか身体も持ちあげられてるっぽいし、首がグラグラして一瞬脳がぐわんってなるし。脳震盪起こすかと思ったわ。
「…あなた、わたしにも…見せてくれない?」
「あ、ああ、そうだな。よ、よーし、あああ危ないからゆっくり渡すぞー」
男に持ち上げられた自分の視界が再び動き出した。ただでさえ状況の整理が追い付いていないのに、あちこち移動させられて目まぐるしい。そもそも怪我人をこうまで動かしていいものなのだろうか?
「あ、あー」
一旦止めて欲しいと声を出そうとするも、思うように声が出せない。よほどの重症なのかなんなのかは知らないが、どうやら今の自分は声を発することがロクに出来ない状況らしい。なら、尚更無理に動かすべきではないのでは?
「ほ、ほーら、こっちがママですよー」
(ママって、今時ママ呼びなんてしたことないんだけど…)
なぜかママ呼びする男を横目に、今度は女の方に顔を向けられる。状況を飲みこめないから、いい加減だれかこの状況について説明して欲しかった。
のだが、女の顔を見て、なぜかそんなことを忘れてしまいそうになるぐらい、見惚れてしまっていた。
二次元から飛び出してきたような金髪美女が、俺の目の前に居た。
「うふふ、ようやくあなたの顔を見ることが出来た。ママ嬉しいわ」
「あ、あー」
あまりの美しさに思わず声が漏れてしまう。漏れた瞬間に思ったが、いい歳した男が美女に見惚れて声が漏れるって、中々にハズいな。顔が熱くなりそうだ。
それにしても、未だにわからないことだらけで、一体どうしたらいいのだろうかこの状況。
男の方もそうだが、女の方も見覚えがない。顔立ちも両方日本人っぽくないし、マジで誰なんだこの人たち。今さらだが、この場所も病院っぽくない気がする。だとすると、余計に謎が増えていく。
「ああ、愛らしい。顔もこんなに小さいし、手だってこんなに小さい」
(んん?!)
女の人は自分の顔を見てうっとりした表情を浮かべていた。そんな顔で見られると、こっちがドキドキしてしまうんですけど!?
とか思っていたら、とある事実に気づいてしまう。女の人が自分の手を握って来たのだが、自分の手が異様に小さかったのだ。女の人の小指をなんとか握れるレベルだ。
その光景を見て、自分の頭の中のパズルのピースが綺麗にはまっていく。パパとママと呼んでいる見知らぬ二人の存在、身体の違和感、謎の言語障害、そして、あのときの記憶。
「ねえあなた、名前はもう決めたの?」
「うん? あ、ああ。子供に名前付けるなんて初めてだから…これでいいのかどうか…」
「それだけ真剣に悩んで決めてるなら、だれも文句言ったりしないわ」
そうか、自分はあのとき、たしかに死んだんだ。あの少年に刃物で刺されて。そして、今の俺は…
「この子の名前はサダメ、サダメ・レールステンだ!」
(新しい世界に転生したんだ!)
こうして自分は、新しい名・サダメ・レールステンとして生を受けたのだった。
―勇者が死ぬまで、残り10000日
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