30 / 32
第二十章 こんにちは、新しい私
百八十話 私は帰って来た。
しおりを挟む
角州(かくしゅう)半島のちょうど中央部あたりに位置する、石造りの砦。
私と翔霏(しょうひ)はそこで臨検と身元照会を済ませ、国境を越えて昂国(こうこく)へと戻った。
「……翠蝶(すいちょう)?」
そのとき玄霧(げんむ)さんに会い、そんなことを言われたのである。
ちょうど国境警備の業務で、砦に足を運んでいたタイミングだったようだ。
「いくら雰囲気が似てるからって実のお兄さんである玄霧さんが間違えないでくださいよ。そもそも身重の翠さまがこんな格好で国境まで来るわけが」
私は途中まで言って。
いや、その可能性はゼロではないな、と思い直した。
「う、うむ。俺も疲れているのかもしれん」
眉間を指で揉みながら、玄霧さんが言った。
左軍正使さまも大変ですね。
翠さまなら、万が一そんなことをしでかしても不思議はないのだと、実の兄だからこそわかっているのかもしれない。
翔霏が今回の旅の顛末について、軽く玄霧さんに報告する。
「先に出した手紙でおおまかなことは伝わっているでしょうが、多少の不測の事態はあったものの、私たちは全員が無事です。墓の工事の段取りに関しては、向こうに残った椿珠から追って連絡があるでしょう」
「ああ、よくやってくれた。今は長旅で疲れているだろう。部屋を用意してあるから、ここでしっかり休んで斜羅(しゃら)の屋敷に帰れ」
相変わらず心配りと段取りの人、玄霧さんであった。
ちなみに私が斬られて死にかけて、けれど不思議と一瞬で傷が塞がり復活したことは、報告の中に入れていない。
私たちにとってもわけがわからないことなので、いたずらに司午家(しごけ)の人を混乱させたくないという意図によるものである。
詳しく聞かれたところで、説明のしようもないからね。
「ってここ、牢屋じゃん」
私たちがあてがわれた部屋。
ふかふかの毛布をはじめとして、寝具はちゃんと整えられている。
けれどどう見ても、簡易牢や留置所と呼ばれる類の無骨な石室である。
まあ国境の砦に、女子が好むようなキラキラふんわりしたベッドルームがあるなんて思ってなかったけどさ。
「覇聖鳳(はせお)を倒して帰ったときのことを思い出すな。あのときはここの東隣の砦だったか」
地図を見ながら翔霏が思い出にふける。
ちなみにその周辺地図も、角州左軍の砦から拝借したものをそのまま使っている。
うちの翔霏ちゃんは物持ちの良い子。
「大事なことが終わったときはいつも、玄霧さんが迎えてくれるんだよねえ。不思議な縁もあるもんだ」
男は船、女は港、なんて歌があった気がするけれど、私と玄霧さんの場合はまるっと逆である。
良きにしろ悪きにしろ。
私の身になにか大きなことが起こったとき、必ず玄霧さんが近くにいて、ケアやフォローをしてくれているのだ。
私という小さく頼りなく、どこへ行くかわからない厄介な船の帰る港は、いつも玄霧さんなのだった。
いや、だからと言ってお嫁さんになりたいとか、まったく思っていませんけれどね?
信頼できる、大いに尊敬している身元引受人、そんな感じ。
小さい頃に亡くしてしまったお父さんの面影を、私は玄霧さんに見ているのかもしれない。
「ずいぶん暖かくなった。もうじき一年か……」
寝苦しいのか、衣服をぽぽいと脱ぎ捨て、一番薄い毛布だけをかぶり直して翔霏が言った。
翔霏は基礎体温が高いので、布団などの寝具が充実していると、中が熱くなりすぎて眠りにくいのである。
冬は重宝するんだけれどね。
一緒の布団に潜り込むと、ほっかほかのぬっくぬくなので。
並んで横になった私は、翔霏の声に応えた。
「そうだね。あっと言う間だった気もするし、長かった気もするし。不思議な感じ」
私が玄霧さんとはじめて会った日から。
神台邑(じんだいむら)が覇聖鳳たちに焼かれてから、この初夏でまる一年が経とうとしている。
あのとき、私は灰塵と化した邑の真ん中で、叫び、誓ったのだ。
挫けず、怯えず、みっともなく泣きながらでも前に進むんだと決意してから、一年間。
「私は私が望む私に近付けてるのかな。邑のみんなの魂に恥ずかしくない、そんな私に少しでもなれてるのかな……」
この一年の自分と向き合い、小さな石室で私は涙する。
翔霏は余計な気休めやおためごかしを口にせず、私の横で仰向けのまま、私と同じように石の天井を黙って見つめている。
きっと彼女も、この一年の自分を心の中で採点しているのだろう。
「自分」という、世界で最も難解な試験問題にマルやバツをつけられるのは、どうしたって自分以外にいやしないのだから。
しばらく無言でお互い、考える。
ふっ、と翔霏が少し楽しそうな吐息とともに、言った。
「土産話は、たくさん積み重なったな」
「そうだね」
私も明るく笑う。
いつか私たちも命を終え、魂の帰るべき果てに往く。
先に待っているみんなに、少しでも楽しいお話を聞かせられるよう。
これからも精一杯、頑張って進み続けようと思った。
最期の一瞬が来るまで、一歩でも、進み続けなければ。
それがきっと遺された私たちに課された、一番大きな役目なのだ。
「やっと着いたー。もうこんな時間かあ。やれやれ遅くなっちゃったぞいと」
ゆっくり休んでから砦を出発し、角州の都、斜羅の街に。
途中の小さな邑で怪魔退治を頼まれたりしたことで、計算が狂って夜中に到着してしまった。
街に灯りは少なく、司午屋敷もひっそりと静まり返っている。
「お疲れさまでした。小官はここで失礼いたします」
「はい、道中ありがとうございました」
念のためにと玄霧さんが付けてくれた、護衛の兵士さんとお別れする。
彼の活躍の場をすべて翔霏が奪ってしまったことは、わざわざ説明するまでもないだろう。
やりがいはなかったにしても、楽チンな案内だったに違いない。
仕事を無事に終えた兵士さんが、私の顔をまじまじと見て言った。
「あのときの女の子が、まさかこんなに立派になられるとは。あなたの身を保護した隊長……いえ、正使はよほど人を見る目があるのだと、改めて思い知らされました」
彼は私のことを、以前から知っていたと言うのだ。
「え、お兄さんひょっとして、神台邑が焼けたときに一緒にいたんです?」
「はい。互いに生きて再び会えて良かった。いえ実は後宮で覇聖鳳たち郎党と戦ったときも、小官はいたのですが」
玄霧さんは自分が出世したり異動しても、子飼いの仲間たちを赴任先に連れて行くタイプだ。
彼は翼州(よくしゅう)左軍時代に、私と一緒に神台邑の骸を土に埋葬した一人であった。
「ごめんなさい、人の顔を覚えるのがそれほど得意じゃなくて」
申し訳なさからへこへこする私。
「私は気付いていたがな。後宮のときに玄霧どのの左後ろで剣を振るっていただろう。左利きだからそう配置されたのだな」
翔霏、知ってたなら言ってよ。
そして相変わらず、武芸や運動に関してはスゲー観察力と記憶力だこと。
「ははは、あまり細かいことを突かれるとさすがに気恥ずかしいですな。ではまたいずれ」
爽やかな笑みを残し、兵士さんは元いた砦へと戻って行った。
些細な縁も、深い縁も。
たくさんの人や物事に、私たちは関わって、繋がって今があるんだと思った。
「少しは私、マシになれたのかな」
その背中を見送り、貰った嬉しい言葉を反芻して私は呟いた。
「どんな麗央那でも、私にとってはたった一人の麗央那だよ」
ぎゅっと私の肩を抱いて、翔霏が言ってくれた。
哀しみではない、幸せな涙を溢れさせて。
私は翠さまが待ってくれている、司午屋敷の通用門をくぐったのだった。
「遅い! もっと早く帰って来られたんじゃないのあんたたち!!」
なぜかこんな夜更けまで、私たちの帰還を寝ずに待っていた翠さまの叫びが鳴り響いた。
「あんまり大声出すと、ご近所迷惑ですよう翠さま」
「うっさいわね! そんなことよりまず最初に言うべきことがあるでしょ!」
旅に出る前よりも明らかに大くなったおなかを抱え、翠さまが怒る。
私と翔霏はクックと苦笑いして、頭を下げて、言った。
「翔霏、ただ今戻りました」
「央那、同じくただ今、帰りました」
ウン、と納得して翠さまは頷いて。
「お帰りなさい。良く頑張って無事で帰ったわねあんたたち」
むぎゅううと、私と翔霏を両手に抱き締めてくれた。
旅は良い。
今までの自分を見つめ、これからの自分を見つけられるから。
そして旅から帰って来た瞬間は。
なににも増して、さらに良いのだった。
私と翔霏(しょうひ)はそこで臨検と身元照会を済ませ、国境を越えて昂国(こうこく)へと戻った。
「……翠蝶(すいちょう)?」
そのとき玄霧(げんむ)さんに会い、そんなことを言われたのである。
ちょうど国境警備の業務で、砦に足を運んでいたタイミングだったようだ。
「いくら雰囲気が似てるからって実のお兄さんである玄霧さんが間違えないでくださいよ。そもそも身重の翠さまがこんな格好で国境まで来るわけが」
私は途中まで言って。
いや、その可能性はゼロではないな、と思い直した。
「う、うむ。俺も疲れているのかもしれん」
眉間を指で揉みながら、玄霧さんが言った。
左軍正使さまも大変ですね。
翠さまなら、万が一そんなことをしでかしても不思議はないのだと、実の兄だからこそわかっているのかもしれない。
翔霏が今回の旅の顛末について、軽く玄霧さんに報告する。
「先に出した手紙でおおまかなことは伝わっているでしょうが、多少の不測の事態はあったものの、私たちは全員が無事です。墓の工事の段取りに関しては、向こうに残った椿珠から追って連絡があるでしょう」
「ああ、よくやってくれた。今は長旅で疲れているだろう。部屋を用意してあるから、ここでしっかり休んで斜羅(しゃら)の屋敷に帰れ」
相変わらず心配りと段取りの人、玄霧さんであった。
ちなみに私が斬られて死にかけて、けれど不思議と一瞬で傷が塞がり復活したことは、報告の中に入れていない。
私たちにとってもわけがわからないことなので、いたずらに司午家(しごけ)の人を混乱させたくないという意図によるものである。
詳しく聞かれたところで、説明のしようもないからね。
「ってここ、牢屋じゃん」
私たちがあてがわれた部屋。
ふかふかの毛布をはじめとして、寝具はちゃんと整えられている。
けれどどう見ても、簡易牢や留置所と呼ばれる類の無骨な石室である。
まあ国境の砦に、女子が好むようなキラキラふんわりしたベッドルームがあるなんて思ってなかったけどさ。
「覇聖鳳(はせお)を倒して帰ったときのことを思い出すな。あのときはここの東隣の砦だったか」
地図を見ながら翔霏が思い出にふける。
ちなみにその周辺地図も、角州左軍の砦から拝借したものをそのまま使っている。
うちの翔霏ちゃんは物持ちの良い子。
「大事なことが終わったときはいつも、玄霧さんが迎えてくれるんだよねえ。不思議な縁もあるもんだ」
男は船、女は港、なんて歌があった気がするけれど、私と玄霧さんの場合はまるっと逆である。
良きにしろ悪きにしろ。
私の身になにか大きなことが起こったとき、必ず玄霧さんが近くにいて、ケアやフォローをしてくれているのだ。
私という小さく頼りなく、どこへ行くかわからない厄介な船の帰る港は、いつも玄霧さんなのだった。
いや、だからと言ってお嫁さんになりたいとか、まったく思っていませんけれどね?
信頼できる、大いに尊敬している身元引受人、そんな感じ。
小さい頃に亡くしてしまったお父さんの面影を、私は玄霧さんに見ているのかもしれない。
「ずいぶん暖かくなった。もうじき一年か……」
寝苦しいのか、衣服をぽぽいと脱ぎ捨て、一番薄い毛布だけをかぶり直して翔霏が言った。
翔霏は基礎体温が高いので、布団などの寝具が充実していると、中が熱くなりすぎて眠りにくいのである。
冬は重宝するんだけれどね。
一緒の布団に潜り込むと、ほっかほかのぬっくぬくなので。
並んで横になった私は、翔霏の声に応えた。
「そうだね。あっと言う間だった気もするし、長かった気もするし。不思議な感じ」
私が玄霧さんとはじめて会った日から。
神台邑(じんだいむら)が覇聖鳳たちに焼かれてから、この初夏でまる一年が経とうとしている。
あのとき、私は灰塵と化した邑の真ん中で、叫び、誓ったのだ。
挫けず、怯えず、みっともなく泣きながらでも前に進むんだと決意してから、一年間。
「私は私が望む私に近付けてるのかな。邑のみんなの魂に恥ずかしくない、そんな私に少しでもなれてるのかな……」
この一年の自分と向き合い、小さな石室で私は涙する。
翔霏は余計な気休めやおためごかしを口にせず、私の横で仰向けのまま、私と同じように石の天井を黙って見つめている。
きっと彼女も、この一年の自分を心の中で採点しているのだろう。
「自分」という、世界で最も難解な試験問題にマルやバツをつけられるのは、どうしたって自分以外にいやしないのだから。
しばらく無言でお互い、考える。
ふっ、と翔霏が少し楽しそうな吐息とともに、言った。
「土産話は、たくさん積み重なったな」
「そうだね」
私も明るく笑う。
いつか私たちも命を終え、魂の帰るべき果てに往く。
先に待っているみんなに、少しでも楽しいお話を聞かせられるよう。
これからも精一杯、頑張って進み続けようと思った。
最期の一瞬が来るまで、一歩でも、進み続けなければ。
それがきっと遺された私たちに課された、一番大きな役目なのだ。
「やっと着いたー。もうこんな時間かあ。やれやれ遅くなっちゃったぞいと」
ゆっくり休んでから砦を出発し、角州の都、斜羅の街に。
途中の小さな邑で怪魔退治を頼まれたりしたことで、計算が狂って夜中に到着してしまった。
街に灯りは少なく、司午屋敷もひっそりと静まり返っている。
「お疲れさまでした。小官はここで失礼いたします」
「はい、道中ありがとうございました」
念のためにと玄霧さんが付けてくれた、護衛の兵士さんとお別れする。
彼の活躍の場をすべて翔霏が奪ってしまったことは、わざわざ説明するまでもないだろう。
やりがいはなかったにしても、楽チンな案内だったに違いない。
仕事を無事に終えた兵士さんが、私の顔をまじまじと見て言った。
「あのときの女の子が、まさかこんなに立派になられるとは。あなたの身を保護した隊長……いえ、正使はよほど人を見る目があるのだと、改めて思い知らされました」
彼は私のことを、以前から知っていたと言うのだ。
「え、お兄さんひょっとして、神台邑が焼けたときに一緒にいたんです?」
「はい。互いに生きて再び会えて良かった。いえ実は後宮で覇聖鳳たち郎党と戦ったときも、小官はいたのですが」
玄霧さんは自分が出世したり異動しても、子飼いの仲間たちを赴任先に連れて行くタイプだ。
彼は翼州(よくしゅう)左軍時代に、私と一緒に神台邑の骸を土に埋葬した一人であった。
「ごめんなさい、人の顔を覚えるのがそれほど得意じゃなくて」
申し訳なさからへこへこする私。
「私は気付いていたがな。後宮のときに玄霧どのの左後ろで剣を振るっていただろう。左利きだからそう配置されたのだな」
翔霏、知ってたなら言ってよ。
そして相変わらず、武芸や運動に関してはスゲー観察力と記憶力だこと。
「ははは、あまり細かいことを突かれるとさすがに気恥ずかしいですな。ではまたいずれ」
爽やかな笑みを残し、兵士さんは元いた砦へと戻って行った。
些細な縁も、深い縁も。
たくさんの人や物事に、私たちは関わって、繋がって今があるんだと思った。
「少しは私、マシになれたのかな」
その背中を見送り、貰った嬉しい言葉を反芻して私は呟いた。
「どんな麗央那でも、私にとってはたった一人の麗央那だよ」
ぎゅっと私の肩を抱いて、翔霏が言ってくれた。
哀しみではない、幸せな涙を溢れさせて。
私は翠さまが待ってくれている、司午屋敷の通用門をくぐったのだった。
「遅い! もっと早く帰って来られたんじゃないのあんたたち!!」
なぜかこんな夜更けまで、私たちの帰還を寝ずに待っていた翠さまの叫びが鳴り響いた。
「あんまり大声出すと、ご近所迷惑ですよう翠さま」
「うっさいわね! そんなことよりまず最初に言うべきことがあるでしょ!」
旅に出る前よりも明らかに大くなったおなかを抱え、翠さまが怒る。
私と翔霏はクックと苦笑いして、頭を下げて、言った。
「翔霏、ただ今戻りました」
「央那、同じくただ今、帰りました」
ウン、と納得して翠さまは頷いて。
「お帰りなさい。良く頑張って無事で帰ったわねあんたたち」
むぎゅううと、私と翔霏を両手に抱き締めてくれた。
旅は良い。
今までの自分を見つめ、これからの自分を見つけられるから。
そして旅から帰って来た瞬間は。
なににも増して、さらに良いのだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる