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第十八章 雪解けと若芽

百五十五話 それは食べものじゃない

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 国境の砦に到着した朝早く、市場はすでに開催されていた。

「まだ人は少ないな」

 翔霏(しょうひ)が手頃な樹に馬を繋ぎながら、会場の様子を眺めて言った。
 木板の柵で区切りが作られており、その空間に簡易テントの出店が、数多く並んでいる。

「近くの街から、往復の送迎馬車が出てるみたいだよ。じわじわ増えて来るんじゃないかな」

 馬車でお客さんをピストン輸送し、会場と街を連絡しているのだ。
 とりあえず入ろう、と私たちは入場料を払って、柵で区切られた内側へ通された。
 出店者からは手数料を、来場者からは入場料を取る仕組みである。

「同人誌の即売会を思い出すなあ」

 私は中二時代のお盆と年末に行った、東京の海沿いのイベントを思い出していた。
 お母さんが連れてってくれたんだよね。

「なんだそれは?」
「あー、本を売り買いする催しが、実家の隣町であってさ」

 嘘は言っていない、と欺瞞で自分を誤魔化す。

「麗央那(れおな)らしいな。きっと中書堂(ちゅうしょどう)の兄さんたちのような、たくさんの賢い人たちが集まる市場なのだろう」
「あははー」

 封印されし恥かしい闇の記憶にリーチしそうな気配があったので、この話題をはぐらかす。
 市場の入場料は決して安くなかった。
 これもお役人さんたちが考えた戦略だろう。
 せっかく高い金を払って来たんだから、少しでも元を取ろうと思って、物品の売り買いは活発になるからね。
 要らないものを買いすぎて、冷静になったときに後悔するまでがテンプレート。
 北方名産の串焼き羊をかじりながら、私たちは会場を見て回ることにした。
 翔霏が世間話を振る。

「角州(かくしゅう)は州公が代替わりしたんだったな。新しい州公にとって、はじめての対外的な大きな仕事か」
「どんな方だろうね。翠(すい)さまが寝込んでるから、お屋敷にはお呼びできないけど。いつか会うこともあるのかな」

 本来、州公が替わるという一大イベントがあれば、後宮の貴妃である翠さまに真っ先に挨拶に来るはずである。
 しかし司午家(しごけ)の方でそれを遠慮して断っていて、私たちは新しい州公がどんな人なのかを知らない。
 今回のような中規模の市場イベントに、わざわざ自分で足を運びはしないだろうけれど、巌力(がんりき)さんが連絡をやり取りしているお役人さんは、きっと新州公に近しい立場の人だろう。

「おお、麗女史に紺女史。よくいらしてくれました」

 ちょうど考えていたら、巌力(がんりき)さんに会場で合流できた。
 私たちより何日も前にここに来て、設営などの力仕事を手伝っていたのだ。
 隣に小柄の男性がいる。
 この人が、市場開催の実務を担当している例のお役人さんだろう。
 それほどの年齢には見えないけれど、木の杖を突いていた。

「こりゃ可愛い嬢ちゃんたちだ。巌(がん)さんの友人らしいな。せっかく来たんだ、目いっぱい楽しんでってくれよ」

 にかっ、と笑ってお役人さんは言った。
 あらま、可愛いですってよ、私たち、ウフ。
 なんと言うか、堅苦しいお役人を想像していたけれど、全然違うタイプらしい。
 巌力さんとの凸凹コンビが、変にお似合いで面白い。

「お初にお目にかかります、麗と申します」
「翼州(よくしゅう)の紺だ。なにか温かい鍋料理のようなものはないかな」

 多くのお店を目の当たりにして、食欲の権化になってしまった翔霏が訊く。

「確か大鍋で汁物を作ってる居酒屋が端っこにある。俺も酒が欲しくなった頃合いだ、一緒に行こうぜ」

 まだ午前中なのにクズっぽいことを機嫌良く言って、お役人さんは私たちを先導する。
 片足が若干、不自由なようで、ひょこひょこ、ずりずりと引きずっていた。
 だから杖を使用しているんだね。
 足の悪いお役人にしては壮健に日に焼けた顔をしているけれど、いったいどういう人なのか掴み切れなくて、謎である。

「巌力さんは、どんなきっかけであのお役人さんと知り合ったんですか?」

 朱蜂宮(しゅほうきゅう)で漣(れん)さまのお部屋に侍している間、私は角州のことを細かくは知らずに過ごした。
 別に男性同士の友情や交際を詮索する気はないけれど、司午家の中で働いていたであろう巌力さんと、この役人の接点も不可解だ。

「おいおい話す機会もありましょう。あの方のことは、気軽に『得(とく)どの』あるいは『得さん』と呼んでいただければ結構でござる」

 ふふ、と巌力さんが穏やかに笑って答える。

「得さん、ですか。面白そうな人ですね」

 暴れん坊で知られる、自称旗本の三男ではあるまいな。
 愉快なエピソードがあるのならゆっくり聞きたいので、あとでも良いか。

「無事に開催できてなによりだ。これも巌さんが力を貸してくれたおかげってもんよ」

 座って飲食ができるテント、厳密に言えば日よけ雨よけのターフのあるお店。
 ムシロに腰を下ろすなり、得さんは残雪でキンキンに冷やしたお酒をキューっと飲み、あつあつの内臓煮込みを食べながら、実に楽しそうに立て続けに二杯目を飲んだ。

「あ、あの、私たちもう少し、ぶらぶら見て回りたいんですけど」
「しかし二人とも、若えのに良い女だな、眼がよぉ、眼が特に良い。きらっきらに光ってて、月を映した真夜中の湖みてえだ」

 聞けや!
 妙に詩的な口説き文句を浴びながら、私たちは座席に留め置かれる。
 ダメだコイツ、ただの酔っ払いのスケベオヤジだ。
 市場の開催、白髪左部(はくはつさぶ)との親睦という意味では、私はこの仕事を主催しているお役人たちをものすごく尊敬し、感謝もしているけれど。
 内実が、こんなろくでなしの酒飲みだったとは。
 色っぽいせりふにも特に表情を変えず、翔霏が鱒(ます)の鍋を頬張りながら言う。

「もぐもぐ。得どの。私たちは白髪左部の知り合いにそれなりに挨拶をしなくてはならなくてな。むしゃむしゃ。ご厚意で酒座を伴にする機会を頂けたのはありがたいが。ごくん。適当なところで席を立つご無礼をお許しいただきたいのだが。む、こっちの干し貝を戻した粥も美味そうだな」

 ここに来るまでずっと馬を急がせてくれた翔霏は、失ったカロリーを補給しようとなんでも吸い込む腹ペコ青虫と化していた。

「おうおう、どんどん食ってくれ。若い娘さんがたくさん食うのを見るのはなにより気持ち良いってもんだ。その調子で俺の腹の下にある硬い肉の」
「得どの、いい加減になされ。貴殿もこの後、会う予定の方がおられるのであろう」
「お、おう、そうだったなぁ……」

 クライシスなセクハラを決め込む前に、巌力さんのストップが入る。
 ナイスタイミング、グッジョブです。
 あまりひどいと、私がその辺にある水差しの瓶を、得さんのドタマに「おっと手が滑った」とか言いながらぶちかます勢いでしたので。
 私が小突くくらいならいいけどさ、翔霏がキレたら手に負えないし。

「国境の砦で、市場に来る戌族(じゅつぞく)の客を検問しているのか」

 スケベ話題を黙殺し、お腹の埋まり具合が程良くなってきた翔霏。
 国境の向こうから市場に来る人たちの行列を眺めながら言った。

「しかり。玄霧(げんむ)どのと想雲(そううん)どのは、そちらの任に就いておられる」

 得さんがこれ以上の粗相を続けないように睨みながら、巌力さんが教えてくれた。

「どっちの国の客も、武器は最低限を残して取り上げてっからな。乱暴狼藉を働こうってやつぁ、いねえだろうよ」

 得さんがお酒ではなくお茶を飲みながら言った。
 私たちも入口で簡単な所持品チェックを受けており、大きな武器の持ち込みはできない。
 もっとも、翔霏は袖の中に伸縮棍を隠しているし、日用の短刀くらいは私も持ち歩いている。
 参加者が携行している小さな武器程度は、国境に詰める軍隊の武力に比べれば、無視できるレベルということだな。
 
「おお? 誰かと思えば嬢ちゃんらか?」

 食事を終え、私たちが腰を上げたそのとき。

「あ、こんにちは」
「また会ったな、じいさま」

 斗羅畏(とらい)さんの副官にして、白髪左部の重鎮の一人、すっかり顔なじみになった老将さんと顔を合わせた。
 私と翔霏の挨拶に笑顔を返した老将は、得さんに驚きの目を向けて。

「……お、お前さん。まさか『猪突の猛(もう)』じゃあないか!? 猛、犀得(せいとく)じゃろう!? ワシを覚えておるか!?」
「ははは、おうよ、お互いに生きててなによりだが、トシ食っちまったなあ。今は斗羅畏のお目付けで、副将だって?」

 どうやら旧知の間柄であるらしい。
 懐かしそうに、嬉しそうに肩を抱き合い、背中を叩き合った。
 猛、犀得というのが、得さんの本名らしい。
 どこまでも突進して行きそうな名前だなあ。

「お二人は、お知り合いだったんですね」

 おっさんとおじいさんの、よくわからない再会感動イベントを見せられ、私はそうコメントするしかない。
 仲良きことは美しきかな、友あり遠方より来るをまた愉しからずと言いますし、久しぶりに会えて良かったですね。

「どういったご縁があるのでしょうかな。良ければ奴才(ぬさい)らにもお聞かせ願いたい」

 巌力さんの言葉に、老将は目を細めて述懐する。

「犀得は小さい頃、留学っちゅう名目で白髪部に預けられとったんじゃ。しかし実際は人質のようなもんよ。角州と白髪部の間に諍いが起こらぬよう、犀得は体よく人身御供にされたんじゃな。あれは阿突羅(あつら)さまが大統になってすぐの頃じゃった……」
「なんのなんの、白髪のみんなには良くしてもらって俺は楽しかったぜ。阿突羅のオジキも、まだまだ元気って話じゃあねえかい」

 かなり昔、少なくとも二十年は見積もれる時期のことだ。
 会話内容に違和感を覚えた翔霏が、眉をひそめて問う。

「この品のない酔っ払い役人に、人質としての価値があるのか?」

 失礼過ぎる物言いだけれど、私も同感。

「なにを言うとるんじゃ、お前さんは。犀得は先の角州公の三男坊じゃろうに。こいつほど人質としての値打ちが高いもんが他におるかいな」

 あんが、と翔霏が口を大きく開ける。
 このパターンかよ、とげんなりしながら私は確認のために、口に出した。

「た、確か新しい州公サマは、前の州公のご子息でしたよね」
「おう、残念だが俺だよ。改めてよろしくなあ、嬢ちゃんたち」

 けけけ、といたずらっぽく笑う得さん。
 老将さんは呆れている。

「嬢ちゃんら、まさか知らんで一緒におったんかい」

 知らんて。
 また煮ても焼いても食えないようなおっさんの登場かーいと思い、私はジト目で巌力さんを睨む。

「巌力さん、後でお話があります」
「できれば手加減をお願いしたいですな」

 ニヤついている巌力さんを見て、私は変なおっさんの悪影響を巌力さんが受けつつあることに、切歯扼腕するのであった。
 まあこの小さいおっさんが州公であることは、今はいいや。
 直近、私たちが気にしなければいけない本題を、老将さんに尋ねる。

「ところで今日、斗羅畏さんは来ていないんですか?」
「殿(との)は黒腹部(こくふくぶ)の調子に乗った連中を成敗しに、覇聖鳳(はせお)の遺臣を引き連れて北の方に行っちまったんじゃ。せっかく犀得が新しい州公になったちゅうのに不義理を働いて済まんが、ワシを名代と思ってくれるか」
 
 申し訳なさそうに頭を下げる老将さんに、州公の得さんは気楽な笑みを返す。

「忙しいのはお互いさまよ。いずれきちんとした場を用意すっから、そんときを楽しみにしてるぜ。今日は旦那に会えただけでなによりってもんだ」

 今日明日の市場開催期間中、斗羅畏さんがここに顔を出せないのは確実なようだ。
 少し気が抜けた感じで、翔霏が言った。

「どうやらこの場で斗羅畏がどうこうされる心配は、まったく消え失せたな」
「だねえ。よそでチャンバラしてるなら、それはそれで心配かも」 
 
 いない以上、彼のために私たちができることは、ない。
 せっかくここまで来たのが杞憂に終わったわけだけれど。

「良かった、市場で悪いやつに狙われる斗羅畏さんはいなかったんだ」

 と、よくあるメソッドで私は自分の気持ちを納得させた。

「それよりも、ワシらが持ち寄った品も見てくれんか。珍しい白虎の毛皮もあるんじゃ」

 老将さんに案内され、白髪左部の人たちが珍品を並べているスペースを覗きに行く私たち。
 会場のお客さんも朝イチから見ればずいぶんと増えてきた、そのとき。

「旦那、あぶねえ」

 得さんが老将さんの体の前に杖をにゅっと突き出し、前に歩くのを制止した。
 誰かにぶつかりそうになったのかな、と私が思ったその一瞬。
 アーもスーも言えないくらいのわずかな間に。

「……ッ!!」

 通行人の一人が、声を殺しながら老将さんに凄い速さで突進して来て。

「させるかっ」

 翔霏に腕と肩の逆関節を取られて、びたーんとうつ伏せで地面に叩きつけられた。
 脇固めと言うのだろうか、腕絡みと言うのだろうか。
 片方の腕を捕えつつ、自分の体重と地面を上手く使って相手の身体を戒める、見事な制圧術だった。
 翔霏が捻り上げながら固めている通り魔らしき男の手に、小型の千枚通し、目打ち針的な形状の武器が握られていて、ぽとりと地に落ちた。
 所持品検査を潜り抜ける程度の、他愛ない小道具だけれど。
 尖った先端が、汚い紫色に濡れている。

「ど、毒針!? おじいさん、得さん、お怪我は!?」
 
 地面から武器を回収した私は、最悪の状況を想定し、叫んだ。

「大丈夫、服を少し切られただけじゃ。犀得が止めてくれんかったら、危なかったのう……」

 ほー、と安心の呼気を吐きながら老将さんは言った。
 見事に取り押さえたというのに、悔しそうにしているのは翔霏である。

「……こんなに近付かれるまで、殺気が読めなかった。何者だ、こいつは」

 地面に圧(おさ)えつけられながらも、下手人はうめき声のひとつもあげることなく。

「へ、へへへ……」

 赤みの差す虚ろな眼球を見せ、笑う。
 くわあっ、と彼が大きく口を開いた瞬間。

「いやいや、ダメだってば」

 私は半ば無意識、反射的に、そいつの口に指を突っ込んだ。
 舌なんて噛ませてたまるかよ、てめーには喋って欲しいことが、いくらでもあるんだ!!

「ンギイィ!!」

 ゴリッ、とイヤな音と共に、私の左手指の何本かは、骨まで歯が食い込むほど強く深く、噛まれたのだった。
 せっかく重雪峡(じゅうせつきょう)で負った怪我が、治ったばっかりだったのにぃ!!
 痛みと悔しさから溢れ出そうになる涙を必死でこらえながら、私は謎の男に指を噛まれ続けるのだった。
 たった数秒だったのだろうけれど、無闇に長く感じた。
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