50 / 56
第七章 答え合わせ
五十話 梟雄、去りぬ
しおりを挟む
「さ、参謀どの。どうしても、いかんのか」
「堪忍やで。ここはこらえてんか」
歯ぎしりしている玄霧(げんむ)さんを、姜(きょう)さんが抑えている。
自分の妹である翠(すい)さまが解放されて、容赦する必要がなくなった玄霧さんとその部隊。
彼らは今にも飛び出して、覇聖鳳(はせお)たちを蹂躙したいと、瞳をぎらつかせている。
もちろん、人質である環(かん)貴人を巻き添えにして、だ。
一度は妹の翠さまをも犠牲にしようと決意した玄霧さんである。
よその金持ち女の一人や二人、どうなろうと構うものか、と思っているに違いない。
「あいつを生かしておいて、昂国に益はない! この千載一遇の機を見逃せと言うのか……!」
玄霧さんたちにとって、もちろん私にとっても、次のチャンスがあるか、わからない。
覇聖鳳が油断して去って行こうとする今こそ、そこを突けば、あっという間にことは終わるのだ。
しかし姜さんはそれを良しとせず、玄霧さんに説く。
「僕ら、そもそも作戦中とちゃうからね。たまたま異動しとる途中で厄介ごとに行き合わせてもうただけで、将軍さんたちからもなんも指示、貰ってへんし」
豪商の娘であり高位の妃である環(かん)貴人を、果たして巻き添えにしてもいいのか。
そこが微妙な問題であり、姜さんは今回、見逃すという手を選択した。
過去に、正式な指令が降りる前に、反乱勢力の首を伐りまくった姜さんが。
今回は屁理屈じみた論理を盾に、真逆の行動を採ったのだ。
正解がなんであるかは、誰にもわからない。
ただ一つ、確かなことは。
戌族、青牙部(せいがぶ)の覇聖鳳を取り逃がしたということの責任を、姜さんがなんらかの形で、取らされるのだろうということだ。
「クソッ!」
ガアン、と玄霧さんが剣を地面に叩きつけた。
「こんなことってあるか!!」
「今日こそはあの獣夷(じゅうい)どもを、殺せると思ったのに!!」
同じように、玄霧さんの部下たちが、悔しそうな顔で武器で地面を叩き、音を鳴り響かせた。
揚々と逃げて行く覇聖鳳たちへ聞こえるように、わざと、大げさに、音を立てていた。
響き渡る金属音は、神台邑(じんだいむら)の悲劇を知っていて、仇を取ることができなかった全員の、嘆きと慟哭だ。
歯噛みしている玄霧さんたちを見ていて、私も同じ憤りを共有し、溢れそうになる涙をこらえた。
そりゃそうだよ。
だって姜さんってば、環貴人が申し出て来る前は、翠さまを死なせるのもやむなし、と判断していたはずだ。
覇聖鳳も倒せるし、その後は玄霧さんが納得して責任を取って死んでくれるだろうから、すべてこともなし。
そう、頭の中でそろばんをはじいたはずだ。
なのに、人質が環貴人に替わった途端、死なせないようにと対処している。
あの名軍師は翠さまや玄霧さんの命と、環貴人の命を、無情にも天秤にかけやがったんだ。
このような判断を下した姜さんは。
きっとまた、様々な人に、嫌われるのだろうな。
私だって、翠さま「なら」死なせても構わないと判断した姜さんを、しばらく許せそうにない。
「おお、そうだ、大軍師サマよ」
「誰のことやねん。そないなやつは知らんよ」
去り際。
覇聖鳳は玄霧さんたちが睨みつける視線も軽くいなし、姜さんに一つの質問をした。
「今回の俺サマの落ち度はなんだろうな? せっかく会えたんだ、ケチらず教えてくれよ。あんたに一度、教えを請いたいと思ってたんだ」
話す覇聖鳳の表情は、戦場の殺伐とかけ離れた、少年のようであった。
邪気も悪意もないその相貌は、誰しもの心を惹くのではないかと思われるほど、純粋だった。
覇聖鳳は除葛(じょかつ)姜という首狩り軍師の、ファンなのだな。
自分もそうなりたい、そうありたいと思って、今回も苛烈な作戦の実行に踏み切ったのかもしれない。
その気持ちがわかる私と覇聖鳳は、つまるところ、似たもの同士なんだろう。
フン、と鼻息を鳴らし、つまらなそうに姜さんは答えた。
「きみは央那(おうな)ちゃんを知らんかった。央那ちゃんはきみを知っとった。それだけやろ」
ちょっと褒められてるみたいだけど、う、嬉しくなんか、ないんだからねっ。
「それだけで、この俺サマがここまで煮え湯を飲まされるかね。これでも地元じゃ、ちったあ知られた男なんだが」
納得がいっていない覇聖鳳に、姜さんは金言を授けた。
「兵は知見を以て貴しと為す。其の知らざる見えざるは、須(すべか)らく戦わざる可(べ)きなり。泰学(たいがく)にも書いとる、初歩の初歩や」
知っている相手、見えている敵とだけ戦え、との意味になるだろうか。
敵を知り己を知れば、という有名な兵法と通じるものがある。
相手のことを知らないのであれば、はなから勝負は成立しない。
だから私は、敵を知るために、努力した。
姜さんの指摘を聞き、翔霏が覇聖鳳に聞こえない程度の小声で付け加えた。
「馬の利点は速い足だ。一つの壁際に取り付いて破壊に人手をかけた時点で、愚かな選択だったということだ」
そう、覇聖鳳たちは、自分たち騎馬急襲部隊の個性を、自分たちで台無しにしたのだ。
火薬による中小の爆弾と、人が振るう大槌という、硬い塀を破るには不便な道具を用いて。
本気で塀を破りたいなら大砲で金属弾をぶっ放すか、先を尖らせた巨大な丸太で、ドーンと突くべきだった。
相手のことがわかっていない上に、自分たちの不得意な分野で勝負しようとしたのだ。
その結果、覇聖鳳は自分の手で後宮を荒らし尽くすという目標を、達成できなかった。
覇聖鳳が、誰に聞かせるでもない顔でごちる。
「あの頭のおかしい、お転婆貴妃さまに似た顔の、ちんちくりん女か」
うるせーな、と反論しようとしたけど、全部自覚して自称してたわ。
少し考える顔をして、覇聖鳳は続けて言った。
「確かにそんな女がいるなんて、あの宦官は言ってなかったし、知らなかったな」
麻耶さんが戌族に、後宮のことを教えた。
私ごときがなにかをするとは思ってなかったから、なにも言わなかったのか。
それとも、なにか思うところがあって、私の話をしなかったのか。
中途半端に麻耶さんが入れ知恵したせいで、覇聖鳳の騎馬民族として貫徹すべき戦術プランが、むしろ狂ったのだろう。
麻耶さんに真意を確かめるつもりは、私にはもう、ない。
彼からもう、なに一つとして、教わることはないんだ。
「これ以上は教えんよ。次に会うときは僕も容赦せん。きみが僕を思い知るときは、死ぬときや」
いつもふにゃりと笑っている姜さんが、刀のような鋭い目で言い切った。
再びまみえることがあれば、必ず殺すと。
できないことを口にする人ではないので、確実に、そうなるのだろう。
「おお怖い。俺サマが油断したと思って追ってきたりするなよ。人質はもちろん、破れかぶれに邑の一つや二つ、うっかり燃やしちまうかもしれねえ」
私の方を軽く見て、覇聖鳳は最低の捨て台詞を吐いた。
本当に、殺してやりたい。
一度だけでなく、何百回、何万回と。
無数の殺意を背中に浴びて、覇聖鳳たちは皇城から逃げて行った。
怪我をしたり、毒ガスを吸って動けなくなった仲間たちを、邸瑠魅(てるみ)以外は置き去りにして。
戦利品に環貴人だけを手に入れ、騒ぐだけ騒いで、いなくなったのだ。
「あいつら、騎乗でも後ろを向いて矢を射ることができるのか」
翔霏が眉間にしわを寄せて呟く。
全く隙を見せることのない、素早く、憎らしいまでに見事な退却だった。
多くの戌族が倒れ、殺されたことで、覇聖鳳は貴重な戦力の大部分を喪失した。
生きて逃げた人数は、最終的に五十人にも満たなかっただろうけど。
覇聖鳳はきっと、再起するという確信が私にはあった。
「お、おおお、環貴人、ああ、ああおうおぉぉ……!」
巌力さんの慟哭が、去り行く環貴人に届いたかどうか。
耳のいい人だから、きっと聞こえたに違いない。
不倶戴天の宿敵に、逃げられてしまった。
私も、こらえきれずに滝のような涙を両の瞳から流していた。
隣にいる翔霏も、ここで戦いを終わらせられなかった悔しさがあるだろうに。
優しく、私の頭を撫でてくれたのだった。
彼方から、琵琶の弦が弾かれる音が、微かに聞こえた気がした。
「堪忍やで。ここはこらえてんか」
歯ぎしりしている玄霧(げんむ)さんを、姜(きょう)さんが抑えている。
自分の妹である翠(すい)さまが解放されて、容赦する必要がなくなった玄霧さんとその部隊。
彼らは今にも飛び出して、覇聖鳳(はせお)たちを蹂躙したいと、瞳をぎらつかせている。
もちろん、人質である環(かん)貴人を巻き添えにして、だ。
一度は妹の翠さまをも犠牲にしようと決意した玄霧さんである。
よその金持ち女の一人や二人、どうなろうと構うものか、と思っているに違いない。
「あいつを生かしておいて、昂国に益はない! この千載一遇の機を見逃せと言うのか……!」
玄霧さんたちにとって、もちろん私にとっても、次のチャンスがあるか、わからない。
覇聖鳳が油断して去って行こうとする今こそ、そこを突けば、あっという間にことは終わるのだ。
しかし姜さんはそれを良しとせず、玄霧さんに説く。
「僕ら、そもそも作戦中とちゃうからね。たまたま異動しとる途中で厄介ごとに行き合わせてもうただけで、将軍さんたちからもなんも指示、貰ってへんし」
豪商の娘であり高位の妃である環(かん)貴人を、果たして巻き添えにしてもいいのか。
そこが微妙な問題であり、姜さんは今回、見逃すという手を選択した。
過去に、正式な指令が降りる前に、反乱勢力の首を伐りまくった姜さんが。
今回は屁理屈じみた論理を盾に、真逆の行動を採ったのだ。
正解がなんであるかは、誰にもわからない。
ただ一つ、確かなことは。
戌族、青牙部(せいがぶ)の覇聖鳳を取り逃がしたということの責任を、姜さんがなんらかの形で、取らされるのだろうということだ。
「クソッ!」
ガアン、と玄霧さんが剣を地面に叩きつけた。
「こんなことってあるか!!」
「今日こそはあの獣夷(じゅうい)どもを、殺せると思ったのに!!」
同じように、玄霧さんの部下たちが、悔しそうな顔で武器で地面を叩き、音を鳴り響かせた。
揚々と逃げて行く覇聖鳳たちへ聞こえるように、わざと、大げさに、音を立てていた。
響き渡る金属音は、神台邑(じんだいむら)の悲劇を知っていて、仇を取ることができなかった全員の、嘆きと慟哭だ。
歯噛みしている玄霧さんたちを見ていて、私も同じ憤りを共有し、溢れそうになる涙をこらえた。
そりゃそうだよ。
だって姜さんってば、環貴人が申し出て来る前は、翠さまを死なせるのもやむなし、と判断していたはずだ。
覇聖鳳も倒せるし、その後は玄霧さんが納得して責任を取って死んでくれるだろうから、すべてこともなし。
そう、頭の中でそろばんをはじいたはずだ。
なのに、人質が環貴人に替わった途端、死なせないようにと対処している。
あの名軍師は翠さまや玄霧さんの命と、環貴人の命を、無情にも天秤にかけやがったんだ。
このような判断を下した姜さんは。
きっとまた、様々な人に、嫌われるのだろうな。
私だって、翠さま「なら」死なせても構わないと判断した姜さんを、しばらく許せそうにない。
「おお、そうだ、大軍師サマよ」
「誰のことやねん。そないなやつは知らんよ」
去り際。
覇聖鳳は玄霧さんたちが睨みつける視線も軽くいなし、姜さんに一つの質問をした。
「今回の俺サマの落ち度はなんだろうな? せっかく会えたんだ、ケチらず教えてくれよ。あんたに一度、教えを請いたいと思ってたんだ」
話す覇聖鳳の表情は、戦場の殺伐とかけ離れた、少年のようであった。
邪気も悪意もないその相貌は、誰しもの心を惹くのではないかと思われるほど、純粋だった。
覇聖鳳は除葛(じょかつ)姜という首狩り軍師の、ファンなのだな。
自分もそうなりたい、そうありたいと思って、今回も苛烈な作戦の実行に踏み切ったのかもしれない。
その気持ちがわかる私と覇聖鳳は、つまるところ、似たもの同士なんだろう。
フン、と鼻息を鳴らし、つまらなそうに姜さんは答えた。
「きみは央那(おうな)ちゃんを知らんかった。央那ちゃんはきみを知っとった。それだけやろ」
ちょっと褒められてるみたいだけど、う、嬉しくなんか、ないんだからねっ。
「それだけで、この俺サマがここまで煮え湯を飲まされるかね。これでも地元じゃ、ちったあ知られた男なんだが」
納得がいっていない覇聖鳳に、姜さんは金言を授けた。
「兵は知見を以て貴しと為す。其の知らざる見えざるは、須(すべか)らく戦わざる可(べ)きなり。泰学(たいがく)にも書いとる、初歩の初歩や」
知っている相手、見えている敵とだけ戦え、との意味になるだろうか。
敵を知り己を知れば、という有名な兵法と通じるものがある。
相手のことを知らないのであれば、はなから勝負は成立しない。
だから私は、敵を知るために、努力した。
姜さんの指摘を聞き、翔霏が覇聖鳳に聞こえない程度の小声で付け加えた。
「馬の利点は速い足だ。一つの壁際に取り付いて破壊に人手をかけた時点で、愚かな選択だったということだ」
そう、覇聖鳳たちは、自分たち騎馬急襲部隊の個性を、自分たちで台無しにしたのだ。
火薬による中小の爆弾と、人が振るう大槌という、硬い塀を破るには不便な道具を用いて。
本気で塀を破りたいなら大砲で金属弾をぶっ放すか、先を尖らせた巨大な丸太で、ドーンと突くべきだった。
相手のことがわかっていない上に、自分たちの不得意な分野で勝負しようとしたのだ。
その結果、覇聖鳳は自分の手で後宮を荒らし尽くすという目標を、達成できなかった。
覇聖鳳が、誰に聞かせるでもない顔でごちる。
「あの頭のおかしい、お転婆貴妃さまに似た顔の、ちんちくりん女か」
うるせーな、と反論しようとしたけど、全部自覚して自称してたわ。
少し考える顔をして、覇聖鳳は続けて言った。
「確かにそんな女がいるなんて、あの宦官は言ってなかったし、知らなかったな」
麻耶さんが戌族に、後宮のことを教えた。
私ごときがなにかをするとは思ってなかったから、なにも言わなかったのか。
それとも、なにか思うところがあって、私の話をしなかったのか。
中途半端に麻耶さんが入れ知恵したせいで、覇聖鳳の騎馬民族として貫徹すべき戦術プランが、むしろ狂ったのだろう。
麻耶さんに真意を確かめるつもりは、私にはもう、ない。
彼からもう、なに一つとして、教わることはないんだ。
「これ以上は教えんよ。次に会うときは僕も容赦せん。きみが僕を思い知るときは、死ぬときや」
いつもふにゃりと笑っている姜さんが、刀のような鋭い目で言い切った。
再びまみえることがあれば、必ず殺すと。
できないことを口にする人ではないので、確実に、そうなるのだろう。
「おお怖い。俺サマが油断したと思って追ってきたりするなよ。人質はもちろん、破れかぶれに邑の一つや二つ、うっかり燃やしちまうかもしれねえ」
私の方を軽く見て、覇聖鳳は最低の捨て台詞を吐いた。
本当に、殺してやりたい。
一度だけでなく、何百回、何万回と。
無数の殺意を背中に浴びて、覇聖鳳たちは皇城から逃げて行った。
怪我をしたり、毒ガスを吸って動けなくなった仲間たちを、邸瑠魅(てるみ)以外は置き去りにして。
戦利品に環貴人だけを手に入れ、騒ぐだけ騒いで、いなくなったのだ。
「あいつら、騎乗でも後ろを向いて矢を射ることができるのか」
翔霏が眉間にしわを寄せて呟く。
全く隙を見せることのない、素早く、憎らしいまでに見事な退却だった。
多くの戌族が倒れ、殺されたことで、覇聖鳳は貴重な戦力の大部分を喪失した。
生きて逃げた人数は、最終的に五十人にも満たなかっただろうけど。
覇聖鳳はきっと、再起するという確信が私にはあった。
「お、おおお、環貴人、ああ、ああおうおぉぉ……!」
巌力さんの慟哭が、去り行く環貴人に届いたかどうか。
耳のいい人だから、きっと聞こえたに違いない。
不倶戴天の宿敵に、逃げられてしまった。
私も、こらえきれずに滝のような涙を両の瞳から流していた。
隣にいる翔霏も、ここで戦いを終わらせられなかった悔しさがあるだろうに。
優しく、私の頭を撫でてくれたのだった。
彼方から、琵琶の弦が弾かれる音が、微かに聞こえた気がした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる