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第158話 これからも一生
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後日、アナスタシアが処刑されたと大々的に発表された。オースター侯爵家の令嬢として、彼女の名誉を守るために、民衆の前ではなく地下牢で処刑されたという。それが、唯一の救いとなったことだろう。罪人として、オースター侯爵家の墓に入ることは許されないが、彼女の魂に恩恵があるようにとラダベルは祈ったのであった。
ジークルドとラダベルは、馬車と鉄道を乗り継いで、東部の城に帰還した。ラダベルは、自室から外を眺める。美しい景色が一面に広がっていた。彼女の部屋から見える軍施設では、忙しなく活動する軍人たちの姿がある。時刻は既に、昼前だ。いつも通りの日常、いつも通りの風景に、彼女は感慨深い気持ちとなった。セリーヌがいて、ミアがいて、エリアスがいて、セドリックがいて、ウィルがいて、そして、ジークルドがいる。愛する人々がいるこの城で、ラダベルはこれからも人生を歩んでいく。
涙腺が緩むのを感じた。視界が霞み、目尻に涙が滲む。人差し指でそっと涙を拭った。その途端、後ろから強く抱きしめられる。この温もりは、きっとジークルドだろう。ラダベルは自身を抱きしめる彼の顔を見上げる。
「お目覚めですか? ジークルド」
「……ん、」
まだ睡魔に襲われているのか、ジークルドの目は開いていない。白い睫毛が震えている。滅多に見ることの叶わない彼の可愛らしい姿に、ラダベルは微笑んだ。
「今日はお休みなんでしょう? まだ眠りますか?」
「……いいや……そろそろ起きなければ……」
「昨晩も遅くまでお仕事をされていたのですから、もう少し一緒に眠りましょう」
ラダベルがジークルドの太い腕を撫でながら提案すると、ジークルドは彼女の首元に顔を埋める。結っていない長髪がさらりと落ちて、彼女の頬を擽った。ジークルドが首元に何度か熱いキスを仕掛けてくる。
「んっ、ちょっ……ジークルド……」
ラダベルは身を捩る。するとジークルドは、悄然とした。軽くとは言え、拒否されたことに胸を痛めたのだろう。
「拒絶、するのか?」
「いや、拒絶するわけじゃ……。もうお昼ですし、そろそろセリーヌが起こしに来る時間帯で、」
話の途中で顎を引き寄せられ、キスされる。強引なキスに、ラダベルの心臓は激しく脈打つ。触れ合うだけではない、深く重なるキスだ。息ができない。逃れようと藻掻いてみるが、腰も腕も固定されてしまい逃げ出せない。
「んッ、ふっ……」
口づけの合間、声にならない声が漏れる。舌が絡まり、甘い唾液が口内に流れ込む。
「んっんっ……!」
飲みきれなくなった唾液が口端を流れ落ち、顎をつたう。もうそろそろ本当に息が続かなくなってきた。快楽どころか、命の危機を感じた時、ようやく解放される。思わず座り込みそうになるが、ジークルドにより抱き上げられ、咄嗟に彼の首に腕を回した。あれよあれよという間にベッドに下ろされ、先程身に纏ったばかりの寝間着に手を差し込まれる。彼の体温が肌にじんわりと浸透した。たったそれだけのことなのに、快楽を覚えた体は反応してしまう。ジークルドはラダベルの肩に噛みついた。
「いっ、ちょっ、い、痛いですっ」
「……お前は俺のものだ」
ジークルドの独占欲を剥き出しにした言葉に、ラダベルの体が火照る。昨日も散々体を繋げ、ようやく眠れたのは朝方だったというのに、またまぐわうのか。ラダベルは小さく溜息をつくと、仕方がないとでも言いたげな表情でジークルドの首に腕を回した。
「子供ができるのも、時間の問題ですね」
そう言うと、ジークルドは何度か瞬きをした。
「お前の子ならば、間違いなく可愛いな」
ジークルドはラダベルに優しく触れながら、囁いた。砂糖をぶちまけたような甘さたっぷりの美貌が眼前に迫る。ラダベルは彼を受け入れたのであった。
今日も、明日も、明後日も、一生、変わらない日々が続いていく。ずっと、ずっと、愛するジークルドと共にいられますように――。
꧁——————————꧂
『死にたくないので婚約破棄したのですが、直後に辺境の軍人に嫁がされてしまいました ~剣王と転生令嬢~』
完結
꧁——————————꧂
読者の皆様
いつもI.Yの小説を読んでくださり、ありがとうございます。
『死にたくないので婚約破棄したのですが、直後に辺境の軍人に嫁がされてしまいました ~剣王と転生令嬢~』が第158話をもって、無事に完結いたしました!
後先考えずに、とりあえずラブラブだけどちょいシリアスな話が書きたいと思って、衝動的に書き始めた作品にはなりますが…。ダラダラと続いた当作品を最後まで読んでいただいた皆様には、感謝でいっぱいの気持ちです!
これからも読者の皆様への感謝を忘れずに、日々精進して参ります。皆様の日々に、少しでも彩りを授けることができますように。
電子書籍・コミカライズの詳細に関してはX(@I_Y____02)までよろしくお願いいたします。
新作品『愛する人を殺さなければならないので離れていただいてもよろしいですか? ~呪われた不幸皇女と無表情なイケメン公爵~』のほうも何卒よろしくお願いいたします。
こちらの作品は、題名の割にはシリアスも含みます。コメディもありますが、I.Y大好きダークヒロイン系ですので、タグや内容紹介等参考にしていただいてご自衛くだされば幸いです。
I.Y
ジークルドとラダベルは、馬車と鉄道を乗り継いで、東部の城に帰還した。ラダベルは、自室から外を眺める。美しい景色が一面に広がっていた。彼女の部屋から見える軍施設では、忙しなく活動する軍人たちの姿がある。時刻は既に、昼前だ。いつも通りの日常、いつも通りの風景に、彼女は感慨深い気持ちとなった。セリーヌがいて、ミアがいて、エリアスがいて、セドリックがいて、ウィルがいて、そして、ジークルドがいる。愛する人々がいるこの城で、ラダベルはこれからも人生を歩んでいく。
涙腺が緩むのを感じた。視界が霞み、目尻に涙が滲む。人差し指でそっと涙を拭った。その途端、後ろから強く抱きしめられる。この温もりは、きっとジークルドだろう。ラダベルは自身を抱きしめる彼の顔を見上げる。
「お目覚めですか? ジークルド」
「……ん、」
まだ睡魔に襲われているのか、ジークルドの目は開いていない。白い睫毛が震えている。滅多に見ることの叶わない彼の可愛らしい姿に、ラダベルは微笑んだ。
「今日はお休みなんでしょう? まだ眠りますか?」
「……いいや……そろそろ起きなければ……」
「昨晩も遅くまでお仕事をされていたのですから、もう少し一緒に眠りましょう」
ラダベルがジークルドの太い腕を撫でながら提案すると、ジークルドは彼女の首元に顔を埋める。結っていない長髪がさらりと落ちて、彼女の頬を擽った。ジークルドが首元に何度か熱いキスを仕掛けてくる。
「んっ、ちょっ……ジークルド……」
ラダベルは身を捩る。するとジークルドは、悄然とした。軽くとは言え、拒否されたことに胸を痛めたのだろう。
「拒絶、するのか?」
「いや、拒絶するわけじゃ……。もうお昼ですし、そろそろセリーヌが起こしに来る時間帯で、」
話の途中で顎を引き寄せられ、キスされる。強引なキスに、ラダベルの心臓は激しく脈打つ。触れ合うだけではない、深く重なるキスだ。息ができない。逃れようと藻掻いてみるが、腰も腕も固定されてしまい逃げ出せない。
「んッ、ふっ……」
口づけの合間、声にならない声が漏れる。舌が絡まり、甘い唾液が口内に流れ込む。
「んっんっ……!」
飲みきれなくなった唾液が口端を流れ落ち、顎をつたう。もうそろそろ本当に息が続かなくなってきた。快楽どころか、命の危機を感じた時、ようやく解放される。思わず座り込みそうになるが、ジークルドにより抱き上げられ、咄嗟に彼の首に腕を回した。あれよあれよという間にベッドに下ろされ、先程身に纏ったばかりの寝間着に手を差し込まれる。彼の体温が肌にじんわりと浸透した。たったそれだけのことなのに、快楽を覚えた体は反応してしまう。ジークルドはラダベルの肩に噛みついた。
「いっ、ちょっ、い、痛いですっ」
「……お前は俺のものだ」
ジークルドの独占欲を剥き出しにした言葉に、ラダベルの体が火照る。昨日も散々体を繋げ、ようやく眠れたのは朝方だったというのに、またまぐわうのか。ラダベルは小さく溜息をつくと、仕方がないとでも言いたげな表情でジークルドの首に腕を回した。
「子供ができるのも、時間の問題ですね」
そう言うと、ジークルドは何度か瞬きをした。
「お前の子ならば、間違いなく可愛いな」
ジークルドはラダベルに優しく触れながら、囁いた。砂糖をぶちまけたような甘さたっぷりの美貌が眼前に迫る。ラダベルは彼を受け入れたのであった。
今日も、明日も、明後日も、一生、変わらない日々が続いていく。ずっと、ずっと、愛するジークルドと共にいられますように――。
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『死にたくないので婚約破棄したのですが、直後に辺境の軍人に嫁がされてしまいました ~剣王と転生令嬢~』
完結
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読者の皆様
いつもI.Yの小説を読んでくださり、ありがとうございます。
『死にたくないので婚約破棄したのですが、直後に辺境の軍人に嫁がされてしまいました ~剣王と転生令嬢~』が第158話をもって、無事に完結いたしました!
後先考えずに、とりあえずラブラブだけどちょいシリアスな話が書きたいと思って、衝動的に書き始めた作品にはなりますが…。ダラダラと続いた当作品を最後まで読んでいただいた皆様には、感謝でいっぱいの気持ちです!
これからも読者の皆様への感謝を忘れずに、日々精進して参ります。皆様の日々に、少しでも彩りを授けることができますように。
電子書籍・コミカライズの詳細に関してはX(@I_Y____02)までよろしくお願いいたします。
新作品『愛する人を殺さなければならないので離れていただいてもよろしいですか? ~呪われた不幸皇女と無表情なイケメン公爵~』のほうも何卒よろしくお願いいたします。
こちらの作品は、題名の割にはシリアスも含みます。コメディもありますが、I.Y大好きダークヒロイン系ですので、タグや内容紹介等参考にしていただいてご自衛くだされば幸いです。
I.Y
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