128 / 273
第七章 忙しい夏休み
22 チャリティーコンサート
しおりを挟む
マリアンヌが、侍女達を総動員してユーリを飾り立てた結果は素晴らしかった。
「社交界デビュー前のライラですもの、髪は下ろしていた方があうでしょ?」
レースの白いドレスに、髪の毛をロールにして下ろして、白いバラの冠を飾ったユーリは、本当に愛らしかった。
「ユーリは白いバラ姫のようだ!」
老公爵はユーリのドレス姿にめろめろだ。ユージーンとフランツも、薄化粧したユーリが凄く綺麗なのに驚いたが、こんな姿とあの歌声を披露したら、独身貴族が門前に求婚の列をなすぞと困ってしまう。
「夜なのに大勢の人出ね。でも、篝火があって明るいのね、もっと暗いと思っていたわ」
初めて来た夜の野外劇場は、席がかなり埋まっていたが、主催者のロックフォード侯爵は、親戚のマウリッツ公爵家の為に席をあけていた。ユーリは老公爵と公爵夫妻に挟まれて座っていたが、辺りから熱い視線を送られているのにも気づかず、これほどの人の前で歌うのかとドキドキする。
客席のどよめきに振り返ったユーリは、国王夫妻と皇太子とサザーランド公爵夫妻が、ロックフォード侯爵に席に案内されるのを見て慌てて立つ。席が隣りになったので、王族方々と、公爵家の人々は礼儀正しく挨拶を交わす。
ユージーンとフランツは、ユーリの後ろの席に座っていたが、ジークフリートが隣に滑り込む。屋台では毎日会っていたが、こうしてじっくりと話す暇は無かったので、ユージーンはジークフリートと会えたのが嬉しかった。
「今夜のユーリ嬢はライラそのものですね。フランツ卿と合唱されるのですか? 国王夫妻はユーリ嬢の歌が聞きたいと、チャリティーコンサートに出席されたのですよ。離宮にいらしてる間は、社交もしないで寛がれるのが恒例みたいなのにね」
フランツはジークフリートといると、ニューパロマでの大使館での生活を思い出す。
「ユーリが一人で歌う方が聞きごたえがあるのですが、大勢の前で歌うのは緊張するからと僕が引っ張り出されたのです。あのユーリが人見知りだなんて、信じられないけど、緊張しないと良いな」
ジークフリートも度胸がありそうなのに、意外と知らない人には構えてしまうユーリを知っていたので、思いがけない程の観衆に出演を後悔しているのではと気になる。
何度かストレーゼンで夏休みを過ごしたことのあるジークフリートだが、野外劇場のイベントが満席になったことが無いのにと、ユーリが出演することと、国王夫妻が臨席なさることが噂になったのだろうと思う。
ユーリは立太子式以来はカザリア王国に特使随行していたし、秋の本格的な社交界シーズンまでパーティーに出席してなかったので、アイスクリーム屋台まで露出が少なかったのにと、ストレーゼンの独身貴族達に顔が売れてしまったのが厄介に思われた。
「こんばんは、ユーリ嬢。今宵はフランツ卿とライラの一幕の楽曲を歌って下さると聞きましたが、本当にライラそのものですね」
主催者のロックフォード侯爵家の人々は、あちこちに座っている出演者に挨拶をしたり、出る順番と2つ前には舞台の袖に来てほしいとかのお願いをしてまわっていた。
「まあ、割と後なのですね。さっさと歌ってしまった方が楽だったかも」
手書きのプログラムを見て、30組位の出演者の中で14番目辺りなので、ユーリは溜め息をついた。
「始めの辺は、お子様方の発表会みたいなものなのですよ。小さなお子様方が、お眠になってはいけませんからね。ユーリ嬢はお若いから早めの出番ですよ」
アンリ卿の説明で、ストレーゼンの避暑地の子どもが発表会をするようなチャリティーコンサートなら、楽しめるかもとユーリは少し緊張が解ける。
「まぁ、子ども達も出演するのですね。楽しみですわ」
アンリは可愛らしいユーリ嬢と何時までも話していたかったが、他の出演者にも段取りを説明して回る。
「お祖父様、プログラムをご覧になる? 少し緊張していましたが、子ども達も出演すると聞いて、気が楽になりましたわ」
老公爵はユーリなら大丈夫だよと手を握ったが、少し緊張して冷たいのに驚いた。
国王と王妃は爵位を息子に譲ってからは社交の場に出てこなかったレオポルドが、ユーリ可愛さにチャリティーコンサートに来たので、久し振りだと挨拶を交わしたが、ユーリの手を握ってあれこれ世話を焼いている姿に心底驚く。
「レオポルド卿は、ユーリをべたべたに甘やかしているではないか」
アルフォンスは妹のキャサリンの嫁ぎ先のレオポルドを若い頃から知っていたので、冷たく見える容貌の割に情が深いのはわかっていたが、孫娘にこれほど甘いのに呆れてしまった。
チャリティーコンサートは小さな子供から始まった。各々の家族達や観客から、愛らしい姿に拍手がわいたが、少しづつ年齢が上がると、若い令嬢や子息達のピアノやバイオリンや歌と、出演するぐらいだから上手な演目が続いてきた。
「ユーリ、そろそろ舞台の袖に行こうか」
フランツが呼びに来たので、ユーリは席を立って舞台袖に着いたが、何度も昼に屋台で来ていた野外劇場が、夜で雰囲気も変わり、初めて着た場所に思えてドキドキしてきた。
「ユーリ、このコンサートは戦傷者のチャリティーのためなんだから」
ユージーンはユーリが緊張しかけているのに気づいた。
「そうだね、それに僕達はお子様方のチョコッと後なだけだし。皆も、お子様の発表会の延長みたいに聞いてくれるよ」
フランツの気楽な忠告に、ユーリはチャリティーの目的を思い出して、大きく深呼吸する。
ユージーンの演奏で、フランツとユーリは、ライラの一幕の楽曲を合唱した。舞台に立ったユーリの愛らしい姿に子息達はぼおっとなったが、フランツと歌い出すと感嘆の溜め息がもれた。
社交界にデビュー前のライラと、馬鹿な恋をしないように忠告するリチャードは、ユーリとフランツに嵌まり役だった。コミカルな掛け合いの歌に、聴衆は夢中になる。
二人が歌い終わると拍手喝采が鳴り止まず、やれやれと舞台からユーリ達が降りても拍手は鳴り止まなかった。
主催者のロックフォード侯爵はこれほどユーリの歌が素晴らしいとは思わず、前の方の出演にしたのを後悔したが、鳴り止まない拍手とアンコールの声に、ユーリにアンコールを依頼する。困っているユーリは、このままでは次の演目に移れないからと説得されて、フランツに救いを求めたが、聞きたがってるのは君の歌だよと送り出される。
「カボチャが並んでると思えば良いんだ。所々に、大根や、ニンジンが混ざってるかな? ユーリ『夏の夕暮れ』を歌えば良いよ」
ユージーンに笑わされて、曲も決めて貰うと、ユーリは覚悟を決めてアンコールに応える。
ユーリが一人で歌い出すと、客席はシーンと静まり返った。『夏の夕暮れ』は過ぎゆく夏と青春を掛け合わせた少し切ない曲で、年配の方々は自分達の青春を思い出して、涙を浮かべている人も多かった。若い人達は青春真っ盛りにいるにもかかわらず、夏休みも残り少くなった感傷的な思いにとらわれて、令嬢方はハンカチで涙を押さえた。
盛大な拍手に優雅にドレスを摘まんで挨拶をして、ユーリはやっと席に戻る。
「ユーリがあれほど歌が上手いとは知らなかった」
国王も若い頃を思い出して、胸に込み上げる思いがあったので、涙を堪えるのに苦労したが、王妃やメルローズはハンカチで目元を押さえている。
「ユーリの歌は何度聞いても、聞き飽きませんね」
グレゴリウスの言葉に、王妃とメルローズから苦情がきた。
「グラゴリウス、何故もっと早く言わないの。ユーリに離宮で歌をいっぱい歌って欲しかったわ。もう、エリザベート王妃はユーリの歌を1ヶ月も楽しんだというのに」
それは自分のせいではないと、グレゴリウスは考えたが、お祖母様と叔母様には逆らわない。
チャリティーコンサートは、ユーリのアンコール以外にも、何人かの優れた出演者にもアンコールがかかり、アンリのバイオリンと、ユージーンのピアノの合奏はプロ顔負けの腕前で、盛り上がって終わった。
夕暮れ時から始まったチャリティーコンサートが終わった頃には、夏の夜もふけていた。
主催者のロックフォード侯爵に挨拶をすると王族の方々は引き上げたが、グレゴリウスはユーリにとても素晴らしい歌だったよと声を掛けに来た。
ユーリ達も寄付を済ませると老公爵もいるので、ロックフォード侯爵家の別荘でのパーティーは辞退して帰宅する。
「疲れたわ」
軽い軽食のみだったので、何時もより遅い時間の軽めの夕食を食べながら、ユーリは疲れきっていた。
「当たり前だよ、朝から離宮に挨拶に行って、昼食を一緒に食べて帰ってくると思ったら、女官に皇太子殿下と、ジークフリート卿とユングフラウに竜で行ったと聞いて驚いたもの。夕方ぎりぎりに帰宅して、着替えてチャリティーコンサートだもの。少し体力を考えて動く事を考えなきゃ、見習い期間を過ごせないよ」
フランツの言葉に全員が同意した。
「ええ、そうね、あれこれ後先考えずに動いてしまうのは止めなきゃ。叔父様、家令のハモンドさんにお礼を言っておいて下さい。寮の手配をキチンと終えて下さってたのですもの。寮母のダルドリー夫人も、早速引っ越して下さるといわれましたから、ローズとマリーも寮で暮らせますわ。パーラーは経営だけで、ローズとマリーに任せるつもりですの、彼女達の方がしっかりしてるんですもの」
パーラーを友達に任せると聞いて、公爵は少し安心する。
ユーリがこれから勤める国務省はエリート意識の強い官僚が多く、貴族の子息だからといって容赦もしない厳しさは有名だった。ましてや竜騎士だからと特別扱いはされないだろうと案じていたからだ。
息子達が勤務先に選んだ外務省は、貴族の子息達や竜騎士も多かったし、やはり官僚としての能力のみでなく、社交能力や社会的な地位のネットワークが必要な部署で、ユージーンやフランツにはマウリッツ公爵家の後ろ盾が付いているので心配はしていない。
ロックフォード侯爵家のアンリが国務省に勤務したのは、チャリティー好きの家庭に育った影響から厚生関係の志望だと思われがちであったが、侯爵はアンリの頭脳明晰さがエリート官僚に挑戦させたのだと感じる。
ユージーンやフランツは、アンリの優しさばかりに気を取られているが、ユングフラウ大学で首席を取るには、勉強のみでなく他の学生を押さえる政治力も必要なのだと大学OBの公爵は知っている。第一、何代も侯爵家を支えるのに優しい気の良さだけでは無理なのを、若い息子達はまだ知らないと、公爵は教育していかなければいけないことが沢山あると溜め息をつく。
「パーラーはいつ開店する予定なんだ?」
ユージーンは寮に寮母も準備出来たのなら、夏が終わる前に開店した方が良いだろうと思う。
「今週末のハンナの結婚式が終わったら、開店するつもりよ。ローズとマリーも結婚式にヒースヒルにキャシーと一緒に帰る予定なの。ブライズメイドは初めてだから楽しみなの。四人だけど女の子だけだし、イリスは楽勝だと言ってるわ」
皆が少し不安そうな顔をするので、四人乗せて飛ぶのを心配しているのかとユーリは勘違いする。
「イリスなら女の子を四人ぐらい乗せて飛んでも大丈夫なのはわかっているよ。ユーリがブライズメイドするとは知らなかったから、心配しているのさ」
ユーリはフランツの言葉の意味が理解できない。
「何故、ブライズメイドをするから心配なの?」
ブライズメイドがどれほど独身の男に魅力的に見えるか、ユーリは知らないのだと焦る。
「ユーリ、ブライズメイドは花嫁の付き添いとして、夜遅くまで結婚式の披露宴会場に残るでしょ。独身の殿方には口説きやすいのよ。華やかな結婚式にロマンチックな気持ちになっているし、朝から花嫁の世話を、いえ前日の夜からずっと興奮状態だから、よく間違えがおきやすいの」
老公爵や公爵は領地の農民の結婚式に行った覚えはないが、深夜まで踊ったり歌ったりと賑やかなのは知っていたので、ブライズメイドとして後見人や、付き添いもないユーリが参加するのが心配でたまらない。
「結婚式に参列して、披露宴は帰ったらどうか?」
老公爵の言葉にユーリは嫌よと抗う。
「そんなの無理ですわ。第一、披露宴会場はハンナの家の庭ですもの。それにブライズメイドなのよ。新居に落ち着くまで面倒みなきゃ駄目なの。お祖父様、ハンナには子どもの頃に一緒に学校に連れて行って貰ったり、意地悪な女の子から庇って貰ったのよ。お願い、そんなこと仰らないで」
禁止されてもブライズメイドはするとユーリは考えていたが、優しくしてくれた公爵家の反対はつらく感じる。
「仕方がないな、フランツ、お前がユーリの付き添いとして、結婚式に列席しなさい。一人ぐらい列席者が増えでも困らないのだろう。お前一人でブライズメイドをさせるのは心配だから、せめてフランツの付き添いぐらいは譲歩してくれないか?」
ユージーンでは少し威圧感が有りすぎるだろうが、同じ年頃の従兄弟の付き添いなら許容範囲内だ。そう思った公爵はフランツに決めた。老公爵も公爵夫人も、フランツが付き添うならと、渋々ブライズメイドを承認する。フランツは親の命令では拒否は出来ないし、田舎の結婚式も面白そうだと引き受ける。
「フランツ一人ぐらい増えても大丈夫よ。村中の人を招待するのですもの。あっ、でもベッドは無いかも……親戚とかも押し掛けるし、私はキャシーと一緒にベッドを使うつもりだけど、フランツはハリーとベン……そうだビリーとマックも帰省するから4人で2つのベッドしか無いのに……床で寝る?」
夏だから床で寝ても構わないが、話を聞いているだけで、むさ苦しい男5人の雑魚寝は勘弁してほしい気持ちになったフランツだ。
「いや、泊まる場所は確保しよう。ヒースヒルは国王陛下の直轄地だから、管理者が居るだろう」
公爵の言葉に隣町のカーディモに管理者の屋敷があるとユーリは答えた。
「カーディモの管理者にフランツを泊めるように手配しておく」
公爵家の人達はユーリもフランツと一緒に管理者の屋敷に泊まってくれたら良いのにと、無理だとわかっているから提案はしなかったが本音では思う。
「チェッ、ユージーンは楽したね」
フランツは寝室に帰りながらユージーンに愚痴ったが、夏休み明けにエドアルドの社交相手の件や、ユーリの指導の竜騎士の続投とかが待っているのだと思い出して、反撃にあう前に部屋に駆け込む。
その後もユーリはストレーゼンと、ユングフラウを往復して、パーラーの準備をした。寮母のダルドリー夫人が引っ越したので、ローズとマリーを寮に連れて行く。
新しく4人の女の子達を雇うと、一緒にやってねと開店準備はなるべくローズとマリーに任せる事にしたのだが、やはり顔をだしては棚を拭いたり、食器を洗ったりてして、ローズとマリーに止めらた。
ダルドリー夫人とも何度か話をしたりしてすっかり仲良くなったが、軍人の妻だった夫人は竜騎士の重要性を熟知していたので、パーラーに時間を取りすぎないようにと忠告された。
ただ、王妃から離宮に呼び出しが掛かるのがユーリにとってはストレーゼンでの困った事だ。しかし、離宮で歌を歌ったりもしたが、せっかくの夏休みですものと王妃様は長時間の拘束はされず、グレゴリウス、ジークフリート、ユージーン、フランツといった特使一行の懐かしいメンバーで、遠乗りしたり、湖でボート遊びをしたりして過ごすように気を配ばる。
「ユーリは、まだグレゴリウスの恋心を受け入れる準備は出来ていませんわ。仲の良い友達として、一緒に過ごさせた方がよいのです。ユージーン卿とフランツは、結婚相手になりませんから好都合ですわ」
アルフォンスは楽しそうではあるが、秋にはエドアルドが遊学するのにと少し焦っていたが、テレーズに一蹴される。
「まだまだユーリが恋をするのは先ですわ。あの娘は、もう少しロマンチックな要素を身に付けなくてはねぇ。見た目はロザリモンド姫にそっくりなのに。落ち着きが無かったというスザンナ様だって押し掛け婚をされたぐらいだから、少しはロマンチックな要素をお持ちだったのにねぇ。どうすれば、ユーリの恋愛音痴がなおるのかしら?」
王妃の溜め息に国王も溜め息をつく。
ユーリのストレーゼンでの騒がしい日々はこうして過ぎていった。
「社交界デビュー前のライラですもの、髪は下ろしていた方があうでしょ?」
レースの白いドレスに、髪の毛をロールにして下ろして、白いバラの冠を飾ったユーリは、本当に愛らしかった。
「ユーリは白いバラ姫のようだ!」
老公爵はユーリのドレス姿にめろめろだ。ユージーンとフランツも、薄化粧したユーリが凄く綺麗なのに驚いたが、こんな姿とあの歌声を披露したら、独身貴族が門前に求婚の列をなすぞと困ってしまう。
「夜なのに大勢の人出ね。でも、篝火があって明るいのね、もっと暗いと思っていたわ」
初めて来た夜の野外劇場は、席がかなり埋まっていたが、主催者のロックフォード侯爵は、親戚のマウリッツ公爵家の為に席をあけていた。ユーリは老公爵と公爵夫妻に挟まれて座っていたが、辺りから熱い視線を送られているのにも気づかず、これほどの人の前で歌うのかとドキドキする。
客席のどよめきに振り返ったユーリは、国王夫妻と皇太子とサザーランド公爵夫妻が、ロックフォード侯爵に席に案内されるのを見て慌てて立つ。席が隣りになったので、王族方々と、公爵家の人々は礼儀正しく挨拶を交わす。
ユージーンとフランツは、ユーリの後ろの席に座っていたが、ジークフリートが隣に滑り込む。屋台では毎日会っていたが、こうしてじっくりと話す暇は無かったので、ユージーンはジークフリートと会えたのが嬉しかった。
「今夜のユーリ嬢はライラそのものですね。フランツ卿と合唱されるのですか? 国王夫妻はユーリ嬢の歌が聞きたいと、チャリティーコンサートに出席されたのですよ。離宮にいらしてる間は、社交もしないで寛がれるのが恒例みたいなのにね」
フランツはジークフリートといると、ニューパロマでの大使館での生活を思い出す。
「ユーリが一人で歌う方が聞きごたえがあるのですが、大勢の前で歌うのは緊張するからと僕が引っ張り出されたのです。あのユーリが人見知りだなんて、信じられないけど、緊張しないと良いな」
ジークフリートも度胸がありそうなのに、意外と知らない人には構えてしまうユーリを知っていたので、思いがけない程の観衆に出演を後悔しているのではと気になる。
何度かストレーゼンで夏休みを過ごしたことのあるジークフリートだが、野外劇場のイベントが満席になったことが無いのにと、ユーリが出演することと、国王夫妻が臨席なさることが噂になったのだろうと思う。
ユーリは立太子式以来はカザリア王国に特使随行していたし、秋の本格的な社交界シーズンまでパーティーに出席してなかったので、アイスクリーム屋台まで露出が少なかったのにと、ストレーゼンの独身貴族達に顔が売れてしまったのが厄介に思われた。
「こんばんは、ユーリ嬢。今宵はフランツ卿とライラの一幕の楽曲を歌って下さると聞きましたが、本当にライラそのものですね」
主催者のロックフォード侯爵家の人々は、あちこちに座っている出演者に挨拶をしたり、出る順番と2つ前には舞台の袖に来てほしいとかのお願いをしてまわっていた。
「まあ、割と後なのですね。さっさと歌ってしまった方が楽だったかも」
手書きのプログラムを見て、30組位の出演者の中で14番目辺りなので、ユーリは溜め息をついた。
「始めの辺は、お子様方の発表会みたいなものなのですよ。小さなお子様方が、お眠になってはいけませんからね。ユーリ嬢はお若いから早めの出番ですよ」
アンリ卿の説明で、ストレーゼンの避暑地の子どもが発表会をするようなチャリティーコンサートなら、楽しめるかもとユーリは少し緊張が解ける。
「まぁ、子ども達も出演するのですね。楽しみですわ」
アンリは可愛らしいユーリ嬢と何時までも話していたかったが、他の出演者にも段取りを説明して回る。
「お祖父様、プログラムをご覧になる? 少し緊張していましたが、子ども達も出演すると聞いて、気が楽になりましたわ」
老公爵はユーリなら大丈夫だよと手を握ったが、少し緊張して冷たいのに驚いた。
国王と王妃は爵位を息子に譲ってからは社交の場に出てこなかったレオポルドが、ユーリ可愛さにチャリティーコンサートに来たので、久し振りだと挨拶を交わしたが、ユーリの手を握ってあれこれ世話を焼いている姿に心底驚く。
「レオポルド卿は、ユーリをべたべたに甘やかしているではないか」
アルフォンスは妹のキャサリンの嫁ぎ先のレオポルドを若い頃から知っていたので、冷たく見える容貌の割に情が深いのはわかっていたが、孫娘にこれほど甘いのに呆れてしまった。
チャリティーコンサートは小さな子供から始まった。各々の家族達や観客から、愛らしい姿に拍手がわいたが、少しづつ年齢が上がると、若い令嬢や子息達のピアノやバイオリンや歌と、出演するぐらいだから上手な演目が続いてきた。
「ユーリ、そろそろ舞台の袖に行こうか」
フランツが呼びに来たので、ユーリは席を立って舞台袖に着いたが、何度も昼に屋台で来ていた野外劇場が、夜で雰囲気も変わり、初めて着た場所に思えてドキドキしてきた。
「ユーリ、このコンサートは戦傷者のチャリティーのためなんだから」
ユージーンはユーリが緊張しかけているのに気づいた。
「そうだね、それに僕達はお子様方のチョコッと後なだけだし。皆も、お子様の発表会の延長みたいに聞いてくれるよ」
フランツの気楽な忠告に、ユーリはチャリティーの目的を思い出して、大きく深呼吸する。
ユージーンの演奏で、フランツとユーリは、ライラの一幕の楽曲を合唱した。舞台に立ったユーリの愛らしい姿に子息達はぼおっとなったが、フランツと歌い出すと感嘆の溜め息がもれた。
社交界にデビュー前のライラと、馬鹿な恋をしないように忠告するリチャードは、ユーリとフランツに嵌まり役だった。コミカルな掛け合いの歌に、聴衆は夢中になる。
二人が歌い終わると拍手喝采が鳴り止まず、やれやれと舞台からユーリ達が降りても拍手は鳴り止まなかった。
主催者のロックフォード侯爵はこれほどユーリの歌が素晴らしいとは思わず、前の方の出演にしたのを後悔したが、鳴り止まない拍手とアンコールの声に、ユーリにアンコールを依頼する。困っているユーリは、このままでは次の演目に移れないからと説得されて、フランツに救いを求めたが、聞きたがってるのは君の歌だよと送り出される。
「カボチャが並んでると思えば良いんだ。所々に、大根や、ニンジンが混ざってるかな? ユーリ『夏の夕暮れ』を歌えば良いよ」
ユージーンに笑わされて、曲も決めて貰うと、ユーリは覚悟を決めてアンコールに応える。
ユーリが一人で歌い出すと、客席はシーンと静まり返った。『夏の夕暮れ』は過ぎゆく夏と青春を掛け合わせた少し切ない曲で、年配の方々は自分達の青春を思い出して、涙を浮かべている人も多かった。若い人達は青春真っ盛りにいるにもかかわらず、夏休みも残り少くなった感傷的な思いにとらわれて、令嬢方はハンカチで涙を押さえた。
盛大な拍手に優雅にドレスを摘まんで挨拶をして、ユーリはやっと席に戻る。
「ユーリがあれほど歌が上手いとは知らなかった」
国王も若い頃を思い出して、胸に込み上げる思いがあったので、涙を堪えるのに苦労したが、王妃やメルローズはハンカチで目元を押さえている。
「ユーリの歌は何度聞いても、聞き飽きませんね」
グレゴリウスの言葉に、王妃とメルローズから苦情がきた。
「グラゴリウス、何故もっと早く言わないの。ユーリに離宮で歌をいっぱい歌って欲しかったわ。もう、エリザベート王妃はユーリの歌を1ヶ月も楽しんだというのに」
それは自分のせいではないと、グレゴリウスは考えたが、お祖母様と叔母様には逆らわない。
チャリティーコンサートは、ユーリのアンコール以外にも、何人かの優れた出演者にもアンコールがかかり、アンリのバイオリンと、ユージーンのピアノの合奏はプロ顔負けの腕前で、盛り上がって終わった。
夕暮れ時から始まったチャリティーコンサートが終わった頃には、夏の夜もふけていた。
主催者のロックフォード侯爵に挨拶をすると王族の方々は引き上げたが、グレゴリウスはユーリにとても素晴らしい歌だったよと声を掛けに来た。
ユーリ達も寄付を済ませると老公爵もいるので、ロックフォード侯爵家の別荘でのパーティーは辞退して帰宅する。
「疲れたわ」
軽い軽食のみだったので、何時もより遅い時間の軽めの夕食を食べながら、ユーリは疲れきっていた。
「当たり前だよ、朝から離宮に挨拶に行って、昼食を一緒に食べて帰ってくると思ったら、女官に皇太子殿下と、ジークフリート卿とユングフラウに竜で行ったと聞いて驚いたもの。夕方ぎりぎりに帰宅して、着替えてチャリティーコンサートだもの。少し体力を考えて動く事を考えなきゃ、見習い期間を過ごせないよ」
フランツの言葉に全員が同意した。
「ええ、そうね、あれこれ後先考えずに動いてしまうのは止めなきゃ。叔父様、家令のハモンドさんにお礼を言っておいて下さい。寮の手配をキチンと終えて下さってたのですもの。寮母のダルドリー夫人も、早速引っ越して下さるといわれましたから、ローズとマリーも寮で暮らせますわ。パーラーは経営だけで、ローズとマリーに任せるつもりですの、彼女達の方がしっかりしてるんですもの」
パーラーを友達に任せると聞いて、公爵は少し安心する。
ユーリがこれから勤める国務省はエリート意識の強い官僚が多く、貴族の子息だからといって容赦もしない厳しさは有名だった。ましてや竜騎士だからと特別扱いはされないだろうと案じていたからだ。
息子達が勤務先に選んだ外務省は、貴族の子息達や竜騎士も多かったし、やはり官僚としての能力のみでなく、社交能力や社会的な地位のネットワークが必要な部署で、ユージーンやフランツにはマウリッツ公爵家の後ろ盾が付いているので心配はしていない。
ロックフォード侯爵家のアンリが国務省に勤務したのは、チャリティー好きの家庭に育った影響から厚生関係の志望だと思われがちであったが、侯爵はアンリの頭脳明晰さがエリート官僚に挑戦させたのだと感じる。
ユージーンやフランツは、アンリの優しさばかりに気を取られているが、ユングフラウ大学で首席を取るには、勉強のみでなく他の学生を押さえる政治力も必要なのだと大学OBの公爵は知っている。第一、何代も侯爵家を支えるのに優しい気の良さだけでは無理なのを、若い息子達はまだ知らないと、公爵は教育していかなければいけないことが沢山あると溜め息をつく。
「パーラーはいつ開店する予定なんだ?」
ユージーンは寮に寮母も準備出来たのなら、夏が終わる前に開店した方が良いだろうと思う。
「今週末のハンナの結婚式が終わったら、開店するつもりよ。ローズとマリーも結婚式にヒースヒルにキャシーと一緒に帰る予定なの。ブライズメイドは初めてだから楽しみなの。四人だけど女の子だけだし、イリスは楽勝だと言ってるわ」
皆が少し不安そうな顔をするので、四人乗せて飛ぶのを心配しているのかとユーリは勘違いする。
「イリスなら女の子を四人ぐらい乗せて飛んでも大丈夫なのはわかっているよ。ユーリがブライズメイドするとは知らなかったから、心配しているのさ」
ユーリはフランツの言葉の意味が理解できない。
「何故、ブライズメイドをするから心配なの?」
ブライズメイドがどれほど独身の男に魅力的に見えるか、ユーリは知らないのだと焦る。
「ユーリ、ブライズメイドは花嫁の付き添いとして、夜遅くまで結婚式の披露宴会場に残るでしょ。独身の殿方には口説きやすいのよ。華やかな結婚式にロマンチックな気持ちになっているし、朝から花嫁の世話を、いえ前日の夜からずっと興奮状態だから、よく間違えがおきやすいの」
老公爵や公爵は領地の農民の結婚式に行った覚えはないが、深夜まで踊ったり歌ったりと賑やかなのは知っていたので、ブライズメイドとして後見人や、付き添いもないユーリが参加するのが心配でたまらない。
「結婚式に参列して、披露宴は帰ったらどうか?」
老公爵の言葉にユーリは嫌よと抗う。
「そんなの無理ですわ。第一、披露宴会場はハンナの家の庭ですもの。それにブライズメイドなのよ。新居に落ち着くまで面倒みなきゃ駄目なの。お祖父様、ハンナには子どもの頃に一緒に学校に連れて行って貰ったり、意地悪な女の子から庇って貰ったのよ。お願い、そんなこと仰らないで」
禁止されてもブライズメイドはするとユーリは考えていたが、優しくしてくれた公爵家の反対はつらく感じる。
「仕方がないな、フランツ、お前がユーリの付き添いとして、結婚式に列席しなさい。一人ぐらい列席者が増えでも困らないのだろう。お前一人でブライズメイドをさせるのは心配だから、せめてフランツの付き添いぐらいは譲歩してくれないか?」
ユージーンでは少し威圧感が有りすぎるだろうが、同じ年頃の従兄弟の付き添いなら許容範囲内だ。そう思った公爵はフランツに決めた。老公爵も公爵夫人も、フランツが付き添うならと、渋々ブライズメイドを承認する。フランツは親の命令では拒否は出来ないし、田舎の結婚式も面白そうだと引き受ける。
「フランツ一人ぐらい増えても大丈夫よ。村中の人を招待するのですもの。あっ、でもベッドは無いかも……親戚とかも押し掛けるし、私はキャシーと一緒にベッドを使うつもりだけど、フランツはハリーとベン……そうだビリーとマックも帰省するから4人で2つのベッドしか無いのに……床で寝る?」
夏だから床で寝ても構わないが、話を聞いているだけで、むさ苦しい男5人の雑魚寝は勘弁してほしい気持ちになったフランツだ。
「いや、泊まる場所は確保しよう。ヒースヒルは国王陛下の直轄地だから、管理者が居るだろう」
公爵の言葉に隣町のカーディモに管理者の屋敷があるとユーリは答えた。
「カーディモの管理者にフランツを泊めるように手配しておく」
公爵家の人達はユーリもフランツと一緒に管理者の屋敷に泊まってくれたら良いのにと、無理だとわかっているから提案はしなかったが本音では思う。
「チェッ、ユージーンは楽したね」
フランツは寝室に帰りながらユージーンに愚痴ったが、夏休み明けにエドアルドの社交相手の件や、ユーリの指導の竜騎士の続投とかが待っているのだと思い出して、反撃にあう前に部屋に駆け込む。
その後もユーリはストレーゼンと、ユングフラウを往復して、パーラーの準備をした。寮母のダルドリー夫人が引っ越したので、ローズとマリーを寮に連れて行く。
新しく4人の女の子達を雇うと、一緒にやってねと開店準備はなるべくローズとマリーに任せる事にしたのだが、やはり顔をだしては棚を拭いたり、食器を洗ったりてして、ローズとマリーに止めらた。
ダルドリー夫人とも何度か話をしたりしてすっかり仲良くなったが、軍人の妻だった夫人は竜騎士の重要性を熟知していたので、パーラーに時間を取りすぎないようにと忠告された。
ただ、王妃から離宮に呼び出しが掛かるのがユーリにとってはストレーゼンでの困った事だ。しかし、離宮で歌を歌ったりもしたが、せっかくの夏休みですものと王妃様は長時間の拘束はされず、グレゴリウス、ジークフリート、ユージーン、フランツといった特使一行の懐かしいメンバーで、遠乗りしたり、湖でボート遊びをしたりして過ごすように気を配ばる。
「ユーリは、まだグレゴリウスの恋心を受け入れる準備は出来ていませんわ。仲の良い友達として、一緒に過ごさせた方がよいのです。ユージーン卿とフランツは、結婚相手になりませんから好都合ですわ」
アルフォンスは楽しそうではあるが、秋にはエドアルドが遊学するのにと少し焦っていたが、テレーズに一蹴される。
「まだまだユーリが恋をするのは先ですわ。あの娘は、もう少しロマンチックな要素を身に付けなくてはねぇ。見た目はロザリモンド姫にそっくりなのに。落ち着きが無かったというスザンナ様だって押し掛け婚をされたぐらいだから、少しはロマンチックな要素をお持ちだったのにねぇ。どうすれば、ユーリの恋愛音痴がなおるのかしら?」
王妃の溜め息に国王も溜め息をつく。
ユーリのストレーゼンでの騒がしい日々はこうして過ぎていった。
2
お気に入りに追加
1,982
あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる