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第三章 防衛都市
中級者用ダンジョンに挑戦 3
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私も木の陰に隠れて、斥候の様子を見る。脳内地図で確認したら、斥候は二人! 一人は、かなり近くにいる。
ふぅ、まず斥候をやっつけるべきなのか? それとも、あちらの罪状をハッキリさせた方が良いのか? こんな状況に前世では陥った事がないから悩む。
レッドウルフの馬鹿達は、あちらから仕掛けてきた。でも、今から思えば森に置いて来たら、大騒ぎにならなくて良かったのかも。
ヨハンセン・ギルドマスターって、ちょっと自分のルールを押し付ける感じだからなぁ。関わるのが面倒だ。
一番、私にとって楽なのは、相手に見つからないまま、五階を踏破して、転移陣で地上に戻ること。
「でもなぁ……」
次に来る冒険者が犠牲になるかもしれない。それを見過ごしにして、良いのか?
「ああ、ルシウスとジャスがいてくれたらなぁ!」
城から逃げ出した時は、一人で気儘に生きていくのを目標にしていたけど、こちらの常識がわからない。特に、冒険者の心得が!
自分だけの事を考えれば、斥候をバリアで囲い、本体もバリアで囲ったら良いだけだ。そして、地上に出てから、バリアを解く。
「そう、それで良いのさ! 面倒は御免だ!」と自分に言い聞かせるけど……。
「洒落臭い! そんな奴らをほっておけるか!」
色々迷ったけど、決めた!
先ずは、相手に強盗の実行犯になって貰わないとな! あのギルドマスターが、こちらの言い分を信じてくれるかは別問題だけど。いざとなったら、汝の罪を告解せよで自供もさせられる。ただ、これを使うと、髪の毛が伸びそうなんだ。
強盗を捕まえるのなら、荷物持ちの子どもがいないのも不自然だ。林の中に戻って、二人に掛けたバリアを解く。
「このままアイツらをのさばらしてはおけない。掛かってきたら、お前たちは絶対に護るから!」
そう言い聞かせて、なるべく階段近くまで移動する。ゾロゾロと引きずって行く距離を減らしたいからね。
こちらに向かってくる魔物の集団を、矢で射殺していく。急所を外したのは、バリアで討伐する。
実力を知ったら、襲って来ないかも? まぁ、それなら、それで良い。後で、ギルドマスターに疑念を伝えておこう。
どっちに転んでも迷惑千万の輩だ! それに、ジルとサミーを人質に取られたりしたら困るから、常に脳内地図の白い点を確認しながら、間に自分が入るように気をつける。
気をつけていたんだけど、魔物を討伐したら、二人は走ってドロップ品を拾いに行く。
「私より前に出るな!」と何回も注意したんだけど、荷物持ちの習性だね。
脳内地図で確認したら、近くに来ていた斥候が本隊に合流して、こちらに向かっている。
あちらも、こちらも、魔物の団体に脚を止められてはいるけど……この魔物達を討伐したら、次は遭遇しそう。
「できたら、避けたいけど……階段へ行く途中にいるからなぁ」
段々近づいてくる冒険者達。ああ、嫌だ、嫌だ!
ここまできても、私の勘違いだったら良いなと思う自分の甘さも嫌だ!
「おぃ、お前、見ない顔だな!」
馬鹿の声掛けは、いつも同じだ。
「この前、防衛都市に来たばかりだからな。転移陣まで急ぐから!」
これで、手を出さなければ、さよならできるのだけど……やはり、こいつらは冒険者じゃない。盗賊だ!
ぐるりと私と荷物持ちのジルとサミーを取り囲む。
「その籠、重たそうだな。持ってやるよ!」
馬鹿どものリーダーっぽいモジャモジャ髭が笑う。反吐が出そうだ!
「それは、強盗だぞ!」
一応、警告しておくが、全員に爆笑された。
「ガハハハ! ダンジョンの中では強い者が正義なのさ。籠を渡せ! いや、死ね!」
ジルとサミーにはバリアを掛けた。
そして、こちらに剣や弓を向けた奴らにも!
「おい! 何をするんだ!」
「出せ! この野郎!」
口々に文句を言っているが、何故、殺そうとした相手を出さなくてはいけないのか?
「お前たちもグルなのか?」
荷物持ちにしては、身体が大きい。冒険者なのかも。
「俺たちは、雇われただけだ」
ブルブル震えながら無実だと伝えるけど、何回か雇われたら手口を知っていた筈だ。
「まぁ、それは上に出てからギルドマスターに言うんだな」
八人の冒険者と二人の荷物持ち。荷物持ちには、自分で歩いて上がって貰おう。
「拘束!」
前にレッドウルフの馬鹿達を森から引きずって来るのに苦労したから、女神様の知識を探索して使えそうな魔法を調べておいたんだ。
使わなくて済めば良かったけど、八人も縄で縛って連れて行くのは大変だから、泥縄にならなくて良かったよ。
拘束の銀の縄に縛られた八人、口も塞げたら良かったのに……煩い! 今度は黙らせる魔法を調べておこう。
「おい、何をするんだ!」
「殺すぞ!」
何人かは、ぶん殴って意識を無くさせた。
「うん? 意識が無くても、引きずって行くのは魔法の消耗は同じなのか?」
それなら全員、気絶させた方が煩くないし、楽だ! 残りの馬鹿は、回し蹴りの練習にする。ジャスを〆る時に、一発でノシたいからね。あいつ、頑丈だから回し蹴りが効きにくいんだ。
ジルとサミーも少し呆れているみたいだけど、強盗の荷物持ち二人はビビって漏らしている。
「浄化!」を掛けてやる。近くにいると臭いからね!
ズルズル……私が歩くと、銀の縄に縛られた冒険者八人も引きずられる。
「魔物を討伐しながら、コイツらを連れて歩くのって嫌だなぁ」
それに、五階は魔物も群れを作っている。それをなるべく避けながら、階段へと進むのだけど、コカトリスの集団がこちらに向かってくる。
「この集団を抜けたら、階段まであと少しだ!」
「バリア! バリア! バリア! バリア!」で一気に討伐した。
ジルとサミーがコカトリスのドロップ品を拾う。火食い鳥の卵よりも大きな卵が二つ! これは、高価買取が期待できる。
転移陣前のボス戦、ファイヤーウルフの集団だった。何となくレッドウルフを思い出して、嫌な気分になる。
鑑定したら、ファイヤーボールを打ってくるとあるので、さっさと「雷!」で討伐する。
ボスは、普通のファイヤーウルフの三倍はありそう。それに、身体が赤く燃えている。
「雷!」では倒せなかったので「遮断!」でやっと倒せた。
ファイヤーウルフのドロップ品、毛皮は理解できるし、魔石や牙も分かるけど、ボスから赤い短剣が落ちた。これ、本当に神様の気まぐれすぎる設定だよ。
ただ、ズルズルと引きずっている冒険者達を、階段近くで討伐していた冒険者達に凄く怪しそうに見られたんだよね。
「やはり殺しておくべきだったのかも……」
後で、ルシウスとジャスに聞いておこう。
ふぅ、まず斥候をやっつけるべきなのか? それとも、あちらの罪状をハッキリさせた方が良いのか? こんな状況に前世では陥った事がないから悩む。
レッドウルフの馬鹿達は、あちらから仕掛けてきた。でも、今から思えば森に置いて来たら、大騒ぎにならなくて良かったのかも。
ヨハンセン・ギルドマスターって、ちょっと自分のルールを押し付ける感じだからなぁ。関わるのが面倒だ。
一番、私にとって楽なのは、相手に見つからないまま、五階を踏破して、転移陣で地上に戻ること。
「でもなぁ……」
次に来る冒険者が犠牲になるかもしれない。それを見過ごしにして、良いのか?
「ああ、ルシウスとジャスがいてくれたらなぁ!」
城から逃げ出した時は、一人で気儘に生きていくのを目標にしていたけど、こちらの常識がわからない。特に、冒険者の心得が!
自分だけの事を考えれば、斥候をバリアで囲い、本体もバリアで囲ったら良いだけだ。そして、地上に出てから、バリアを解く。
「そう、それで良いのさ! 面倒は御免だ!」と自分に言い聞かせるけど……。
「洒落臭い! そんな奴らをほっておけるか!」
色々迷ったけど、決めた!
先ずは、相手に強盗の実行犯になって貰わないとな! あのギルドマスターが、こちらの言い分を信じてくれるかは別問題だけど。いざとなったら、汝の罪を告解せよで自供もさせられる。ただ、これを使うと、髪の毛が伸びそうなんだ。
強盗を捕まえるのなら、荷物持ちの子どもがいないのも不自然だ。林の中に戻って、二人に掛けたバリアを解く。
「このままアイツらをのさばらしてはおけない。掛かってきたら、お前たちは絶対に護るから!」
そう言い聞かせて、なるべく階段近くまで移動する。ゾロゾロと引きずって行く距離を減らしたいからね。
こちらに向かってくる魔物の集団を、矢で射殺していく。急所を外したのは、バリアで討伐する。
実力を知ったら、襲って来ないかも? まぁ、それなら、それで良い。後で、ギルドマスターに疑念を伝えておこう。
どっちに転んでも迷惑千万の輩だ! それに、ジルとサミーを人質に取られたりしたら困るから、常に脳内地図の白い点を確認しながら、間に自分が入るように気をつける。
気をつけていたんだけど、魔物を討伐したら、二人は走ってドロップ品を拾いに行く。
「私より前に出るな!」と何回も注意したんだけど、荷物持ちの習性だね。
脳内地図で確認したら、近くに来ていた斥候が本隊に合流して、こちらに向かっている。
あちらも、こちらも、魔物の団体に脚を止められてはいるけど……この魔物達を討伐したら、次は遭遇しそう。
「できたら、避けたいけど……階段へ行く途中にいるからなぁ」
段々近づいてくる冒険者達。ああ、嫌だ、嫌だ!
ここまできても、私の勘違いだったら良いなと思う自分の甘さも嫌だ!
「おぃ、お前、見ない顔だな!」
馬鹿の声掛けは、いつも同じだ。
「この前、防衛都市に来たばかりだからな。転移陣まで急ぐから!」
これで、手を出さなければ、さよならできるのだけど……やはり、こいつらは冒険者じゃない。盗賊だ!
ぐるりと私と荷物持ちのジルとサミーを取り囲む。
「その籠、重たそうだな。持ってやるよ!」
馬鹿どものリーダーっぽいモジャモジャ髭が笑う。反吐が出そうだ!
「それは、強盗だぞ!」
一応、警告しておくが、全員に爆笑された。
「ガハハハ! ダンジョンの中では強い者が正義なのさ。籠を渡せ! いや、死ね!」
ジルとサミーにはバリアを掛けた。
そして、こちらに剣や弓を向けた奴らにも!
「おい! 何をするんだ!」
「出せ! この野郎!」
口々に文句を言っているが、何故、殺そうとした相手を出さなくてはいけないのか?
「お前たちもグルなのか?」
荷物持ちにしては、身体が大きい。冒険者なのかも。
「俺たちは、雇われただけだ」
ブルブル震えながら無実だと伝えるけど、何回か雇われたら手口を知っていた筈だ。
「まぁ、それは上に出てからギルドマスターに言うんだな」
八人の冒険者と二人の荷物持ち。荷物持ちには、自分で歩いて上がって貰おう。
「拘束!」
前にレッドウルフの馬鹿達を森から引きずって来るのに苦労したから、女神様の知識を探索して使えそうな魔法を調べておいたんだ。
使わなくて済めば良かったけど、八人も縄で縛って連れて行くのは大変だから、泥縄にならなくて良かったよ。
拘束の銀の縄に縛られた八人、口も塞げたら良かったのに……煩い! 今度は黙らせる魔法を調べておこう。
「おい、何をするんだ!」
「殺すぞ!」
何人かは、ぶん殴って意識を無くさせた。
「うん? 意識が無くても、引きずって行くのは魔法の消耗は同じなのか?」
それなら全員、気絶させた方が煩くないし、楽だ! 残りの馬鹿は、回し蹴りの練習にする。ジャスを〆る時に、一発でノシたいからね。あいつ、頑丈だから回し蹴りが効きにくいんだ。
ジルとサミーも少し呆れているみたいだけど、強盗の荷物持ち二人はビビって漏らしている。
「浄化!」を掛けてやる。近くにいると臭いからね!
ズルズル……私が歩くと、銀の縄に縛られた冒険者八人も引きずられる。
「魔物を討伐しながら、コイツらを連れて歩くのって嫌だなぁ」
それに、五階は魔物も群れを作っている。それをなるべく避けながら、階段へと進むのだけど、コカトリスの集団がこちらに向かってくる。
「この集団を抜けたら、階段まであと少しだ!」
「バリア! バリア! バリア! バリア!」で一気に討伐した。
ジルとサミーがコカトリスのドロップ品を拾う。火食い鳥の卵よりも大きな卵が二つ! これは、高価買取が期待できる。
転移陣前のボス戦、ファイヤーウルフの集団だった。何となくレッドウルフを思い出して、嫌な気分になる。
鑑定したら、ファイヤーボールを打ってくるとあるので、さっさと「雷!」で討伐する。
ボスは、普通のファイヤーウルフの三倍はありそう。それに、身体が赤く燃えている。
「雷!」では倒せなかったので「遮断!」でやっと倒せた。
ファイヤーウルフのドロップ品、毛皮は理解できるし、魔石や牙も分かるけど、ボスから赤い短剣が落ちた。これ、本当に神様の気まぐれすぎる設定だよ。
ただ、ズルズルと引きずっている冒険者達を、階段近くで討伐していた冒険者達に凄く怪しそうに見られたんだよね。
「やはり殺しておくべきだったのかも……」
後で、ルシウスとジャスに聞いておこう。
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