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第三章 防衛都市
『金熊亭』にチェックイン
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ジャスと一緒に部屋に風呂が付いている宿に向かう。
名前的に『青葉亭』が良いんじゃないかな? と何も知らないけど思っていた。イメージで、安らげそうだからさ。
「アレク、あれが『青葉亭』だ」
ジャスに言われて看板を見た。大きな葉っぱだ。
そう言えば『海亀亭』も海亀を飾っていたなと、懐かしく思い出す。
「なぁ、もしかして『金熊亭』の看板は……」
ジャスがガハハと笑う。それは、嫌かもしれないな。
「金熊はダンジョンの深い場所で、たまに遭遇するんだが、毛皮が高価買取りされるからお得な魔物なんだ。だから、縁起が良いのさ」
ふうん、でも『青葉亭』は外観も綺麗だし、冒険者ギルドに近い。ここに泊まれたら良いな。
私の考えと同じ意見の冒険者が多いみたいだ。
「満室なんです」とお断りされちゃった。
「まぁ、仕方ないな。ここは満室が多いのさ」
『金熊亭』は、ギルドから離れるけど、ジャスに言わせると良い場所にあるそうだ。嫌な予感的中! 賑やかな場所なのは良いが、少し向こうには花街があるみたいだ。
『金熊亭』、やはりゴールデンベアが看板になっている。『ガォォォ』と叫んでいるゴールデンベアかぁ。ちょっと引いちゃう。
「なぁ、他にも部屋に風呂がある宿はないのか?」
「あるけど、高くなるぞ! それに、ここら辺は飲食街も近いから、長期滞在には便利なんだ」
「飲食街?」確かに賑やかな通りだけど、少し向こうの花街の方が目立っている。
宿を取る前から、ジャスの気持ちは花街へ飛んでいるんじゃない?
「風呂に入ったら、アレクも一緒に遊びに行かないか?」
最低! 口をききたくない気分。
「俺は、風呂に入ったら、ゆっくりと眠りたい」
キッパリと断らないと、ジャスに花街に連れて行かれそうだからね。
「まぁ、初めての護衛任務だったからなぁ」
それに、『金熊亭』の風呂付きの部屋が取れたので、ジャスは気もそぞろだ。
私も、サーシャの時以来のお風呂だ! お互いに、いそいそと部屋に向かう。
「あっ、アレク! 宿の女中にチップを渡して、お湯を運んでもらうんだぞ」
お風呂付きの部屋なので、お湯はこみこみの値段だけど、チップを渡すのがマナーみたいだ。
前世でも、外国ではチップがあったなぁと、変な記憶が蘇った。
「いくら渡すんだ?」
これ、重要! 少ないのも嫌だけど、多すぎるのも田舎者に思われそうだから。
「チップだから、いくらでも良いけど……アレクって本当に世間知らずだなぁ。銅貨で良いさ」
ふぅ、私を部屋に案内してくれた女中に「風呂に入りたい」と頼む。
お城でも人力でお湯を運んでいたけど、ここでもだ。
大きな桶で水を運び、小さな桶にお湯を持ってくる。それを何回か繰り返して、部屋に付いている風呂桶に半分ほどのお湯が入った。
「終い湯も必要ですか? それと、洗濯物は別料金ですが、備え付けの袋に入れておいて下さい」
こちらでは、風呂桶の中で身体も髪の毛も洗う。
つまり、お湯の中には石鹸と共に汚れも混じっている状態になるんだけど……あまり気にしない人が多いみたい。
「ああ、終い湯も欲しい」
ここでチップ! 銅貨二枚渡して、多めに持ってきてもらう。
お湯は下から運ばないといけないが、風呂桶の栓を抜いたら排水できるようにはなっているみたいだ。
つまり、汚くなったお湯は捨てて、綺麗なお湯に浸かりたいんだよね。
お湯を持ってきてもらい、後は浄水を出して嵩ましする作戦。
鍵を掛けたのを確認して、久しぶりのお風呂だ。浄化を使っているから、汚くはないけど、気持ちが違う!
「あ、あ、あぁ……」
綺麗になって、汚いお湯を抜いて、綺麗なお湯に浸かる。
「極楽、極楽!」爺くさい事を思わず呟いちゃった。
洗濯物……浄化で綺麗だから良いかな?
それより、部屋のベッド……マットレスがへたっている。
それに、ベッドの下とかは掃除が良い加減だ。これは、要チェックだね!
「浄化!」を掛けて、へたったマットレスをアイテムボックスの中に収納して、お城から持ってきたマットレスを出す。
やはり、お城のベッドの方が良い感じ。
今日は、このまま寝よう!
ベッドで、うとうとしていたが、ノックの音で目が覚めた。
「おおい! アレク!」
この声はルシウスだ。ジャスは、花街に行ったのだろう。
「飯を食うぞ!」
ジャスの怒鳴り声で、完全に目が覚めた。お腹がすいている!
「おう、飯を食べに行こう!」
風呂に入って、一寝入りしたので、腹ペコだ。
「防衛都市は、魔物の肉が出回っているから、料理は安くて美味しいんだ!」
それは、嬉しい! 交易都市みたいに海に面してはいないから、魚介類は期待薄だけどね。
ただ、ジャスは花街に行ったと思っていたのに意外だなぁ。
「へへへ、愛しのルミエラちゃんに、手紙を届けてもらったのさ」
ゲー! そんな情報はいらないよ。
「そうか、ルミエラは売れっ子だから、予約しなきゃな」
ルシウスも花街に行くのかな? ちょっと嫌だ! 二人ともお風呂に入ったのか、すっきりとしている。まぁ、護衛任務中も浄化を掛けてはいたんだけどね。
男同士の雑談をしている二人と、夕方になってより賑やかになった通りを歩く。
相変わらず子どもが町を彷徨いている。もう、日も暮れたのに? 家とか無いのか? ストリートチルドレンは、前世でも問題だったような?
「おお、ここにしようぜ!」
ジャスが決めた店からは、肉を焼く良い香りがしていた。
「ああ!」ルシウスも香りで空腹が増したようだ。私もね!
店の中には、何人もの冒険者達が大きな骨付きの肉に齧り付いていた。それに、エール!
「エールが欲しい!」
私が言わなくても、ジャスもルシウスも同じ気持ちだ。
「「「乾杯!」」」
生ぬるいエール、前世の記憶が冷たいビールが欲しいと叫んでいる気がするけど、これはこれで良いんだよ。
交易都市よりも暑い防衛都市だけど、エールのぬるさは同じぐらい。だから、ちょこっとは冷えている気がするんだよね。
食べ物は、初めての店だからルシウスとジャスと同じ物にする。つまり肉の焼いたのだ。
「ジャス、アレク、これが防衛依頼の報酬だ」
えっ、店で報酬の受け渡し? 周りには酔っ払った人もいるのに? と思ったけど、ギルドの発行した紙だった。
「おおっ、アレク! 凄えな!」
ちらっと私の報酬額を見て、ジャスがガハハと笑う。
浄水代や治療代などが上乗せされているからね。
「なぁ、護衛依頼っていつもあんなのか?」
凄く大変だった気がする。ヴリシャーカピの集団やオークの集団に襲われてさ。
「いや、あれは無いなぁ!」
ジャスも今回は異例だと愚痴る。
「まぁ、報酬は良かったからな! それと、ギルド長が調査隊を派遣するそうだ。俺たちにも声が掛かるかもしれないが……当分は、オークの顔は見たくないな」
それは、同意! ただ、ちゃんと討伐して欲しい。
「誰がリーダーになるのかによるな」
えっ、ジャス? 凄くやる気なんだけど?
「ルミエラちゃんを身請けしたいんだ!」
ルシウスが呆れ顔だ。
「お前なぁ、遊女の睦言を本気にするなよ! それより、クランを作る時の為に貯金しろ!」
それは、ルシウスの言う通りだと思うのだけど、食事中ずっとジャスの惚気? を聞かされた。やれやれ!
でも、ルシウスがジャスを黙らせてくれた。
「ルミエラぐらいの売れっ子だったら、家もない男に身請けなんかして欲しくないんじゃないか?」
ジャスは、それからは黙って肉をガシガシ食べていたけど、何を考えているのか、私とルシウスは少し不安になった。
名前的に『青葉亭』が良いんじゃないかな? と何も知らないけど思っていた。イメージで、安らげそうだからさ。
「アレク、あれが『青葉亭』だ」
ジャスに言われて看板を見た。大きな葉っぱだ。
そう言えば『海亀亭』も海亀を飾っていたなと、懐かしく思い出す。
「なぁ、もしかして『金熊亭』の看板は……」
ジャスがガハハと笑う。それは、嫌かもしれないな。
「金熊はダンジョンの深い場所で、たまに遭遇するんだが、毛皮が高価買取りされるからお得な魔物なんだ。だから、縁起が良いのさ」
ふうん、でも『青葉亭』は外観も綺麗だし、冒険者ギルドに近い。ここに泊まれたら良いな。
私の考えと同じ意見の冒険者が多いみたいだ。
「満室なんです」とお断りされちゃった。
「まぁ、仕方ないな。ここは満室が多いのさ」
『金熊亭』は、ギルドから離れるけど、ジャスに言わせると良い場所にあるそうだ。嫌な予感的中! 賑やかな場所なのは良いが、少し向こうには花街があるみたいだ。
『金熊亭』、やはりゴールデンベアが看板になっている。『ガォォォ』と叫んでいるゴールデンベアかぁ。ちょっと引いちゃう。
「なぁ、他にも部屋に風呂がある宿はないのか?」
「あるけど、高くなるぞ! それに、ここら辺は飲食街も近いから、長期滞在には便利なんだ」
「飲食街?」確かに賑やかな通りだけど、少し向こうの花街の方が目立っている。
宿を取る前から、ジャスの気持ちは花街へ飛んでいるんじゃない?
「風呂に入ったら、アレクも一緒に遊びに行かないか?」
最低! 口をききたくない気分。
「俺は、風呂に入ったら、ゆっくりと眠りたい」
キッパリと断らないと、ジャスに花街に連れて行かれそうだからね。
「まぁ、初めての護衛任務だったからなぁ」
それに、『金熊亭』の風呂付きの部屋が取れたので、ジャスは気もそぞろだ。
私も、サーシャの時以来のお風呂だ! お互いに、いそいそと部屋に向かう。
「あっ、アレク! 宿の女中にチップを渡して、お湯を運んでもらうんだぞ」
お風呂付きの部屋なので、お湯はこみこみの値段だけど、チップを渡すのがマナーみたいだ。
前世でも、外国ではチップがあったなぁと、変な記憶が蘇った。
「いくら渡すんだ?」
これ、重要! 少ないのも嫌だけど、多すぎるのも田舎者に思われそうだから。
「チップだから、いくらでも良いけど……アレクって本当に世間知らずだなぁ。銅貨で良いさ」
ふぅ、私を部屋に案内してくれた女中に「風呂に入りたい」と頼む。
お城でも人力でお湯を運んでいたけど、ここでもだ。
大きな桶で水を運び、小さな桶にお湯を持ってくる。それを何回か繰り返して、部屋に付いている風呂桶に半分ほどのお湯が入った。
「終い湯も必要ですか? それと、洗濯物は別料金ですが、備え付けの袋に入れておいて下さい」
こちらでは、風呂桶の中で身体も髪の毛も洗う。
つまり、お湯の中には石鹸と共に汚れも混じっている状態になるんだけど……あまり気にしない人が多いみたい。
「ああ、終い湯も欲しい」
ここでチップ! 銅貨二枚渡して、多めに持ってきてもらう。
お湯は下から運ばないといけないが、風呂桶の栓を抜いたら排水できるようにはなっているみたいだ。
つまり、汚くなったお湯は捨てて、綺麗なお湯に浸かりたいんだよね。
お湯を持ってきてもらい、後は浄水を出して嵩ましする作戦。
鍵を掛けたのを確認して、久しぶりのお風呂だ。浄化を使っているから、汚くはないけど、気持ちが違う!
「あ、あ、あぁ……」
綺麗になって、汚いお湯を抜いて、綺麗なお湯に浸かる。
「極楽、極楽!」爺くさい事を思わず呟いちゃった。
洗濯物……浄化で綺麗だから良いかな?
それより、部屋のベッド……マットレスがへたっている。
それに、ベッドの下とかは掃除が良い加減だ。これは、要チェックだね!
「浄化!」を掛けて、へたったマットレスをアイテムボックスの中に収納して、お城から持ってきたマットレスを出す。
やはり、お城のベッドの方が良い感じ。
今日は、このまま寝よう!
ベッドで、うとうとしていたが、ノックの音で目が覚めた。
「おおい! アレク!」
この声はルシウスだ。ジャスは、花街に行ったのだろう。
「飯を食うぞ!」
ジャスの怒鳴り声で、完全に目が覚めた。お腹がすいている!
「おう、飯を食べに行こう!」
風呂に入って、一寝入りしたので、腹ペコだ。
「防衛都市は、魔物の肉が出回っているから、料理は安くて美味しいんだ!」
それは、嬉しい! 交易都市みたいに海に面してはいないから、魚介類は期待薄だけどね。
ただ、ジャスは花街に行ったと思っていたのに意外だなぁ。
「へへへ、愛しのルミエラちゃんに、手紙を届けてもらったのさ」
ゲー! そんな情報はいらないよ。
「そうか、ルミエラは売れっ子だから、予約しなきゃな」
ルシウスも花街に行くのかな? ちょっと嫌だ! 二人ともお風呂に入ったのか、すっきりとしている。まぁ、護衛任務中も浄化を掛けてはいたんだけどね。
男同士の雑談をしている二人と、夕方になってより賑やかになった通りを歩く。
相変わらず子どもが町を彷徨いている。もう、日も暮れたのに? 家とか無いのか? ストリートチルドレンは、前世でも問題だったような?
「おお、ここにしようぜ!」
ジャスが決めた店からは、肉を焼く良い香りがしていた。
「ああ!」ルシウスも香りで空腹が増したようだ。私もね!
店の中には、何人もの冒険者達が大きな骨付きの肉に齧り付いていた。それに、エール!
「エールが欲しい!」
私が言わなくても、ジャスもルシウスも同じ気持ちだ。
「「「乾杯!」」」
生ぬるいエール、前世の記憶が冷たいビールが欲しいと叫んでいる気がするけど、これはこれで良いんだよ。
交易都市よりも暑い防衛都市だけど、エールのぬるさは同じぐらい。だから、ちょこっとは冷えている気がするんだよね。
食べ物は、初めての店だからルシウスとジャスと同じ物にする。つまり肉の焼いたのだ。
「ジャス、アレク、これが防衛依頼の報酬だ」
えっ、店で報酬の受け渡し? 周りには酔っ払った人もいるのに? と思ったけど、ギルドの発行した紙だった。
「おおっ、アレク! 凄えな!」
ちらっと私の報酬額を見て、ジャスがガハハと笑う。
浄水代や治療代などが上乗せされているからね。
「なぁ、護衛依頼っていつもあんなのか?」
凄く大変だった気がする。ヴリシャーカピの集団やオークの集団に襲われてさ。
「いや、あれは無いなぁ!」
ジャスも今回は異例だと愚痴る。
「まぁ、報酬は良かったからな! それと、ギルド長が調査隊を派遣するそうだ。俺たちにも声が掛かるかもしれないが……当分は、オークの顔は見たくないな」
それは、同意! ただ、ちゃんと討伐して欲しい。
「誰がリーダーになるのかによるな」
えっ、ジャス? 凄くやる気なんだけど?
「ルミエラちゃんを身請けしたいんだ!」
ルシウスが呆れ顔だ。
「お前なぁ、遊女の睦言を本気にするなよ! それより、クランを作る時の為に貯金しろ!」
それは、ルシウスの言う通りだと思うのだけど、食事中ずっとジャスの惚気? を聞かされた。やれやれ!
でも、ルシウスがジャスを黙らせてくれた。
「ルミエラぐらいの売れっ子だったら、家もない男に身請けなんかして欲しくないんじゃないか?」
ジャスは、それからは黙って肉をガシガシ食べていたけど、何を考えているのか、私とルシウスは少し不安になった。
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