47 / 71
第三章 防衛都市
防衛都市はカオスだ
しおりを挟む
カインズ商隊の護衛は、ここでお終いだ。荷馬車は、カインズ商会の防衛都市店で荷下ろしをしている。
「ご苦労様だった! 後は、冒険者ギルドで精算しよう」
グレアムさんとアリシア町の町長の息子と一緒に、ぞろぞろと冒険者ギルドに向かう。
防衛都市には、人が溢れていた。道には、屋台が並び、魔物の肉を焼いている。
そして、これまで見た以上の子ども達! 交易都市にも子どもはいたけど、街中をこんなに屯ろしていなかった。
それに、何だか目つきが鋭い子も多い。
「アレク、金をすられない様にしろよ! ここでは、ぼんやりしている奴が悪いのさ」
治安が悪そう! でも、この子どもたちの親は?
「冒険者の子も多いが……まぁ、花街も大きいからな!」
ううう……それって……!
「子ども達を教会は保護しないのか?」
二人は肩を竦める。そうだ! 北の大陸でも親を亡くした子ども達の全てが教会に保護された訳じゃない。
サーシャは、あのクズ聖王が一応は雀の涙程度の寄付をして修道院に引き取られたのだ。あそこにいた他の子も、貴族の庶子とか邪魔な子だった。
サーシャだったら、この子ども達を保護したのだろうか? 愛し子としてならできるのか? いや、この南の大陸では無理だろう。それに、女神様に言わせると、聖皇はクソだそうだから、無いな。
そんな事を考えながら歩く。何回か、ぼんやりしていると思われたのか、ぶつかって財布をすられかけたが、アイテムボックスに入れているから無事だった。
ルシウスやジャスには、子ども達もぶつかったりしない。
「アレク、馬鹿にされているな!」
ジャスに笑われた。それは、見た目がゴツイ大男じゃないからだよ。
「デカい!」
交易都市の冒険者ギルドも北の大陸より大きかったけど、防衛都市のは、本当にデカかった。
まぁ、サーシャの修道院がある田舎町の冒険者ギルドがショボかったんだ。
中には、ゴツイ冒険者達がウヨウヨしていた。汗臭いし、血の匂いが染み込んだ鎧の独特な匂いだ。
「浄化!」と思わず掛けたよ。臭いのは御免なんだ。自分達も悪臭を発してただろうけど、もう大丈夫。
冒険者ギルドに着いて、中には子どもがいなくてホッとしたけど、これから代金を貰わないといけないんだ。
それは、金をより多く貰おうと張り切っているリーダーのルシウスに任せて、私とジャスは冒険者ギルドでぬるいエールを飲んでいる。
クレージーホースのメンバーは、リーダーのクレア以外は、愛しいスレイプニルの面倒を見ているみたいだし、草原の風は、リーダー以外は他のメンバーと再会を喜んでいるようだ。
「結構、高額になりそうだよなぁ」
ジャスは、その金を持って可愛いお姉ちゃんに会いに行きたいのだろう。
これが無ければ、私の能力について打ち明けられるのかもしれない。
前は、転移を使ってダンジョンを制覇するとか、ちょこっと考えていたんだ。
それと、ある程度の金を稼いだら、薬師として食べていくとかさ。
こちらの世界を舐めていた。魔物、マジ強い! 交易都市の近くの魔物ならなんとかなったかもしれないけどさ。
それと、仲間がいるのって、やはり心強い。人間は群れる動物なんだよね。
ルシウスは、金にガメついのが難点だけど、クランを作るって夢は良いと思う。
それに、私が参加するのか、いやできるのかは分からないけどね。
銀級、女神様憑きならなれると思うけど、それは御免だ。愛し子だと教会に目をつけられるのも困るから、自分の力だけで銀級にならなきゃね。
まぁ、自分の力と言ってもかなり女神様から優遇して貰っているけどさ。
「長いなぁ! 宿を取って、風呂に入りたいんだが……」
それは、私も同感だ。
「なぁ、部屋に風呂がある宿って無いのか?」
共同風呂は、ちょっと無理だからね。期待しているんだ。
ジャスが、ガハハと笑う。
「あるさ! 交易都市にもあったが、高いぞ! まぁ、防衛都市の方が宿代も安い。風呂付きの部屋は、金貨二枚はいるぞ」
高いけど、海亀亭だって金貨一枚したよね? それも半額にして貰ってだったから、実は二金貨だった。
「交易都市の物価は高いのさ。だから、冒険者達も暮らしやすい防衛都市を目指すのだが……ここは、魔物が強い」
それは、バシバシ感じるよ。防衛都市に近づくにつれて、魔物が強くなっているからね。
「言っておくけど、ダンジョンも深くなる程、魔物は強くなるぞ。それに、アレクは一階から始めなきゃいけないからなぁ」
それは、本当に厄介なんだ。神様のダンジョンの攻略本っぽいのを、毎晩、少しずつ読んでいるんだけど、ここのダンジョンには、何階かずつに転移陣があるみたい。
ただ、一度、行かなきゃ、そこに行けないんだよ。
「おっ、そろそろ終わったみたいだ……ありゃりゃ、ギルドマスターが出てきたぞ。オークジェネラルの件とダンジョンが湧いた件だな。先に、宿に行こうかな?」
こちらのギルドマスター、身体もゴツイし、強そうなオーラを纏っている。濃い茶色の髪を短く切っているけど、ちょと前世のゴリラっぽい感じ。
「でも、ルシウスをほって行っても良いのか?」
ジャスは、防衛都市の中の何軒かの宿に泊まるから、大丈夫だと笑う。
「そんなものなのか?」
防衛都市に来るのは初めてなので、ジャスに任せる。
「風呂付きの部屋なら、『金熊亭』か『青葉亭』がまだ安い方だ。どちらか、空いている方にしよう」
そう言いながらも、ギルドの可愛い受付嬢にルシウスへの伝言を頼んでいる。
女の子が好きだから、可愛い受付のお姉ちゃんに伝言を頼んでいるんじゃないと思えたら、ジャスへの株も上がるんだけどさ。
「ご苦労様だった! 後は、冒険者ギルドで精算しよう」
グレアムさんとアリシア町の町長の息子と一緒に、ぞろぞろと冒険者ギルドに向かう。
防衛都市には、人が溢れていた。道には、屋台が並び、魔物の肉を焼いている。
そして、これまで見た以上の子ども達! 交易都市にも子どもはいたけど、街中をこんなに屯ろしていなかった。
それに、何だか目つきが鋭い子も多い。
「アレク、金をすられない様にしろよ! ここでは、ぼんやりしている奴が悪いのさ」
治安が悪そう! でも、この子どもたちの親は?
「冒険者の子も多いが……まぁ、花街も大きいからな!」
ううう……それって……!
「子ども達を教会は保護しないのか?」
二人は肩を竦める。そうだ! 北の大陸でも親を亡くした子ども達の全てが教会に保護された訳じゃない。
サーシャは、あのクズ聖王が一応は雀の涙程度の寄付をして修道院に引き取られたのだ。あそこにいた他の子も、貴族の庶子とか邪魔な子だった。
サーシャだったら、この子ども達を保護したのだろうか? 愛し子としてならできるのか? いや、この南の大陸では無理だろう。それに、女神様に言わせると、聖皇はクソだそうだから、無いな。
そんな事を考えながら歩く。何回か、ぼんやりしていると思われたのか、ぶつかって財布をすられかけたが、アイテムボックスに入れているから無事だった。
ルシウスやジャスには、子ども達もぶつかったりしない。
「アレク、馬鹿にされているな!」
ジャスに笑われた。それは、見た目がゴツイ大男じゃないからだよ。
「デカい!」
交易都市の冒険者ギルドも北の大陸より大きかったけど、防衛都市のは、本当にデカかった。
まぁ、サーシャの修道院がある田舎町の冒険者ギルドがショボかったんだ。
中には、ゴツイ冒険者達がウヨウヨしていた。汗臭いし、血の匂いが染み込んだ鎧の独特な匂いだ。
「浄化!」と思わず掛けたよ。臭いのは御免なんだ。自分達も悪臭を発してただろうけど、もう大丈夫。
冒険者ギルドに着いて、中には子どもがいなくてホッとしたけど、これから代金を貰わないといけないんだ。
それは、金をより多く貰おうと張り切っているリーダーのルシウスに任せて、私とジャスは冒険者ギルドでぬるいエールを飲んでいる。
クレージーホースのメンバーは、リーダーのクレア以外は、愛しいスレイプニルの面倒を見ているみたいだし、草原の風は、リーダー以外は他のメンバーと再会を喜んでいるようだ。
「結構、高額になりそうだよなぁ」
ジャスは、その金を持って可愛いお姉ちゃんに会いに行きたいのだろう。
これが無ければ、私の能力について打ち明けられるのかもしれない。
前は、転移を使ってダンジョンを制覇するとか、ちょこっと考えていたんだ。
それと、ある程度の金を稼いだら、薬師として食べていくとかさ。
こちらの世界を舐めていた。魔物、マジ強い! 交易都市の近くの魔物ならなんとかなったかもしれないけどさ。
それと、仲間がいるのって、やはり心強い。人間は群れる動物なんだよね。
ルシウスは、金にガメついのが難点だけど、クランを作るって夢は良いと思う。
それに、私が参加するのか、いやできるのかは分からないけどね。
銀級、女神様憑きならなれると思うけど、それは御免だ。愛し子だと教会に目をつけられるのも困るから、自分の力だけで銀級にならなきゃね。
まぁ、自分の力と言ってもかなり女神様から優遇して貰っているけどさ。
「長いなぁ! 宿を取って、風呂に入りたいんだが……」
それは、私も同感だ。
「なぁ、部屋に風呂がある宿って無いのか?」
共同風呂は、ちょっと無理だからね。期待しているんだ。
ジャスが、ガハハと笑う。
「あるさ! 交易都市にもあったが、高いぞ! まぁ、防衛都市の方が宿代も安い。風呂付きの部屋は、金貨二枚はいるぞ」
高いけど、海亀亭だって金貨一枚したよね? それも半額にして貰ってだったから、実は二金貨だった。
「交易都市の物価は高いのさ。だから、冒険者達も暮らしやすい防衛都市を目指すのだが……ここは、魔物が強い」
それは、バシバシ感じるよ。防衛都市に近づくにつれて、魔物が強くなっているからね。
「言っておくけど、ダンジョンも深くなる程、魔物は強くなるぞ。それに、アレクは一階から始めなきゃいけないからなぁ」
それは、本当に厄介なんだ。神様のダンジョンの攻略本っぽいのを、毎晩、少しずつ読んでいるんだけど、ここのダンジョンには、何階かずつに転移陣があるみたい。
ただ、一度、行かなきゃ、そこに行けないんだよ。
「おっ、そろそろ終わったみたいだ……ありゃりゃ、ギルドマスターが出てきたぞ。オークジェネラルの件とダンジョンが湧いた件だな。先に、宿に行こうかな?」
こちらのギルドマスター、身体もゴツイし、強そうなオーラを纏っている。濃い茶色の髪を短く切っているけど、ちょと前世のゴリラっぽい感じ。
「でも、ルシウスをほって行っても良いのか?」
ジャスは、防衛都市の中の何軒かの宿に泊まるから、大丈夫だと笑う。
「そんなものなのか?」
防衛都市に来るのは初めてなので、ジャスに任せる。
「風呂付きの部屋なら、『金熊亭』か『青葉亭』がまだ安い方だ。どちらか、空いている方にしよう」
そう言いながらも、ギルドの可愛い受付嬢にルシウスへの伝言を頼んでいる。
女の子が好きだから、可愛い受付のお姉ちゃんに伝言を頼んでいるんじゃないと思えたら、ジャスへの株も上がるんだけどさ。
1
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる