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第一章 クズ聖王家から逃げるぞ!
武器を使ってみよう
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マジックバッグの話で盛り上がっていた店内が、一瞬、シラァとした空気になったけど、武器屋の親父が気を取り直す。
「そうか、なら裏で試してみろ! 弓と手斧、斧はあるぞ。ナタは……作れば……ああ、そういえば小僧が薪を細かくするのに使っているのがあるな!」
武器屋の親父が予算内の武器を小僧に持たせて、裏庭にゾロゾロと移動する。
交易都市の店、間口より奥に長い。これは、間口の広さで税金を取っていた時代の影響だと、女神様の知識が教えてくれた。今は、もっと細かい徴税がされているみたい。
裏庭には、武器を試す為の藁を束ねたのや、細い木材、スレートなどが置いてあった。勿論、矢やナイフ投げの的もある。
「弓の使い方は知っているか?」
知らないから、首を横に振る。武器屋の親父は、懇切丁寧に教えてくれた。
「兎に角、一発、撃ってみろ」
親父お勧めはコンパクトボウだ。ロングボウより飛距離は短いが、初心者向きだそうだ。
「あの的に当てたら良いんだな」
ジャスが後ろでクスクス笑っている。失礼な奴だ!
的を見て、矢を放つ!
「おお、当たったぞ!」
当たったけど、弓に慣れていないから、矢を放つまでモタモタする。
「魔法の方が簡単で速い。やはり遠距離攻撃より、接近戦の武器が欲しいな」
なんて言うけど、全員が弓推しだ。
「俺の武器は、小盾と剣、ジャスは大剣だ。後衛になるアレクは魔法が使えるが、魔力切れになったら困るだろう。それに、空を飛ぶ魔物は弓が良いぞ!」
ルシウス、その空飛ぶ魔物は、魔法攻撃で良いと思う。
「それと、魔法使いだと宣伝しない方が良い。引き抜き合戦になるからな」
ジャス、それが本音だね。
「でも冒険者ギルドでバレているけど?」
二人がニヤリと笑う。
「「防衛都市で黙っていれば良いさ!」」
「冒険者ギルド同士は、あまり情報の共有は無いのか?」
ううむと、二人は腕を組む。
「重罪人とかの捕獲とかを依頼する場合はあるぞ。それに冒険者証は、一応は共通だ」
ルシウスが説明してくれる。
「そう、そう! だから、ギルド長は二階級は上げなかったのさ。防衛都市のギルド長に甘いと思われるのが嫌だったのかもな!」
ジャスは、気を抜くと、私の肩を叩こうとするから睨んでおく。
「弓は練習するけど、やはり接近戦の武器が欲しい。頭の腐った奴が多いから」
あぁぁ、と二人が苦笑する。ここで『男殺しのアレク』と口にしないだけのデリカシーは、ジャスにもあるみたいだ。言ったら、暴れるぞ!
「ロングナイフはどうだ? ナタよりは格好良いぞ!」
ジャスは、女の子にモテるかどうかが重要なのかな?
武器屋の親父がロングナイフを渡してくれた。
それを振ってみるけど、ピンとこない。
「手斧を試してみるか?」
手斧を手に持つと、かなりしっくりくる。サーシャもよく使っていたからかな?
ビュッ! ビュッ! と振り回す。
「おお、やるじゃん!」
ジャスが褒めてくれたから、的に向かって投げる。
バン! と命中したよ。
「これが良さそうだな!」
武器屋の親父が頷く。ロングナイフより、向いてそう。
「でも、やはりナタが良い。あれは薪も作れるし、解体もできるから!」
ジャスが、パンと手を叩く。
「おお、そういえばミネルバちゃんが、アレクの解体は見事だったと褒めていたぞ!」
ジャスは、女の子の名前なら全員知っているのかも?
「ミネルバ? 栗毛の子か?」
「ルシウスも受付の子の名前はチェックしているのか?」
私が呆れていたら、お説教された。
「お前は、ギルドの受付の子の名前も覚えていないのか? そんなんじゃ、大成しないぞ!」
ジャスは、女好きなだけじゃん!
「いや、これはジャスが正しい。楽なのに高額な依頼とか、移動したい都市への護衛依頼とか、やはり仲が良い冒険者に先に教えてくれたりする。これは、冒険者としての心得だ!」
ルシウスもそう言うから、そうなのかも?
前世の曖昧な記憶でも、営業に行くなら、そこの女性社員に気に入られた方が上手くいく事が多いとか聞いた気がするからね。
「アレクは、見た目が女好きしそうだから、楽だぞ。名前を覚えて、呼んでやるだけで惚れられるからな! 畜生! 羨ましい!」
一人、自分の苦労を叫び続けているジャスは、放置して、小僧が日頃使っているナタを貸してもらう。
「うん、一番しっくりくる!」
ナタを振り回すと、ビュン! ビュン! と風切り音がする。身体強化も使い易い。
「よし、弓とナタだな! ナタは作ってやるよ」
ここからは、ルシウスとジャスが張り切って「矢をもっと付けろ!」「矢筒もサービスしろ!」とか値段交渉もしてくれた。
ただ、薬草採取のナイフを買い、根を掘り返す小さなスコップを注文したら、予算オーバーだ。
「薬草採取なんか、初級を卒業したのだから、しないでも良いだろう」
ジャスが却下したがるが、私は薬師を目指したい。
「俺は、回復薬を作るようになりたいんだ」
全員に驚かれた! えっ、変なの? サーシャの修道院でも作っていたし、田舎町にも薬師がいるから、余った薬草はギルドに売っていたよ。
「薬師かぁ! あれは儲かるぞ! でも、薬師なら薬草採取をギルドに依頼したら良いのでは?」
依頼したら、お金がいるじゃん! それに、私にはアイテムボックスがあるから、新鮮な薬草が手に入る。
「アレクは作れるのか?」
ルシウスは心配そうだ。
「多分ね! 作る手伝いは子どもの頃からしていたから」
修道女見習いのサーシャは作った事がない。修道院で作っていたのは、下級回復薬だけだけど、これが収入源とも言えたからね。
選ばれた修道士と修道女が作っていた。下処理は、していたけど、肝心な所は秘匿されていた。でも、女神様の知識でわかったから作れるんじゃないかな?
レッドウルフの武器の金では足りなくなったから、手持ちの金を出す。こりゃ、しっかり働かないと、ブーツを買えないよ。
「そうか、なら裏で試してみろ! 弓と手斧、斧はあるぞ。ナタは……作れば……ああ、そういえば小僧が薪を細かくするのに使っているのがあるな!」
武器屋の親父が予算内の武器を小僧に持たせて、裏庭にゾロゾロと移動する。
交易都市の店、間口より奥に長い。これは、間口の広さで税金を取っていた時代の影響だと、女神様の知識が教えてくれた。今は、もっと細かい徴税がされているみたい。
裏庭には、武器を試す為の藁を束ねたのや、細い木材、スレートなどが置いてあった。勿論、矢やナイフ投げの的もある。
「弓の使い方は知っているか?」
知らないから、首を横に振る。武器屋の親父は、懇切丁寧に教えてくれた。
「兎に角、一発、撃ってみろ」
親父お勧めはコンパクトボウだ。ロングボウより飛距離は短いが、初心者向きだそうだ。
「あの的に当てたら良いんだな」
ジャスが後ろでクスクス笑っている。失礼な奴だ!
的を見て、矢を放つ!
「おお、当たったぞ!」
当たったけど、弓に慣れていないから、矢を放つまでモタモタする。
「魔法の方が簡単で速い。やはり遠距離攻撃より、接近戦の武器が欲しいな」
なんて言うけど、全員が弓推しだ。
「俺の武器は、小盾と剣、ジャスは大剣だ。後衛になるアレクは魔法が使えるが、魔力切れになったら困るだろう。それに、空を飛ぶ魔物は弓が良いぞ!」
ルシウス、その空飛ぶ魔物は、魔法攻撃で良いと思う。
「それと、魔法使いだと宣伝しない方が良い。引き抜き合戦になるからな」
ジャス、それが本音だね。
「でも冒険者ギルドでバレているけど?」
二人がニヤリと笑う。
「「防衛都市で黙っていれば良いさ!」」
「冒険者ギルド同士は、あまり情報の共有は無いのか?」
ううむと、二人は腕を組む。
「重罪人とかの捕獲とかを依頼する場合はあるぞ。それに冒険者証は、一応は共通だ」
ルシウスが説明してくれる。
「そう、そう! だから、ギルド長は二階級は上げなかったのさ。防衛都市のギルド長に甘いと思われるのが嫌だったのかもな!」
ジャスは、気を抜くと、私の肩を叩こうとするから睨んでおく。
「弓は練習するけど、やはり接近戦の武器が欲しい。頭の腐った奴が多いから」
あぁぁ、と二人が苦笑する。ここで『男殺しのアレク』と口にしないだけのデリカシーは、ジャスにもあるみたいだ。言ったら、暴れるぞ!
「ロングナイフはどうだ? ナタよりは格好良いぞ!」
ジャスは、女の子にモテるかどうかが重要なのかな?
武器屋の親父がロングナイフを渡してくれた。
それを振ってみるけど、ピンとこない。
「手斧を試してみるか?」
手斧を手に持つと、かなりしっくりくる。サーシャもよく使っていたからかな?
ビュッ! ビュッ! と振り回す。
「おお、やるじゃん!」
ジャスが褒めてくれたから、的に向かって投げる。
バン! と命中したよ。
「これが良さそうだな!」
武器屋の親父が頷く。ロングナイフより、向いてそう。
「でも、やはりナタが良い。あれは薪も作れるし、解体もできるから!」
ジャスが、パンと手を叩く。
「おお、そういえばミネルバちゃんが、アレクの解体は見事だったと褒めていたぞ!」
ジャスは、女の子の名前なら全員知っているのかも?
「ミネルバ? 栗毛の子か?」
「ルシウスも受付の子の名前はチェックしているのか?」
私が呆れていたら、お説教された。
「お前は、ギルドの受付の子の名前も覚えていないのか? そんなんじゃ、大成しないぞ!」
ジャスは、女好きなだけじゃん!
「いや、これはジャスが正しい。楽なのに高額な依頼とか、移動したい都市への護衛依頼とか、やはり仲が良い冒険者に先に教えてくれたりする。これは、冒険者としての心得だ!」
ルシウスもそう言うから、そうなのかも?
前世の曖昧な記憶でも、営業に行くなら、そこの女性社員に気に入られた方が上手くいく事が多いとか聞いた気がするからね。
「アレクは、見た目が女好きしそうだから、楽だぞ。名前を覚えて、呼んでやるだけで惚れられるからな! 畜生! 羨ましい!」
一人、自分の苦労を叫び続けているジャスは、放置して、小僧が日頃使っているナタを貸してもらう。
「うん、一番しっくりくる!」
ナタを振り回すと、ビュン! ビュン! と風切り音がする。身体強化も使い易い。
「よし、弓とナタだな! ナタは作ってやるよ」
ここからは、ルシウスとジャスが張り切って「矢をもっと付けろ!」「矢筒もサービスしろ!」とか値段交渉もしてくれた。
ただ、薬草採取のナイフを買い、根を掘り返す小さなスコップを注文したら、予算オーバーだ。
「薬草採取なんか、初級を卒業したのだから、しないでも良いだろう」
ジャスが却下したがるが、私は薬師を目指したい。
「俺は、回復薬を作るようになりたいんだ」
全員に驚かれた! えっ、変なの? サーシャの修道院でも作っていたし、田舎町にも薬師がいるから、余った薬草はギルドに売っていたよ。
「薬師かぁ! あれは儲かるぞ! でも、薬師なら薬草採取をギルドに依頼したら良いのでは?」
依頼したら、お金がいるじゃん! それに、私にはアイテムボックスがあるから、新鮮な薬草が手に入る。
「アレクは作れるのか?」
ルシウスは心配そうだ。
「多分ね! 作る手伝いは子どもの頃からしていたから」
修道女見習いのサーシャは作った事がない。修道院で作っていたのは、下級回復薬だけだけど、これが収入源とも言えたからね。
選ばれた修道士と修道女が作っていた。下処理は、していたけど、肝心な所は秘匿されていた。でも、女神様の知識でわかったから作れるんじゃないかな?
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