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第一章 クズ聖王家から逃げるぞ!
交易都市で買い物をしよう
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冒険者ギルドで、ビッグボアの買取り値段が思いがけず高かった。嬉しい!
それと、魔石! サーシャ、これまで修道院長に真面目に渡していたけど、一つ三銀貨になった。
アイテムボックスにあと二個あるんだよね!
「こんなに綺麗に解体する技術を持った冒険者なんて、なかなかいないと解体部が感心していましたわ。これからの期待を込めて五銀貨支払います。魔石は三銀貨。下級薬草は五銅貨です。それと、これは銅級の冒険者証です」
お金と冒険者証、そしてレッドウルフ達の武器が入った背負い籠を受け取る。
荷車は、門に返してくれたし、ここからは買い物タイムだ。
ルシウス達と護衛任務について防衛都市に行っても良いが、こちらは追っ手持ち! 奴隷の代金を受け取ったら、さっさと交易都市からおさらばしたい。
そのお金で、馬車代は賄えるだろうからね。
それにしても、私の装備、すごく貧しい。服は、城の兵士のだし、靴は修道女見習いのサンダルだ。だって、お姫様の嫁入り靴を履くわけにはいかないからね。
兵士のブーツ、手に入れたかったなぁ! なんて愚痴っても仕方ないから、背負い籠の中の武器を調べる。
「おぃ! 飯を食おうぜ!」
ジャスは、やっと肩を叩いたり、頭を叩こうとするのをやめた。
「今日は酷い目に遭ったから、奢ってやるぞ」
ルシウス、昨日は冒険者になった日だからと奢ってくれた。
「いや、今日は収入があったから、奢ってもらわなくても良い。それより、相談に乗って欲しい」
取り敢えずエールを一気飲みして、喉の渇きを癒す。仕事終わりのエール、生ぬるいけど癖になりそう。
人心地ついたので、二人に背負い籠の中の武器を見せて、どれを自分で使い、どれを売るべきか尋ねる。
「アレクは魔法使いだろう? 武器より杖じゃないのか?」
この二人、魔法使いには詳しくなさそう。私もだけどさ。
「そうだ! 杖を持っているのを見た気がする」
ジャス、本当かな? それにしても南の大陸では、魔法使いも少ないのかな? 修道院では、弱い魔法なら、使える人が何人かいたけど。
「これからは神聖魔法は極力使わないようにすると決めた。身体強化ができるから、ナタか手斧が欲しい」
サーシャは、ナタを使ってビッグベアを倒していた。
「ナタ? 農民じゃあるまいし! 冒険者なら、せめて斧にしろ!」
ジャスがぶつぶつ文句を言う。
「アレクは、これまではナタを使っていたのか?」
ルシウスも怪訝そうだ。
「そんなにナタは駄目なのか? ビッグベアもナタで倒したのだが? まぁ、薪を取りに森に行って遭遇したのだけどさ」
二人が、ボソボソ話している。地獄耳だから、丸聞こえだよ。
「あの顔でナタはないだろう! ビッグベアを倒すのか?」
これはジャスの意見だ。
「だが、斧も似合わないぞ!」
ルシウスも酷い!
「魔法使いの武器なら、弓とかもあるぞ。後衛だから、遠距離攻撃が良いんじゃないか?」
ルシウスの提案は、一理ある。防衛都市に行ったら、もっと凶暴な魔物もいるかもしれない。サーシャは細身だから、後衛タイプだよね?
「弓ねぇ……使った事がないんだよなぁ。それに、矢が勿体無い気がするんだ」
剣とか槍とか斧だって、ある程度の戦闘をしたら手入れをしなくてはいけない。
それに、折れたり、欠けたりしたら、買い替えなくてはいけないのも、何となく知っている。
でも、弓は矢がないと駄目なんだよね。私は、アイテムボックスがあるから、矢をいっぱい入れておけるけど、怪しまれそう。
「そんなケチなことを言っていると、女にモテないぞ! 交易都市の色街は、金持ちの商人が幅をきかせている。でも、防衛都市では、冒険者がモテるんだ!」
ジャス、この話題になると熱弁を振るうけど、全く興味がないし、不愉快だ! それに、モテているのではなく、冒険者の金が目当てだと思うよ。
「ジャス、色ボケの話はやめろ! 兎に角、武器を見てみよう」
ルシウスが背負い籠の中の武器を一目見て、顔を顰めた。
「酷い物ばかりだ! 一応は銅級なのだろう? 安いのは仕方ないが、手入れもされていない。アレク、全部売ってしまえ!」
そうか、やはりね! 何となく見た目も汚いし、手入れ不足だと感じていたよ。
「売る前に綺麗にしたら、買取り価格もマシになるかな?」
ルシウスが「勿論!」と頷くから、背負い籠の中の武器に「浄化」と掛けておく。ピカピカになったよ。
「さっき、神聖魔法は使わないと言っていたんじゃないのか?」
ジャス、覚えていたんだ。色街好きは、嫌いだけど、見た目より賢いな。
「この程度の魔法なら大丈夫な気がする。大きな神聖魔法は、髪の毛が伸びる呪いが発動しそうだから、できるだけ使わないようにするのさ」
命が掛かっている場合は、髪の毛が伸びようが使うよ! 髪は切れば良いだけだからね。
「それに、今はもう伸びているしな! その布、売りに行く前に取った方が良いぞ。不審者に思われるからな」
ルシウスに言われて、渋々、ターバンを取る。銀色の長髪がサラサラと落ちる。
「おおお!」とギルドが騒めいたけど「男殺しのアレクだぞ!」と誰かが声をあげたら、シーンと静まった。この二つ名、絶対に定着して欲しくない。
「ほら、冒険者証の紐と、髪の毛を括る紐だ! どうせ、お前のことだからポケットに入れているのだろう」
ジャス、もしかして、本当にモテるのかも? 細かい所に気が回るタイプに見えなかったよ。
「ありがとう! 早速、使わせて貰うよ」
冒険者証の穴に細い方の皮紐を通し、括って輪にして首から下げて、服の中にしまう。少し太い革紐で髪の毛を、ざっと後ろで括っておく。
「うおぉぉ!」さっきより小さいけど、ギルドが騒めく。何故だ? またも誰かが「男殺しのアレクだぞ! 騙されるな!」と声を上げる。
「誰が男殺しだ!」と怒ろうとしたが、ルシウスが「買い物に行こう!」と席を立つ。
私は、好戦的な人間じゃないし、前世では人を殴った事もないと思う。だから、喧嘩を避けて、買い物だよ。
「アレクは喧嘩っ早いな」
えっ、ジャス! 少しは気が効くと見直し掛けたのに! やはり、残念な大男だよ。
「俺たちがよく行く店に行こう。あそこなら、まともな武器がある」
交易都市の事は、冒険者ギルド、海亀亭しか知らないから、ついて行く。
ふと、魚を行商している男とすれ違った。
「あああ、魚だぁ!」
私は、馬鹿だ! エンボス島でも干し魚を売っていたけど、あの時は早く逃げなきゃと必死だった。
「何を叫んでいるんだ?」
ジャスにまで不思議がられたよ。サーシャの住んでいた町もお城も内陸だったんだ。
海亀スープを飲んだのに、本当に馬鹿じゃない!
「防衛都市は海沿いには無いよな!」
女神様から貰った知識では、内陸だった。
「ああ、それが? 武器屋に行こうぜ!」
魚は、武器、馬車代、装備を買ってからにしよう。
「なぁ、今夜は魚が食べたい!」
これだけは言わせて貰おう!
それと、魔石! サーシャ、これまで修道院長に真面目に渡していたけど、一つ三銀貨になった。
アイテムボックスにあと二個あるんだよね!
「こんなに綺麗に解体する技術を持った冒険者なんて、なかなかいないと解体部が感心していましたわ。これからの期待を込めて五銀貨支払います。魔石は三銀貨。下級薬草は五銅貨です。それと、これは銅級の冒険者証です」
お金と冒険者証、そしてレッドウルフ達の武器が入った背負い籠を受け取る。
荷車は、門に返してくれたし、ここからは買い物タイムだ。
ルシウス達と護衛任務について防衛都市に行っても良いが、こちらは追っ手持ち! 奴隷の代金を受け取ったら、さっさと交易都市からおさらばしたい。
そのお金で、馬車代は賄えるだろうからね。
それにしても、私の装備、すごく貧しい。服は、城の兵士のだし、靴は修道女見習いのサンダルだ。だって、お姫様の嫁入り靴を履くわけにはいかないからね。
兵士のブーツ、手に入れたかったなぁ! なんて愚痴っても仕方ないから、背負い籠の中の武器を調べる。
「おぃ! 飯を食おうぜ!」
ジャスは、やっと肩を叩いたり、頭を叩こうとするのをやめた。
「今日は酷い目に遭ったから、奢ってやるぞ」
ルシウス、昨日は冒険者になった日だからと奢ってくれた。
「いや、今日は収入があったから、奢ってもらわなくても良い。それより、相談に乗って欲しい」
取り敢えずエールを一気飲みして、喉の渇きを癒す。仕事終わりのエール、生ぬるいけど癖になりそう。
人心地ついたので、二人に背負い籠の中の武器を見せて、どれを自分で使い、どれを売るべきか尋ねる。
「アレクは魔法使いだろう? 武器より杖じゃないのか?」
この二人、魔法使いには詳しくなさそう。私もだけどさ。
「そうだ! 杖を持っているのを見た気がする」
ジャス、本当かな? それにしても南の大陸では、魔法使いも少ないのかな? 修道院では、弱い魔法なら、使える人が何人かいたけど。
「これからは神聖魔法は極力使わないようにすると決めた。身体強化ができるから、ナタか手斧が欲しい」
サーシャは、ナタを使ってビッグベアを倒していた。
「ナタ? 農民じゃあるまいし! 冒険者なら、せめて斧にしろ!」
ジャスがぶつぶつ文句を言う。
「アレクは、これまではナタを使っていたのか?」
ルシウスも怪訝そうだ。
「そんなにナタは駄目なのか? ビッグベアもナタで倒したのだが? まぁ、薪を取りに森に行って遭遇したのだけどさ」
二人が、ボソボソ話している。地獄耳だから、丸聞こえだよ。
「あの顔でナタはないだろう! ビッグベアを倒すのか?」
これはジャスの意見だ。
「だが、斧も似合わないぞ!」
ルシウスも酷い!
「魔法使いの武器なら、弓とかもあるぞ。後衛だから、遠距離攻撃が良いんじゃないか?」
ルシウスの提案は、一理ある。防衛都市に行ったら、もっと凶暴な魔物もいるかもしれない。サーシャは細身だから、後衛タイプだよね?
「弓ねぇ……使った事がないんだよなぁ。それに、矢が勿体無い気がするんだ」
剣とか槍とか斧だって、ある程度の戦闘をしたら手入れをしなくてはいけない。
それに、折れたり、欠けたりしたら、買い替えなくてはいけないのも、何となく知っている。
でも、弓は矢がないと駄目なんだよね。私は、アイテムボックスがあるから、矢をいっぱい入れておけるけど、怪しまれそう。
「そんなケチなことを言っていると、女にモテないぞ! 交易都市の色街は、金持ちの商人が幅をきかせている。でも、防衛都市では、冒険者がモテるんだ!」
ジャス、この話題になると熱弁を振るうけど、全く興味がないし、不愉快だ! それに、モテているのではなく、冒険者の金が目当てだと思うよ。
「ジャス、色ボケの話はやめろ! 兎に角、武器を見てみよう」
ルシウスが背負い籠の中の武器を一目見て、顔を顰めた。
「酷い物ばかりだ! 一応は銅級なのだろう? 安いのは仕方ないが、手入れもされていない。アレク、全部売ってしまえ!」
そうか、やはりね! 何となく見た目も汚いし、手入れ不足だと感じていたよ。
「売る前に綺麗にしたら、買取り価格もマシになるかな?」
ルシウスが「勿論!」と頷くから、背負い籠の中の武器に「浄化」と掛けておく。ピカピカになったよ。
「さっき、神聖魔法は使わないと言っていたんじゃないのか?」
ジャス、覚えていたんだ。色街好きは、嫌いだけど、見た目より賢いな。
「この程度の魔法なら大丈夫な気がする。大きな神聖魔法は、髪の毛が伸びる呪いが発動しそうだから、できるだけ使わないようにするのさ」
命が掛かっている場合は、髪の毛が伸びようが使うよ! 髪は切れば良いだけだからね。
「それに、今はもう伸びているしな! その布、売りに行く前に取った方が良いぞ。不審者に思われるからな」
ルシウスに言われて、渋々、ターバンを取る。銀色の長髪がサラサラと落ちる。
「おおお!」とギルドが騒めいたけど「男殺しのアレクだぞ!」と誰かが声をあげたら、シーンと静まった。この二つ名、絶対に定着して欲しくない。
「ほら、冒険者証の紐と、髪の毛を括る紐だ! どうせ、お前のことだからポケットに入れているのだろう」
ジャス、もしかして、本当にモテるのかも? 細かい所に気が回るタイプに見えなかったよ。
「ありがとう! 早速、使わせて貰うよ」
冒険者証の穴に細い方の皮紐を通し、括って輪にして首から下げて、服の中にしまう。少し太い革紐で髪の毛を、ざっと後ろで括っておく。
「うおぉぉ!」さっきより小さいけど、ギルドが騒めく。何故だ? またも誰かが「男殺しのアレクだぞ! 騙されるな!」と声を上げる。
「誰が男殺しだ!」と怒ろうとしたが、ルシウスが「買い物に行こう!」と席を立つ。
私は、好戦的な人間じゃないし、前世では人を殴った事もないと思う。だから、喧嘩を避けて、買い物だよ。
「アレクは喧嘩っ早いな」
えっ、ジャス! 少しは気が効くと見直し掛けたのに! やはり、残念な大男だよ。
「俺たちがよく行く店に行こう。あそこなら、まともな武器がある」
交易都市の事は、冒険者ギルド、海亀亭しか知らないから、ついて行く。
ふと、魚を行商している男とすれ違った。
「あああ、魚だぁ!」
私は、馬鹿だ! エンボス島でも干し魚を売っていたけど、あの時は早く逃げなきゃと必死だった。
「何を叫んでいるんだ?」
ジャスにまで不思議がられたよ。サーシャの住んでいた町もお城も内陸だったんだ。
海亀スープを飲んだのに、本当に馬鹿じゃない!
「防衛都市は海沿いには無いよな!」
女神様から貰った知識では、内陸だった。
「ああ、それが? 武器屋に行こうぜ!」
魚は、武器、馬車代、装備を買ってからにしよう。
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