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第一章 クズ聖王家から逃げるぞ!
加護交渉
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好色王の治める隣国まで、馬車で二週間以上掛かると思うんだ。サーシャが住んでいた田舎の修道院から、王都まで十日掛かった。それより遠いと思う。
サーシャも詳しくないんだよねぇ。台所仕事や子どもの世話、畑仕事に森に薪を拾いに行き、ついでに薬草採取、襲われた魔物を撃退してお肉ゲットとか? あれ? 意外とワイルドだね?
「女神様、何処の国が女の子でも生きやすいでしょうか?」
サーシャが住んでいるクレメンス聖王国は、王族がクズだから問題外! 勿論、色欲な王様がいる隣国もパス!
サーシャは、読み書き計算はできるけど、外国の知識はあまり持っていない。修道院には、書物もあったけど、読む暇がなかったんだよ。
『聖皇国は避けた方が良いわ。聖皇なんてよくも言えたものだと、向っ腹が立つクソだから』
この女神様、口が悪いなぁ。人の事は言えないけどさ。クズよりクソの方が悪い感じだよね。つまり、クレメンス聖王国より酷いってことだね。避けよう!
『何か?』とジロリと睨まれる。まぁ、うちのクズ王族達と同類なら絶対に近寄らないよ。
『サーシャは勉強する機会に恵まれなかったのよね。貴女は、彼方の世界では勉強する機会には恵まれていたようだわ。それなら、この情報も上手く使えるでしょう』
えっ? と驚く私の額に女神様の指が押し付けられる。強烈な痛み! 痛い! 額に穴があいたんだじゃないの! 死んじゃうよ!
「ぎゃええええええ……」
凄まじい情報が私の脳味噌に直接流れてくる。
目眩で倒れ、酷い頭痛で、真っ白な空間の床を転がりまくる。
『まぁ、低性能な脳ね。これでは駄目だわ……ええっと、必要になれば取り出せるようにしないと狂ってしまう』
頭痛は治ったけど、この女神様、サーシャの件といい、酷いんじゃないかな?
『まぁ、本当に無礼な子ね! でも、これしか手駒はないから仕方ないわ。貴女の頭脳では、処理できないので、必要に応じて知識を手に入れられるようにしてあげたわ。人間の世界では鑑定とも言われている能力よ』
鑑定! それは嬉しいかも! サーシャの中で眠っていたから、こちらの世界のことは曖昧なんだ。
サーシャが採っていた薬草も私はよく知らないからね。
「あのぅ、この国から逃げる必要があるので、転移魔法とかお授け願えませんでしょうか?」
下手に出て、加護を願う。ラノベで異世界転生の基本加護は、鑑定、転移、アイテムボックスだったからね。あれ? ラノベってなんだったけな? 記憶が曖昧だ。
『転移魔法は、サーシャならいずれ覚えたはずなのよね。それにアイテムボックスも持っている加護なのよ。少しは自分で努力して、成長するのも必要だと思うの』
えっ! サーシャって凄く優れた女の子だったんだね。
『勿論よ! サーシャは、私の愛し子ですもの。身体強化もできるし、神聖魔法も空間魔法も使える加護を与えたわ。それに、毒耐性も与えてあるから……精神耐性も与えるべきだったのかしら』
いや、義兄達に犯されそうになっても平気とか嫌だから!
あれっ? 身体強化もできるんだよね?
あの傲慢なクズ王子なんか、魔物もやっつけていたサーシャならぶん殴ってやれば良かったのでは?
テラスから凍った湖に落ちなくても……過酷すぎるサーシャの短い人生が、生きる意思を砕いたのだ。
「アイテムボックス? サーシャが使っていたのを知りませんけど?」
そんな便利な加護があるなら、あの熊を倒した時も、全部持って帰られたんじゃないかな? 籠からはみ出るほど突っ込んで、背負って帰ったけど、ほとんどは持ち帰れなかった。
『あら? 今も使っているわ……無意識に使用していただけだし、容量も小さいわね』
女神様にアイテムボックスの使い方を教えて貰う。
「えっ! これだけ?」
中身を取り出したら、王都に召集された時にサーシャが着ていたボロボロの修道女見習いの服と小さなロケットが付いた金鎖だけだった。
『まぁ、その金鎖は、サーシャの母親の物だわ。私の加護を付けていたのに、サーシャに渡していたのね』
一応は、聖女を産む母親にも少しは加護を与えていたみたいだけど……結局はクズ王妃に殺されてしまった。あっ、女神様的には、サーシャを産んだから、もう必要ないのか?
私も、子どもを産めば必要なくなるんじゃない? ジロリと女神様を睨む。
『本当に失礼な子ね! でも、生き延びて子どもを産んで欲しいから、許します。それに、この金鎖にも加護を付与しなおしますから、少々の事では死んだりしません』
はぁぁ、子どもを産むのは逃れられないのかな? 言っておくけど、私の理想は高いからね!
『サーシャは、あまりにも純粋過ぎて、欲もなかったから、アイテムボックスにも気がつかなかったのかしら? でも、母親の金鎖と見習い修道女の服だけ入れるだなんて、おかしいわね?』
ぼんやりと、王宮にサーシャがついて、そのボロボロな衣装を嘲られ、綺麗なドレスに着替えさせられる場面が頭に浮かんだ。
意地悪な侍女に捨てられそうになったから、隠そうとしたのだ。その時、初めてアイテムボックスの存在に気づいたんだと思う。気の毒すぎるよ!
サーシャも詳しくないんだよねぇ。台所仕事や子どもの世話、畑仕事に森に薪を拾いに行き、ついでに薬草採取、襲われた魔物を撃退してお肉ゲットとか? あれ? 意外とワイルドだね?
「女神様、何処の国が女の子でも生きやすいでしょうか?」
サーシャが住んでいるクレメンス聖王国は、王族がクズだから問題外! 勿論、色欲な王様がいる隣国もパス!
サーシャは、読み書き計算はできるけど、外国の知識はあまり持っていない。修道院には、書物もあったけど、読む暇がなかったんだよ。
『聖皇国は避けた方が良いわ。聖皇なんてよくも言えたものだと、向っ腹が立つクソだから』
この女神様、口が悪いなぁ。人の事は言えないけどさ。クズよりクソの方が悪い感じだよね。つまり、クレメンス聖王国より酷いってことだね。避けよう!
『何か?』とジロリと睨まれる。まぁ、うちのクズ王族達と同類なら絶対に近寄らないよ。
『サーシャは勉強する機会に恵まれなかったのよね。貴女は、彼方の世界では勉強する機会には恵まれていたようだわ。それなら、この情報も上手く使えるでしょう』
えっ? と驚く私の額に女神様の指が押し付けられる。強烈な痛み! 痛い! 額に穴があいたんだじゃないの! 死んじゃうよ!
「ぎゃええええええ……」
凄まじい情報が私の脳味噌に直接流れてくる。
目眩で倒れ、酷い頭痛で、真っ白な空間の床を転がりまくる。
『まぁ、低性能な脳ね。これでは駄目だわ……ええっと、必要になれば取り出せるようにしないと狂ってしまう』
頭痛は治ったけど、この女神様、サーシャの件といい、酷いんじゃないかな?
『まぁ、本当に無礼な子ね! でも、これしか手駒はないから仕方ないわ。貴女の頭脳では、処理できないので、必要に応じて知識を手に入れられるようにしてあげたわ。人間の世界では鑑定とも言われている能力よ』
鑑定! それは嬉しいかも! サーシャの中で眠っていたから、こちらの世界のことは曖昧なんだ。
サーシャが採っていた薬草も私はよく知らないからね。
「あのぅ、この国から逃げる必要があるので、転移魔法とかお授け願えませんでしょうか?」
下手に出て、加護を願う。ラノベで異世界転生の基本加護は、鑑定、転移、アイテムボックスだったからね。あれ? ラノベってなんだったけな? 記憶が曖昧だ。
『転移魔法は、サーシャならいずれ覚えたはずなのよね。それにアイテムボックスも持っている加護なのよ。少しは自分で努力して、成長するのも必要だと思うの』
えっ! サーシャって凄く優れた女の子だったんだね。
『勿論よ! サーシャは、私の愛し子ですもの。身体強化もできるし、神聖魔法も空間魔法も使える加護を与えたわ。それに、毒耐性も与えてあるから……精神耐性も与えるべきだったのかしら』
いや、義兄達に犯されそうになっても平気とか嫌だから!
あれっ? 身体強化もできるんだよね?
あの傲慢なクズ王子なんか、魔物もやっつけていたサーシャならぶん殴ってやれば良かったのでは?
テラスから凍った湖に落ちなくても……過酷すぎるサーシャの短い人生が、生きる意思を砕いたのだ。
「アイテムボックス? サーシャが使っていたのを知りませんけど?」
そんな便利な加護があるなら、あの熊を倒した時も、全部持って帰られたんじゃないかな? 籠からはみ出るほど突っ込んで、背負って帰ったけど、ほとんどは持ち帰れなかった。
『あら? 今も使っているわ……無意識に使用していただけだし、容量も小さいわね』
女神様にアイテムボックスの使い方を教えて貰う。
「えっ! これだけ?」
中身を取り出したら、王都に召集された時にサーシャが着ていたボロボロの修道女見習いの服と小さなロケットが付いた金鎖だけだった。
『まぁ、その金鎖は、サーシャの母親の物だわ。私の加護を付けていたのに、サーシャに渡していたのね』
一応は、聖女を産む母親にも少しは加護を与えていたみたいだけど……結局はクズ王妃に殺されてしまった。あっ、女神様的には、サーシャを産んだから、もう必要ないのか?
私も、子どもを産めば必要なくなるんじゃない? ジロリと女神様を睨む。
『本当に失礼な子ね! でも、生き延びて子どもを産んで欲しいから、許します。それに、この金鎖にも加護を付与しなおしますから、少々の事では死んだりしません』
はぁぁ、子どもを産むのは逃れられないのかな? 言っておくけど、私の理想は高いからね!
『サーシャは、あまりにも純粋過ぎて、欲もなかったから、アイテムボックスにも気がつかなかったのかしら? でも、母親の金鎖と見習い修道女の服だけ入れるだなんて、おかしいわね?』
ぼんやりと、王宮にサーシャがついて、そのボロボロな衣装を嘲られ、綺麗なドレスに着替えさせられる場面が頭に浮かんだ。
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