99 / 368
第四章 外交デビュー
14 アレクセイ皇太子殿下
しおりを挟む
ヌートン大使とショウはローラン王国のアレクセイ皇太子が、わざわざ大使館へと話し合いに来るのは評判の悪いダカット金貨についてだと考えて、念入りに打ち合わせをして臨む。
確かにアレクセイ皇太子の話の要件はダカット金貨だった。
同じ皇太子と王太子と言いながらも、二十七歳のアレクセイ皇太子と十四歳のショウでは経験の差が歴然としていたが、此方には古狐のヌートン大使が付いている。
ショウは、何故、アレクセイが駐イルバニア王国大使を同伴しなかったのか疑問を持った。
ヌートン大使にダカット金貨の粗悪な事を攻め立てられているアレクセイを、ショウは不審に感じる。アレクセイは自分よりは経験を積んでいるだろうが、東南諸島連合王国の大使館には生え抜きの外交官のヌートン大使が待ち構えているぐらいは承知しているだろうに、何故だろう。
ローラン王国の大使なら良い勝負になっただろうにと、一方的な話し合いになったのを傍観していたショウは、アレクセイは自国の大使すら信頼していないのだと気づいた。
ショウは、交渉はヌートン大使に任せていたので、あれこれ考えてしまう。ゲオルク前王の遺臣の整理が出来ていないのか? それとも、カザリア王国で育った皇太子に反発する勢力なのか? もしかしたら、敵国のイルバニア王国の王女と結婚したのも、反発材料になっているのかもしれないなど、後でヌートン大使に質問しようと、話し合いの終わるのを待っていたショウは、思いがけない展開に唖然とする。
「やはりダカット金貨は百ダカットを百クローネとは認めて貰えませんね。ここ数年のダカット金貨はクローネ金貨と同じ金の含有量なのですがね……」
「この数年のはそうでしょうが、出回っている粗悪なダカット金貨を回収して、やり直さない限り無理ですね」
アレクセイとの話し合いに引導を渡したヌートン大使は、やれやれとお茶でも如何ですかと尋ねた。
「やはりそういう結論になりますね。私もダカット金貨は、国際通貨として役に立たないと考えています。前のクローネ金貨にやり直したいと思っているのです」
侍女にお茶のサービスをさせようとしていたヌートン大使は、わざわざアレクセイ皇太子が大使館を訪ねて来たのは、この件だったのだと座り直した。
「それには莫大なコストが掛かりますよ。まさか国内の百ダカット金貨を五十クローネ銀貨と両替はできないでしょう」
冬には餓死者が出かねない貧困しきっているローラン王国に、そんな資金がある訳がないと大使とショウは困惑する。
「しかし、このままではローラン王国は交易が出来なくなってしまいます。その莫大な資金を東南諸島連合王国に貸して頂きたいと、申し込みに来たのです」
「なんで、我が国がローラン王国のダカット金貨のクローネ金貨への改鋳の資金を、貸さなくてはいけないのですか? 奥方の実家であるイルバニア王国に頼むならいざ知らず」
ヌートン大使に一笑にふされて、アレクセイは思いがけない提案をした。
「我が国とイルバニア王国の歴史をご存知でしょう。アリエナの実家から資金を借りるなど言ったら、家臣達は拒否反応を起こしてダカット金貨の改鋳の話し合いどころでなくなります。それにローラン王国としても、東南諸島連合王国に一方的に援助を申し込むのでは無く、借りるのだから利子をお払いします。それと私の妹のミーシャをショウ王子と婚姻して頂ければ、両国の友好関係の発展に役立つと思っています」
ショウは内心で、絶対的にいらない! と叫んでいたが、フラナガン宰相から外交の場で軽率な言動をしてはいけないと叩き込まれていたので、曖昧な反応しか示さなかった。ヌートン大使は動揺を上手く隠したショウ王子に合格点を付けて、アレクセイを攻めることにした。
「大変に失礼ですが、アレクセイ皇太子殿下には妹君がいらしたとは初耳ですが……」
カザリア王国のコンスタンス姫を皇太子妃にしていたルドルフ皇太子だったが、父王ルドルフに離婚させられて以来は独身だった筈だと、ヌートン大使は庶子の存在を知りながら意地の悪い指摘をする。
「ヌートン大使もご存知でしょう。父王は私達の母と離婚してから、二十数年も独身なのですよ。ミーシャは側室が産んだ庶子ですが、王が認知した私の妹です。本来なら側室を王妃に据えてミーシャを正式な王女にしても良いのですが、生憎亡くなっています。東南諸島連合王国は一夫多妻制なので、庶子でも平等に扱われると聞いてますが」
資金を借金しに来たのに、妹を押し付けるのかとショウはウンザリした。それに、これ以上、許嫁を増やしたくない!
「アレクセイ皇太子殿下、我が国は一夫多妻制ですので、妹君には慣れない後宮暮らしは無理だと思います。ダカット金貨の改鋳の資金ですが、ローラン王国は国債を発行される考えはありませんか? 国債なら我が国も買いやすいですし、イルバニア王国にも買って貰えるのではないですか?」
大人しくヌートン大使に話し合いを任せていたショウの発言に、アレクセイは驚いて国債の説明を求める。
「国債は名前の通り、国の借金です。今回はダカット金貨の改鋳の特別国債になりますね。一時的に税金では賄いきれない公共事業をする時に、国債を発行して資金を集め、毎年利子を国債の購入者に支払います。但し、あくまでも借金ですから、いつかは返さないといけませんけどね」
元々、借金に来たアレクセイは、返さないといけないのは承知している。
「国債かぁ……少し考えてみます。ショウ王子、ミーシャは暖かい国に嫁ぐのを楽しみしています。一度、ケイロンに訪ねてきて下さい」
にこやかなアレクセイに、諦めるつもりがないなと溜め息をつくショウだった。
今度こそ話し合いは終わったので、お茶を飲みながら雑談を始めたアレクセイとショウは、無難だし共通の話題のパロマ大学について話した。
「私は実質は半年しかパロマ大学に通っていませんから、アレクセイ皇太子殿下にお尋ねしたいと思っていたのです。パロマ大学は、女学生は聴講生だけなのでしょうか?」
メリッサが第一夫人を目指しているのなら、聴講生では無く、正式な留学生の方が良いのではと考えたのだ。
「私が知っている女学生は、聴講生が多かったですね。でも、男性しか学生になれないという規定は無い筈ですよ。大学生になると婚期が遅れるのを親が心配して、聴講生にさせるのでしょう」
十五歳で結婚するメリッサには一年しか独身時代が無いわけだが、ショウは結婚を遅くしても良いと思っていたし、結婚後も大学に通っても良いと考えていた。
「親を説得するのが大変なんですね~」
あのメルトを説得するのかぁと、ショウは溜め息をつく。
「どなたか身内のご婦人が留学を希望されているのですか?」
「ええ、まぁ」
アレクセイに自分の許嫁の事情を説明するのが大変そうなので、ショウは笑って誤魔化す。
アレクセイ皇太子を見送って、ショウはヌートン大使と疲れましたねぇと書斎でレイテへの報告書を作成した。
「ショウ王子、前にマウリッツ外務次官にはプリウス運河を株式会社にしたらと提案されたのに、ローラン王国には国債を勧められたのですね。確かに金貨の鋳造を株式会社に任せられませんが、国債を引き受けるつもりで勧められたのですか」
「ローラン王国の税収や支出を査定してからの話ですね。何の裏付けも無い国債を買う者はいません。ローラン王国が償還期日に買い取れるとは限りませんから、次の国債を発行するしかなくなるかもしれませんね。本来は国債は有効な資金集めなのですが、今の冷え込んだ経済状態だとローラン王国は国債の利子だけでパンクしかねませんから、購入は父上やフラナガン宰相の判断に任せましょう」
「そこまで考えておられるのに、何故、国債の発行を勧めたのですか? まさか、許嫁を増やしたく無いからですか?」
「そんな事はありませんよ。ただ資金を貸すより、国債を購入する方が安全だと考えたのです。それにダカット金貨をクローネ金貨に改鋳して貰えると、交易も増えますからね。国債の発行で冷え切ったローラン王国に資金が導入されれば、少しは上向くかもしれませんよ」
焦ったショウの国債を発行するメリットの説明を疑わしそうにヌートン大使は聞く。
「なるほど、ショウ王子の御高説は拝聴いたしました。で、ミーシャ姫を許嫁になさるのですか?」
ヌートン大使が、兎を狩る狐のようにショウには思えた。
「お願いです、レイテにはこの件を報告しないで下さい。父上に知られたら大変な事になります」
本音を漏らしたショウに、やっぱりと溜め息をつく。
「駄目です、私はアスラン王に忠誠を誓っている大使なのですよ。自国の利益になりそうな話を報告しないだなんて、できるわけがありません」
強硬な態度のヌートン大使に、ショウは脅しをかける。
「なら、僕はエリカをユングフラウに置いてカザリア王国にいきます」
一瞬、ショウに置き去りにされたエリカの不機嫌の嵐に曝される自分を想像したヌートン大使だが、古狐は一ヶ月以上の滞在で一旦約束したのを反古に出来ない優しい性格を見抜いていた。
「どうぞお好きにして下さい。ショウ王子がユングフラウに帰られるまで、私と妻は避暑地のストレーゼンに退避しますから」
「そんなぁ! 侍女達と残されたエリカはどうなるのですか? 怒り狂うエリカをどう宥めれば良いのですか?」
駆け引きではヌートン大使を負かせないと気づいたショウは、情に訴える。
「今でも許嫁に振り回されているのです。アレクセイ皇太子の提案を、あまり好ましくないと書いて下さい。妹君を嫁に貰うと、国債を多く引き受けなくてはいけないから不利だと書きましょう」
ヌートン大使は報告書は自分で作成しますと、ショウを書斎から追い出した。
確かにアレクセイ皇太子の話の要件はダカット金貨だった。
同じ皇太子と王太子と言いながらも、二十七歳のアレクセイ皇太子と十四歳のショウでは経験の差が歴然としていたが、此方には古狐のヌートン大使が付いている。
ショウは、何故、アレクセイが駐イルバニア王国大使を同伴しなかったのか疑問を持った。
ヌートン大使にダカット金貨の粗悪な事を攻め立てられているアレクセイを、ショウは不審に感じる。アレクセイは自分よりは経験を積んでいるだろうが、東南諸島連合王国の大使館には生え抜きの外交官のヌートン大使が待ち構えているぐらいは承知しているだろうに、何故だろう。
ローラン王国の大使なら良い勝負になっただろうにと、一方的な話し合いになったのを傍観していたショウは、アレクセイは自国の大使すら信頼していないのだと気づいた。
ショウは、交渉はヌートン大使に任せていたので、あれこれ考えてしまう。ゲオルク前王の遺臣の整理が出来ていないのか? それとも、カザリア王国で育った皇太子に反発する勢力なのか? もしかしたら、敵国のイルバニア王国の王女と結婚したのも、反発材料になっているのかもしれないなど、後でヌートン大使に質問しようと、話し合いの終わるのを待っていたショウは、思いがけない展開に唖然とする。
「やはりダカット金貨は百ダカットを百クローネとは認めて貰えませんね。ここ数年のダカット金貨はクローネ金貨と同じ金の含有量なのですがね……」
「この数年のはそうでしょうが、出回っている粗悪なダカット金貨を回収して、やり直さない限り無理ですね」
アレクセイとの話し合いに引導を渡したヌートン大使は、やれやれとお茶でも如何ですかと尋ねた。
「やはりそういう結論になりますね。私もダカット金貨は、国際通貨として役に立たないと考えています。前のクローネ金貨にやり直したいと思っているのです」
侍女にお茶のサービスをさせようとしていたヌートン大使は、わざわざアレクセイ皇太子が大使館を訪ねて来たのは、この件だったのだと座り直した。
「それには莫大なコストが掛かりますよ。まさか国内の百ダカット金貨を五十クローネ銀貨と両替はできないでしょう」
冬には餓死者が出かねない貧困しきっているローラン王国に、そんな資金がある訳がないと大使とショウは困惑する。
「しかし、このままではローラン王国は交易が出来なくなってしまいます。その莫大な資金を東南諸島連合王国に貸して頂きたいと、申し込みに来たのです」
「なんで、我が国がローラン王国のダカット金貨のクローネ金貨への改鋳の資金を、貸さなくてはいけないのですか? 奥方の実家であるイルバニア王国に頼むならいざ知らず」
ヌートン大使に一笑にふされて、アレクセイは思いがけない提案をした。
「我が国とイルバニア王国の歴史をご存知でしょう。アリエナの実家から資金を借りるなど言ったら、家臣達は拒否反応を起こしてダカット金貨の改鋳の話し合いどころでなくなります。それにローラン王国としても、東南諸島連合王国に一方的に援助を申し込むのでは無く、借りるのだから利子をお払いします。それと私の妹のミーシャをショウ王子と婚姻して頂ければ、両国の友好関係の発展に役立つと思っています」
ショウは内心で、絶対的にいらない! と叫んでいたが、フラナガン宰相から外交の場で軽率な言動をしてはいけないと叩き込まれていたので、曖昧な反応しか示さなかった。ヌートン大使は動揺を上手く隠したショウ王子に合格点を付けて、アレクセイを攻めることにした。
「大変に失礼ですが、アレクセイ皇太子殿下には妹君がいらしたとは初耳ですが……」
カザリア王国のコンスタンス姫を皇太子妃にしていたルドルフ皇太子だったが、父王ルドルフに離婚させられて以来は独身だった筈だと、ヌートン大使は庶子の存在を知りながら意地の悪い指摘をする。
「ヌートン大使もご存知でしょう。父王は私達の母と離婚してから、二十数年も独身なのですよ。ミーシャは側室が産んだ庶子ですが、王が認知した私の妹です。本来なら側室を王妃に据えてミーシャを正式な王女にしても良いのですが、生憎亡くなっています。東南諸島連合王国は一夫多妻制なので、庶子でも平等に扱われると聞いてますが」
資金を借金しに来たのに、妹を押し付けるのかとショウはウンザリした。それに、これ以上、許嫁を増やしたくない!
「アレクセイ皇太子殿下、我が国は一夫多妻制ですので、妹君には慣れない後宮暮らしは無理だと思います。ダカット金貨の改鋳の資金ですが、ローラン王国は国債を発行される考えはありませんか? 国債なら我が国も買いやすいですし、イルバニア王国にも買って貰えるのではないですか?」
大人しくヌートン大使に話し合いを任せていたショウの発言に、アレクセイは驚いて国債の説明を求める。
「国債は名前の通り、国の借金です。今回はダカット金貨の改鋳の特別国債になりますね。一時的に税金では賄いきれない公共事業をする時に、国債を発行して資金を集め、毎年利子を国債の購入者に支払います。但し、あくまでも借金ですから、いつかは返さないといけませんけどね」
元々、借金に来たアレクセイは、返さないといけないのは承知している。
「国債かぁ……少し考えてみます。ショウ王子、ミーシャは暖かい国に嫁ぐのを楽しみしています。一度、ケイロンに訪ねてきて下さい」
にこやかなアレクセイに、諦めるつもりがないなと溜め息をつくショウだった。
今度こそ話し合いは終わったので、お茶を飲みながら雑談を始めたアレクセイとショウは、無難だし共通の話題のパロマ大学について話した。
「私は実質は半年しかパロマ大学に通っていませんから、アレクセイ皇太子殿下にお尋ねしたいと思っていたのです。パロマ大学は、女学生は聴講生だけなのでしょうか?」
メリッサが第一夫人を目指しているのなら、聴講生では無く、正式な留学生の方が良いのではと考えたのだ。
「私が知っている女学生は、聴講生が多かったですね。でも、男性しか学生になれないという規定は無い筈ですよ。大学生になると婚期が遅れるのを親が心配して、聴講生にさせるのでしょう」
十五歳で結婚するメリッサには一年しか独身時代が無いわけだが、ショウは結婚を遅くしても良いと思っていたし、結婚後も大学に通っても良いと考えていた。
「親を説得するのが大変なんですね~」
あのメルトを説得するのかぁと、ショウは溜め息をつく。
「どなたか身内のご婦人が留学を希望されているのですか?」
「ええ、まぁ」
アレクセイに自分の許嫁の事情を説明するのが大変そうなので、ショウは笑って誤魔化す。
アレクセイ皇太子を見送って、ショウはヌートン大使と疲れましたねぇと書斎でレイテへの報告書を作成した。
「ショウ王子、前にマウリッツ外務次官にはプリウス運河を株式会社にしたらと提案されたのに、ローラン王国には国債を勧められたのですね。確かに金貨の鋳造を株式会社に任せられませんが、国債を引き受けるつもりで勧められたのですか」
「ローラン王国の税収や支出を査定してからの話ですね。何の裏付けも無い国債を買う者はいません。ローラン王国が償還期日に買い取れるとは限りませんから、次の国債を発行するしかなくなるかもしれませんね。本来は国債は有効な資金集めなのですが、今の冷え込んだ経済状態だとローラン王国は国債の利子だけでパンクしかねませんから、購入は父上やフラナガン宰相の判断に任せましょう」
「そこまで考えておられるのに、何故、国債の発行を勧めたのですか? まさか、許嫁を増やしたく無いからですか?」
「そんな事はありませんよ。ただ資金を貸すより、国債を購入する方が安全だと考えたのです。それにダカット金貨をクローネ金貨に改鋳して貰えると、交易も増えますからね。国債の発行で冷え切ったローラン王国に資金が導入されれば、少しは上向くかもしれませんよ」
焦ったショウの国債を発行するメリットの説明を疑わしそうにヌートン大使は聞く。
「なるほど、ショウ王子の御高説は拝聴いたしました。で、ミーシャ姫を許嫁になさるのですか?」
ヌートン大使が、兎を狩る狐のようにショウには思えた。
「お願いです、レイテにはこの件を報告しないで下さい。父上に知られたら大変な事になります」
本音を漏らしたショウに、やっぱりと溜め息をつく。
「駄目です、私はアスラン王に忠誠を誓っている大使なのですよ。自国の利益になりそうな話を報告しないだなんて、できるわけがありません」
強硬な態度のヌートン大使に、ショウは脅しをかける。
「なら、僕はエリカをユングフラウに置いてカザリア王国にいきます」
一瞬、ショウに置き去りにされたエリカの不機嫌の嵐に曝される自分を想像したヌートン大使だが、古狐は一ヶ月以上の滞在で一旦約束したのを反古に出来ない優しい性格を見抜いていた。
「どうぞお好きにして下さい。ショウ王子がユングフラウに帰られるまで、私と妻は避暑地のストレーゼンに退避しますから」
「そんなぁ! 侍女達と残されたエリカはどうなるのですか? 怒り狂うエリカをどう宥めれば良いのですか?」
駆け引きではヌートン大使を負かせないと気づいたショウは、情に訴える。
「今でも許嫁に振り回されているのです。アレクセイ皇太子の提案を、あまり好ましくないと書いて下さい。妹君を嫁に貰うと、国債を多く引き受けなくてはいけないから不利だと書きましょう」
ヌートン大使は報告書は自分で作成しますと、ショウを書斎から追い出した。
1
お気に入りに追加
838
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる