6 / 19
第一章 やる気の無い喫茶店のオーナー
6 先ずは話し合いましょう!
しおりを挟む
「ねぇ、銀さんもこのままじゃあ嫌だろうし、私はこれから瑠美さんのお父さんに詳しい事情を聞いてくるよ」
「前に聞いたのでは?」
「それは、亡くなった原因だけだ。何故、瑠美さんに憑いたのかはわからないままじゃないか? 都さんの当時の生活や考え方を理解しないと、解決できないよ」
「そんな理詰めで解決できるとは思いません。今は営業中ですし、瑠美さんの父上も仕事中でしょう」
「それも、そうか」と政宗が座り直したので、銀狐はホッとしたが、瑠美はスマホを取り出してにっこりと笑う。
「あっ、それならパパに電話して家に帰って貰うわ」
「そんな事をしても良いのか?」
「大丈夫! パパは社長だから」
「なるほど、あの豪邸の持ち主だけあるよなぁ。じゃあ、早速!」
人生を舐めきっている政宗の唯一の趣味は、ミステリー小説を読む事と、探偵ごっこだ。子どもの頃は警察官になりたいと考えていたが、柔道だとか、フル装備でマラソンをしなくてはいけないと知って諦めたのだ。
「ちょっと政宗様……」
いつも怠惰な政宗がいそいそと瑠美と出ていくのを、銀狐は追いかけようとしたが、生憎と客が入ってきた。尊敬する正輝様が残した喫茶店を潰すわけにはいけない。
「いらっしゃいませ」と営業スマイルで客を席に案内する。
一方の政宗は、阪急電車に揺られながら、瑠美に都という伯母さんの事を聞き取り調査していた。
「私は都伯母さんのことなんて、何も知らないの。今回の件で初めて父にお姉さんがいたのを知ったぐらいなのですもの」
母親も若くして亡くなった夫の姉をよく知らなかった様子だったので、娘の瑠美が知るわけも無いだろうと頷く。
「では、1ヶ月前に何か君に憑くような原因があったのかな?」
「えっ、何? 私が気に障るような事をしたの?」
「いや、気に障るような事だとは限らない。でも、今までは美夜さんは君に憑いたりしなかったのに、1ヶ月前に急に憑いたのは何かあったのだと思う」
瑠美が、1ヶ月前ねぇと考えているうちに電車は芦屋駅に着いた。二人は、駅に出迎えに来ている黒塗りの高級車に乗り込む。
「こんな贅沢な暮らしをしているから、羨ましがられたのかな?」
「そんな事は無いと思うわ。だって、都伯母さんが亡くなられた頃は、バブルの絶頂期だったのよ。きっと、今以上に贅沢な暮らしをしていたと思うわ」
「バブルかぁ~! 良いなぁ」
バブルの頃ならあのビルを売り飛ばせば、一生働かなくても暮らしていけたかも? と怠け者の政宗は夢想する。その前に大叔父の唯一の遺言である『喫茶店を開け続けること』という壁がある事をスコンと忘れている。
「政宗さん、着きましたよ」お馬鹿な妄想をしていた政宗は、瑠美に声を掛けられて正気に戻る。
「贅沢な暮らしが原因ではないなら、やはり大学がポイントなのかな? でも、大学なら瑠美さんの父親だっていった筈だし?」
玄関でふかふかのスリッパに履き替えた政宗は、瑠美に応接室に案内して貰う。前に訪問した仏壇がある座敷とは違いモダンな造りになっている。
両親は入ってきた政宗を見て、少し眉を顰める。ぼんやりとしていた瑠美を元に戻してくれたのには感謝しているが、大学を休学して喫茶店でバイトしだしたり、この男に騙されているのではと、不信感を持っているのだ。
「瑠美? 緊急事態だと聞いたから帰ってきたのだか?」
「そうよ、だって私にとってはこれ以上の緊急事態は無いもの。政宗さんが都伯母さんの事を聞きたいんですって!」
常識ある社会人なら、会社が休みの日とか、夜に訪問して聞けば良いと思うだろうが、生憎と政宗は休日や夜は読書にあてたいと考えている。
「都さんは、希望の大学に行きたいと猛勉強されたと聞きましたが、その大学は瑠美さんの大学と同じなのですか?」
「いや、姉は国立大学に進学する事を願っていたのだ」
暗に、瑠美の頭とは出来が違うと言われて、ぷぅと膨れる。母親も、少し不満そうな顔をする。
「何か、都さんの写真とか日記とかありませんか? 何故、1ヶ月前に瑠美さんに憑いたのか? 理由がわかれば、説得できるかもしれません」
「日記? もし姉が書いていたとしても、そんな物は私の両親が始末したと思いますが、写真なら……物置にあるかもしれません」
ここで真面目に探偵を志す人間なら自分で物置を探索するのだろうが、政宗は両親と瑠美で探して下さいと言い切った。つくづく怠け者なのだ。
「一人だけ呑気なものね!」
豪華な応接室のソファーで、のんびりと単行本を読みながら待っていた政宗に、瑠美が苦労して探しだした都伯母さんのアルバムをつき出す。
「ああ、見つかったのですね」
両親と瑠美は白い目で眺めるが、政宗は全く気にしない。アルバムの写真を興味深そうに見ている。
「へぇ、少し瑠美さんに似ていますね。伯母と姪だから当然か……あれっ? この男性は?」
「男の人? パパの若い頃の写真じゃないの?」
「どれどれ? ああ、これはお姉さんの家庭教師をしていた人だと思うよ」
そう父親が言った途端、黒い影が大きくなる。さっきまで、ああだこうだと茶々を入れていた瑠美が、ぼんやりとして黙る。
「もしかして、この男の人が好きだったのですか?」
黒い影はブルブルと震える。どうやら、この家庭教師に恋心を抱いていたようだ。
「そんな呑気な質問をしないで、さっさと除霊をしてくれ!」
「まずいですよ! その言葉は禁句です。美夜さん、私は除霊はいたしません! 先ずは話し合いましょう!」
除霊! に反応してどす黒くなった影に向かって、政宗はまぁまぁと落ち着かせる。
「政宗さん、瑠美が……お願いします。どんなやり方でも構いませんから、元の瑠美に戻して下さい」
元の木阿弥になってしまったと、母親は反応が無くなった瑠美を心配する。
「この家庭教師が今何処にいるか、わかりますか? この人にも当時の事情を聞きたいのですが……」
「さぁ、多分、神戸大の学生だったと思うが、名前までは覚えてないな。あの当時、私は中学生だったから……」
「あなた! 子どもだったあなたが覚えてなくても、昔の使用人なら覚えているのではなくて? 家庭教師にお茶を出したりした筈ですもの」
「そうだなぁ……母が生きていた頃に働いていた松ちゃんなら覚えているかも? しかし、かなり高齢だからなぁ」
そんな年寄りが覚えているのか? 不安そうに連絡したが、意外と昔の事は詳しく記憶していた。
「都お嬢さんの家庭教師は、神戸大の学生さんで、えらいハンサムさんでしたわ。名前は、そう、そう、ご三家の橋さんと同じで幸男です。名字は何でしたかしら? 家は武庫之荘だったと思うのですけど……あっ、そうだわ! 武庫之荘の村山さんですわ! ゴロが良いと、都お嬢さんと笑ったのを思い出しました」
長々と姉の思い出話が続いたが、村山幸男という名前と武庫之荘に住んでいたことが判明した。
「村山幸男さんに会いたくて、瑠美さんに憑いたのですか?」
黒い影は微妙に揺れる。政宗も、昔はハンサムだった村山幸男も、中年のおじさんになっているだろうと首を捻る。
「村山幸男に会いに行かなくて良いのか? 今も武庫之荘に住んでいるか分からないが、何処にいようと探偵に探して貰うぞ」
政宗は、自分が探偵のつもりなので、他の探偵に調査させると言い出されて少し不満だ。それに、その初恋の相手に会いたくて瑠美に憑いたのか? との質問に影は微妙な反応しかしていない。
「やはり、1ヶ月前の瑠美さんの何らかの行動が美夜さんが憑く原因のような気がします。でも、この様子では聞けないし……ここは、ソバ粉のガレットしかないかもな」
銀狐が聞いたら怒りそうな発言だが、両親は「今すぐに行きましょう!」と車を手配する。
「前に聞いたのでは?」
「それは、亡くなった原因だけだ。何故、瑠美さんに憑いたのかはわからないままじゃないか? 都さんの当時の生活や考え方を理解しないと、解決できないよ」
「そんな理詰めで解決できるとは思いません。今は営業中ですし、瑠美さんの父上も仕事中でしょう」
「それも、そうか」と政宗が座り直したので、銀狐はホッとしたが、瑠美はスマホを取り出してにっこりと笑う。
「あっ、それならパパに電話して家に帰って貰うわ」
「そんな事をしても良いのか?」
「大丈夫! パパは社長だから」
「なるほど、あの豪邸の持ち主だけあるよなぁ。じゃあ、早速!」
人生を舐めきっている政宗の唯一の趣味は、ミステリー小説を読む事と、探偵ごっこだ。子どもの頃は警察官になりたいと考えていたが、柔道だとか、フル装備でマラソンをしなくてはいけないと知って諦めたのだ。
「ちょっと政宗様……」
いつも怠惰な政宗がいそいそと瑠美と出ていくのを、銀狐は追いかけようとしたが、生憎と客が入ってきた。尊敬する正輝様が残した喫茶店を潰すわけにはいけない。
「いらっしゃいませ」と営業スマイルで客を席に案内する。
一方の政宗は、阪急電車に揺られながら、瑠美に都という伯母さんの事を聞き取り調査していた。
「私は都伯母さんのことなんて、何も知らないの。今回の件で初めて父にお姉さんがいたのを知ったぐらいなのですもの」
母親も若くして亡くなった夫の姉をよく知らなかった様子だったので、娘の瑠美が知るわけも無いだろうと頷く。
「では、1ヶ月前に何か君に憑くような原因があったのかな?」
「えっ、何? 私が気に障るような事をしたの?」
「いや、気に障るような事だとは限らない。でも、今までは美夜さんは君に憑いたりしなかったのに、1ヶ月前に急に憑いたのは何かあったのだと思う」
瑠美が、1ヶ月前ねぇと考えているうちに電車は芦屋駅に着いた。二人は、駅に出迎えに来ている黒塗りの高級車に乗り込む。
「こんな贅沢な暮らしをしているから、羨ましがられたのかな?」
「そんな事は無いと思うわ。だって、都伯母さんが亡くなられた頃は、バブルの絶頂期だったのよ。きっと、今以上に贅沢な暮らしをしていたと思うわ」
「バブルかぁ~! 良いなぁ」
バブルの頃ならあのビルを売り飛ばせば、一生働かなくても暮らしていけたかも? と怠け者の政宗は夢想する。その前に大叔父の唯一の遺言である『喫茶店を開け続けること』という壁がある事をスコンと忘れている。
「政宗さん、着きましたよ」お馬鹿な妄想をしていた政宗は、瑠美に声を掛けられて正気に戻る。
「贅沢な暮らしが原因ではないなら、やはり大学がポイントなのかな? でも、大学なら瑠美さんの父親だっていった筈だし?」
玄関でふかふかのスリッパに履き替えた政宗は、瑠美に応接室に案内して貰う。前に訪問した仏壇がある座敷とは違いモダンな造りになっている。
両親は入ってきた政宗を見て、少し眉を顰める。ぼんやりとしていた瑠美を元に戻してくれたのには感謝しているが、大学を休学して喫茶店でバイトしだしたり、この男に騙されているのではと、不信感を持っているのだ。
「瑠美? 緊急事態だと聞いたから帰ってきたのだか?」
「そうよ、だって私にとってはこれ以上の緊急事態は無いもの。政宗さんが都伯母さんの事を聞きたいんですって!」
常識ある社会人なら、会社が休みの日とか、夜に訪問して聞けば良いと思うだろうが、生憎と政宗は休日や夜は読書にあてたいと考えている。
「都さんは、希望の大学に行きたいと猛勉強されたと聞きましたが、その大学は瑠美さんの大学と同じなのですか?」
「いや、姉は国立大学に進学する事を願っていたのだ」
暗に、瑠美の頭とは出来が違うと言われて、ぷぅと膨れる。母親も、少し不満そうな顔をする。
「何か、都さんの写真とか日記とかありませんか? 何故、1ヶ月前に瑠美さんに憑いたのか? 理由がわかれば、説得できるかもしれません」
「日記? もし姉が書いていたとしても、そんな物は私の両親が始末したと思いますが、写真なら……物置にあるかもしれません」
ここで真面目に探偵を志す人間なら自分で物置を探索するのだろうが、政宗は両親と瑠美で探して下さいと言い切った。つくづく怠け者なのだ。
「一人だけ呑気なものね!」
豪華な応接室のソファーで、のんびりと単行本を読みながら待っていた政宗に、瑠美が苦労して探しだした都伯母さんのアルバムをつき出す。
「ああ、見つかったのですね」
両親と瑠美は白い目で眺めるが、政宗は全く気にしない。アルバムの写真を興味深そうに見ている。
「へぇ、少し瑠美さんに似ていますね。伯母と姪だから当然か……あれっ? この男性は?」
「男の人? パパの若い頃の写真じゃないの?」
「どれどれ? ああ、これはお姉さんの家庭教師をしていた人だと思うよ」
そう父親が言った途端、黒い影が大きくなる。さっきまで、ああだこうだと茶々を入れていた瑠美が、ぼんやりとして黙る。
「もしかして、この男の人が好きだったのですか?」
黒い影はブルブルと震える。どうやら、この家庭教師に恋心を抱いていたようだ。
「そんな呑気な質問をしないで、さっさと除霊をしてくれ!」
「まずいですよ! その言葉は禁句です。美夜さん、私は除霊はいたしません! 先ずは話し合いましょう!」
除霊! に反応してどす黒くなった影に向かって、政宗はまぁまぁと落ち着かせる。
「政宗さん、瑠美が……お願いします。どんなやり方でも構いませんから、元の瑠美に戻して下さい」
元の木阿弥になってしまったと、母親は反応が無くなった瑠美を心配する。
「この家庭教師が今何処にいるか、わかりますか? この人にも当時の事情を聞きたいのですが……」
「さぁ、多分、神戸大の学生だったと思うが、名前までは覚えてないな。あの当時、私は中学生だったから……」
「あなた! 子どもだったあなたが覚えてなくても、昔の使用人なら覚えているのではなくて? 家庭教師にお茶を出したりした筈ですもの」
「そうだなぁ……母が生きていた頃に働いていた松ちゃんなら覚えているかも? しかし、かなり高齢だからなぁ」
そんな年寄りが覚えているのか? 不安そうに連絡したが、意外と昔の事は詳しく記憶していた。
「都お嬢さんの家庭教師は、神戸大の学生さんで、えらいハンサムさんでしたわ。名前は、そう、そう、ご三家の橋さんと同じで幸男です。名字は何でしたかしら? 家は武庫之荘だったと思うのですけど……あっ、そうだわ! 武庫之荘の村山さんですわ! ゴロが良いと、都お嬢さんと笑ったのを思い出しました」
長々と姉の思い出話が続いたが、村山幸男という名前と武庫之荘に住んでいたことが判明した。
「村山幸男さんに会いたくて、瑠美さんに憑いたのですか?」
黒い影は微妙に揺れる。政宗も、昔はハンサムだった村山幸男も、中年のおじさんになっているだろうと首を捻る。
「村山幸男に会いに行かなくて良いのか? 今も武庫之荘に住んでいるか分からないが、何処にいようと探偵に探して貰うぞ」
政宗は、自分が探偵のつもりなので、他の探偵に調査させると言い出されて少し不満だ。それに、その初恋の相手に会いたくて瑠美に憑いたのか? との質問に影は微妙な反応しかしていない。
「やはり、1ヶ月前の瑠美さんの何らかの行動が美夜さんが憑く原因のような気がします。でも、この様子では聞けないし……ここは、ソバ粉のガレットしかないかもな」
銀狐が聞いたら怒りそうな発言だが、両親は「今すぐに行きましょう!」と車を手配する。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる