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「あの話は本当なのですか?」
「さあ?」
とぼけた振りをして、昨日の出来事を思い出す。母親から呼び出され、渡された物は前のイレイナが使った魔道具。
それに触れると、今まで抜けていたイレイナの記憶を思い出した。あの日、何があったのか針先少しも逃さず受け入れる。
15歳の時に、魂の入れ替わりが出来る魔法陣が子供たちの中で流行した。魔法がある世界で、魂の入れ替わりが出来るのかと言うと正直に難しい。しかし、今の身体に執着がなく魂と密着していないという条件で出来てしまう。
大抵は失敗して黒炭になるが、とある天才が魔法陣を作り出し子供たちに販売をした。
イレイナとラリエットは、当時別々の場所にいたが同じ日に入れ替わりをしている。この日、ラリエットは亡くなってしまいお医者様を呼んでいる最中だった。生き返った娘に驚き、家族は気持ちが悪くなり距離をとった。
3年間の間に発売禁止されたが、実際に魂が交換されたと訴えられたことはない。
私はただラリエットに彼女の物を渡しただけだ。普通なら魂の交換なんて思いつきもしないだろう。
ラリエットと会ってから、数ヶ月後。私達はたまたまパーティーでばったり会った。彼女は長かった髪の毛を短くし、今までの鬱々した表情は消えている。
「アロマ様、この前の事は本当に申し訳ございませんでした」
「一体どうしたの?前と雰囲気が違うけれど」
「前世の記憶を思い出したんです。ここは小説の世界で、ジャスティン様と恋人になるヒロインが私だって」
「へ、へぇ」
「あの、これ以上は関わりません。どうか、一度だけお慈悲を頂けませんか?」
頭を下げられどうしようか考えていると、ジャスティンが丁度近くまでやってきた。あの顔がぐしゃぐしゃになっている姿を想像しただけで、胸の奥が熱くなる。
「近くにいるだけで、あの人発情するけれど」
「いえ、媚薬を使って襲わせてください」
またバレた時のことを考えると、一瞬悩んだけれど欲望に染まってしまう。
媚薬は今日は持ってきていない。しかし、似たような味付けをしたらジャスティンが反応する。
息を短く吸うとジャスティンの横を通り過ぎる。
█ █ █
数ヶ月後、旅行に出掛けた先で幸せそうな顔をしたラリエットが歩いていた。大きなお腹は明らかに妊娠している。彼女は叔父夫婦の元で、今は過ごしていてひとりで子供を産むことに決めた。
ラリエットの兄は、以前と違い真面目に生活をしている。
そんな彼から届いた手紙とラリエットからの手紙を見比べた。
「兄が自分になりたがっていたなんて、知らなかったなんて。運命って残酷よね」
ため息をつくとジョンの下半身に手を伸ばす。これからの人生、イレイナとして私は生きていくが満足している。
魔道具は使いすぎて壊れたらしく、もう戻れないと助けを求められた。
自分の人生で納得していれば、こんなことにならなかったのに。
「さあ?」
とぼけた振りをして、昨日の出来事を思い出す。母親から呼び出され、渡された物は前のイレイナが使った魔道具。
それに触れると、今まで抜けていたイレイナの記憶を思い出した。あの日、何があったのか針先少しも逃さず受け入れる。
15歳の時に、魂の入れ替わりが出来る魔法陣が子供たちの中で流行した。魔法がある世界で、魂の入れ替わりが出来るのかと言うと正直に難しい。しかし、今の身体に執着がなく魂と密着していないという条件で出来てしまう。
大抵は失敗して黒炭になるが、とある天才が魔法陣を作り出し子供たちに販売をした。
イレイナとラリエットは、当時別々の場所にいたが同じ日に入れ替わりをしている。この日、ラリエットは亡くなってしまいお医者様を呼んでいる最中だった。生き返った娘に驚き、家族は気持ちが悪くなり距離をとった。
3年間の間に発売禁止されたが、実際に魂が交換されたと訴えられたことはない。
私はただラリエットに彼女の物を渡しただけだ。普通なら魂の交換なんて思いつきもしないだろう。
ラリエットと会ってから、数ヶ月後。私達はたまたまパーティーでばったり会った。彼女は長かった髪の毛を短くし、今までの鬱々した表情は消えている。
「アロマ様、この前の事は本当に申し訳ございませんでした」
「一体どうしたの?前と雰囲気が違うけれど」
「前世の記憶を思い出したんです。ここは小説の世界で、ジャスティン様と恋人になるヒロインが私だって」
「へ、へぇ」
「あの、これ以上は関わりません。どうか、一度だけお慈悲を頂けませんか?」
頭を下げられどうしようか考えていると、ジャスティンが丁度近くまでやってきた。あの顔がぐしゃぐしゃになっている姿を想像しただけで、胸の奥が熱くなる。
「近くにいるだけで、あの人発情するけれど」
「いえ、媚薬を使って襲わせてください」
またバレた時のことを考えると、一瞬悩んだけれど欲望に染まってしまう。
媚薬は今日は持ってきていない。しかし、似たような味付けをしたらジャスティンが反応する。
息を短く吸うとジャスティンの横を通り過ぎる。
█ █ █
数ヶ月後、旅行に出掛けた先で幸せそうな顔をしたラリエットが歩いていた。大きなお腹は明らかに妊娠している。彼女は叔父夫婦の元で、今は過ごしていてひとりで子供を産むことに決めた。
ラリエットの兄は、以前と違い真面目に生活をしている。
そんな彼から届いた手紙とラリエットからの手紙を見比べた。
「兄が自分になりたがっていたなんて、知らなかったなんて。運命って残酷よね」
ため息をつくとジョンの下半身に手を伸ばす。これからの人生、イレイナとして私は生きていくが満足している。
魔道具は使いすぎて壊れたらしく、もう戻れないと助けを求められた。
自分の人生で納得していれば、こんなことにならなかったのに。
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