本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。

シェルビビ

文字の大きさ
上 下
10 / 12

10

しおりを挟む
 射精師を辞め、お金があるうちに家の契約をした。勤めていた期間が長かったからか、退職金も多く貰えたからだ。

 今の私は可愛い制服を着て、喫茶店の店員をしている。元射精師とすぐにバレたら何故か採用された。

 初日からメニューを全部覚えて、気合を入れ一週間が経った。お客様に顔を覚えて貰い、すっかり看板娘になっている。

「いらっしゃいませ」

 水色のストライプ柄のメイド服を着て、お客様を迎える。目の前に驚いた顔をしたイースがいた。

「おい、ユニス。どういう事だ」
「ユニちゃん。あのお客さんと知り合い?たまにいるんだよね。プレイ目的で、うちの制服を着させたくて彼女を雇わせるの」
「ち、違います。彼女じゃないですし、そもそも職場を辞めたから縁が切れた人です」

 そう言っているのに、疑いの眼差しを向けられる。人に見られるのは好きじゃないけれど、ここのお給金は高いし魅力的だ。辞める訳にはいかない。

「メイドがやりたいなら、うちで雇ってやる。ここは今日で辞めなさい。ここの2倍は出してやる」
「ははっ、ユニちゃんは試用期間中だから、本採用になれば5倍の給金が出せるが」

 正直に申し出はありがたいけれど、イースの側にいるということは射精師の事を思い出してしまう。後、本採用で高くなる給金は魅力的だ。

「職場を辞めたのに、なんでここにいるんですか」
「届出は出されてない。今は病気で休んでいる事になっている。とにかく、一度話を聞きたい。店主、ユニスだが制服を買い取らせて辞めさせて貰う」
「射精師の子たちは、仕事が嫌になるとここに働きに来る。また働きたくなったら、ここに来なさい。後、いつも通り制服代は、魔術師団に請求しておく」

 話があっという間に終わってしまい、制服を脱いで着替えるとイースが家まで送ってくれる。

「制服が可愛かったのに。結構チップだって貰っていたし」
「喉が渇いたな」
「送ってくれたお礼に水を飲ませますよ。どうぞ」
「それは家に誘っていると受け止めていいんだな」
「ええ、どうぞ。何も無いですが」

 本当に何もない家で恥ずかしくなる。こんなに格好いいイースとの接点何て、前世では考えられないくらいだ。射精師の仕事をしてなかったら、絶対に近くで話す事はなかっただろう。

 前世の仕事だって自信を持ってやっていた。射精師だって立派な仕事だ。それなのに、どうして恥ずかしいと思ってしまったんだろう。

「ユニス?」
「お水の用意ですね。コップ、一つしかないので」

 注いだコップを手渡すと、先にお前が飲めと拒否される。毒でも入っていると思われたのだろう。私は何処に行っても信用されなくて、何処に行っても嫌われる。

 こういう時には、前世で読んだスパダリ系男子なら襲い掛かって来るもんでしょう。魅力がないから、襲ってくれないんだ。

 水なんて物語の導入部。普通は間違ってかけてくれるもんでしょう。
 みたいに――。

「わたし、普通の恋愛がしたいんです」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

処理中です...