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「凄い、人間の身体ってこうなっているんだ」

 新人が辞めた後でも、私達は仕事をこなす。事務仕事の傍ら、他国から仕入れた本を読み解き、次の行為で使うネタを集めている。

「男の人の気持ちがいいところの中に、お尻の中にある前立腺って書かれているわ」
「お尻の中に気持ちがいいところがあるなんて、男の人って不便ね」
「魔術師の人達って、どんな前立腺をしているんだろう」

 そんなことを話していると、所長が帰ってきた。女性魔術師を相手にしてきたためか、疲れ切っている。射精師は女性も相手にする事があり、何度も達する為に体力勝負の部分がある。

 初めて女性の魔術師の研修に入った時は、見ているだけだったけれど、疲れてしまった。睾丸の子種が空っぽになったら、終わってしまう男性と違って、女性は行為の時間が長い。子宮が悲鳴をあげるまで気持ちよくさせても、次の日には元気になっている。

 だから、熟練したおじさんしか相手に出来ない。
 射精師が定着しないのは、これも原因の一つだ。

「業務連絡。また魔術師の付き纏いが発生した。魔術師団の団長にも伝えているが、帰りに注意をするように」
「もしかして、入団の時に童貞じゃないと嘘ついたんですか?」
「射精させるのは仕事であって、恋愛するなら普通の人がいいです」

 射精師になって何度も聞いた報告は、いつまで経っても慣れそうにない。射精師という仕事柄、どうしても恋愛感情が芽生えてしまう。人間の本能や弱い部分を丸見えにさせているからだろう。今の所長になるまでは、射精師が付き纏っていたと報告されていたが、実際の所は射精させた魔術師や騎士が付き纏っていた。
 射精師は口が堅い人が多く、聞き込みをすると、非力な自分が勝てないからと退職をした人も少なくない。

「正直なのは、おちんちんだけにしてほしいですね」
「本当にそう。仕事の迷惑になるから止めて欲しいわ。そうだわ。前立腺を虐めましょう」
「虐めるのはやめなさい。これから問題が解決するまで、射精回数を増やす事で同意を得た。我々を怒らせたらどうなるか、躾けねばならぬ」

 所長の目が本気になっている。手足に着けた重りを外した所長は、手が触れる前に気持ちよくさせる事が出来る。覇気だけで妊娠させられてしまうと錯覚してしまう。

 この時の私は、射精師として誇りを持っていたし、給料も高いから辞める事なんて考えていなかった。
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