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12.お金の行方

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 私の騎士団長のイメージは、高潔で弱者に優しく人々を守るイメージだった。凱旋パレードの先頭に立ち、子供も大人も憧れの視線を送る。

 夜の方も甘く優しいと大衆小説に書かれていて、ラシエルの調査をした時にがっくりしていた。どれもこれもエッチな事に興味が薄い騎士団長が、女性に花を贈ったり襲われそうになったら助ける作品ばかり。

『騎士団長って性欲が薄いのね。もうあの頃のラシエルじゃないのかな』

 調査書には女関係がないどころか性行為もした事がないと書かれていた。あまりのショックで、私じゃない人と結婚をして幸せになって欲しいと願ったくらいだ。前のラシエルは15歳の時から性欲が強かったから、性欲が薄いラシエルが想像つかなかった。

 調査書を毎年受け取っては泣いていた。女性と付き合いそうな噂を聞くと陰ながらに応援し、そんな話が元々なかったと聞いた時なんてひっくり返った。もしかして、男色家?と周囲の人たちも思っていたらしく、ラシエルは女性に恵まれなかった。

 まさか今のように抱かれる事はないと思っていた。正常位で2回出した後、もう終わりの時間かと思って身体を休ませていた。最初だから無理をさせないだろう。休職中の騎士団長でも気をつかってくれる。そんなことを思っていたら、抱きしめられてお尻を持ち上げられた。中にぶすりと陰茎が差し込まれる。体重で身体が沈み彼のモノの先っぽが子宮口に当たり、身体にしがみつく。

「ずっと夢に見ていた子とセックスしています。俺のちんぽ気に入ってくれましたか?セックスの余韻に浸っている時に、快楽堕ちさせるといいって本に書いていました」

「!?」

「1年間だけセックスする関係なんて絶対に嫌です。赤ちゃん出来なくても一緒にいましょうね。中が痙攣して喜んでますね。俺も中に出したいけれど、体勢変えますね」

 彼のモノが抜けて、ベッドの上に置かれる。四つん這いにさせられると振り返った。

「この大きなお尻をみるたびに後ろから襲いたかった、凄い弾力、最高な気分だ」

 後ろから責められて足腰が立たなくなると、覆いかぶさり下に向かって刺激を始める。丁度子宮口と違う場所に当たり、気持ちが良すぎて膣が締まりそこを重点的に責められる。両手を握り締められて動きが速くなる。

「ラシエル、ラシエル……」

「ラシエルはここにいます。そろそろ中に出そう」

 前のラシエルは気をつかってくれて、朝昼晩2回ずつと小出しにしてくれた。体力が無尽蔵にある今のラシエルは5回目の射精を迎えても元気だ。むしろ絶好調になっている。

 エラが張った亀頭、陰茎に血管が浮き出て、重量感のある双嚢が威圧感を放っている。

 意識が落ちそうになると意識が覚醒し、ラシエルの行為を頑張って受け入れている。16歳で良かったと何度も思い、体力の限界を迎えた8回目の射精を受け入れて眠った。

 体力に自信があったが使う筋肉が違い過ぎる。

 ♢♢♢

 鼻に冷たい吐息を感じ、目を覚ますとジール様が枕元で眠っていた。お腹が頭に当たって心音が聞こえる。身体を動かそうとすると筋肉が悲鳴をあげる。

「小娘、丸一日眠っていたぞ。童貞改め筋肉が狼狽えていたが、気にしなくてもいい。暫くは身体を休めてそこにいろ。メイドを呼んで来てやろう」

「ありがとうございます。ジーク様」

 擦れたの声でお礼を言うとジーク様はドアから出て行く。やらかしてしまった。ラシエルがショックを受けていないか心配だった。

 身体を確認すると全身にキスの痕が残っていて、齧った痕は残っていなかった。回復師を呼んで早く痕を消して欲しい。俯せになって眠ろうとするとドアが静かに開き、静かにラシエルが入ってきた。視線だけ向けると相当怒られて絞られたのか、しょんぼりした犬のような姿だった。

「リーファ、大分無理をさせてしまいました」

「筋肉、グラスに水を注いで飲ませろ」

 ラシエルが口に水を含んだ瞬間、頭を抱えそうになった。

「おい、間違っても口移しで飲ませるな。弱った身体に口移しをして、風邪がうつって病気になったら赤ちゃんがどうなるか分かるだろう」

「は、はい、ジーク様。身体を起こします。リーファ」

 身体を起こされて水を飲むと久しぶりの水分に身体が潤った。ジーク様が鼻で笑うと堪え切れずにお腹を出して笑い声を出した。

「それにしても筋肉の性欲は強いな。うむ、オスの方が性欲が強い方がいい。メスも受け入れているから尚更いい」

「夢でもみているんじゃないですか?」

「私は夢なんて見ないのさ。ラシエルの事をちゅきちゅきと言っていたぞ。仲が良いのはいいことだ。筋肉、食事を持ってこい。身体に優しい食事がいい。勿論、私の食事も持ってこい」

 ラシエルが部屋から出て行くことを確認するとジール様は膝の上に乗った。彼の毛並みはとてもいい。撫でると笑い声をあげて、お腹に耳を当てる。少し微睡んでいるジーク様が、甘えるように身体を擦り付けた。

 可愛くて身体を撫でていると、ジーク様は少し切ない声を出してお願いをしてきた。

「小娘、手紙を代わりに書いてくれ。内容は、【いつも遊んでくれてありがとう。豚の名前はフラジール。お金を持たせるので一緒に食事を取って下さい。足腰の弱いおばあちゃんより】」

「ラシエルに頼めばいいじゃない。暫く休めとジーク様は言っていたじゃない」

 ため息をつくとジール様は不貞腐れてしまった。

「あいつも髭もママもお金はくれないし、理由を聞いてくる。頼む、銀貨多め銅貨少し混ぜて子袋に入れてくれ」

 ドアがノックされ、料理を持ってきたラシエルと一緒に食事を取った。ジール様がラシエルを見る視線は、何処か負の感情が混ざっている気がする。豚がラシエルを睨みつけ、私達は食事を食べ終わるとラシエルは私の側にいた。

 食事を食べた事で、立って歩けるくらい体調が良くなったので、ジール様に言われたものを用意し始めた。手紙を書こうと思ったら、便箋封筒がなくメイドにお願いをしようとしたがやめた。メモ書きに使っていた紙をハサミで切って、先ほどの内容を書き始めた。

「どうして、そのような物を用意するですか?」

「手紙の相手は身分が低い人よ。明らかに分かる便箋封筒を使っては萎縮されてしまうわ」

「小娘は気が利く。早くお金を寄越せ」

 カバンの中を勝手に開けたジール様は鼻先に子袋がついていた。試しに作って失敗した子袋は解れはないが、縫製が悪い。生地もガタガタで縫うのも上手くない。

「小さい時にラシエルにあげようと思って作ったガタガタの子袋だわ。うん、これを持っていけばいいじゃない」

「うむ、これは気軽に使えるな」

 子袋が一瞬で目の前から消えるとラシエルが手の中に握り締めていた。

「ダメだ! これは俺のモノだ!」

「小娘のパンティも盗み、子袋も盗んで何がしたい!早く返せ」

「だめだだめだ。これは俺がリーファから初めて貰った物になるんだ」

 押し問答をする二人の前にメイドさんが子袋を持ってきてくれて静かに立ち去った。ジール様が持てる量のお金を持たせると「重いから無理だ」と持たせられることになった。人数が多いから粗末なバスケットに食べ物を入れ、平民の服を着て指示された場所まで連れて行く。

 辿り着いた先は裕福な平民たちが暮らす住宅街から離れたあばら家。スラム街に近い場所で中に誰かがいた。
 ドアを一定のリズムで鳴らすと外に出てきた女性。その姿をみて私は驚いた。

「メル・クイード……」

 前の世界でわたしを裏切ったかつての親友は、頬がコケてやせ細った身体になっていた。
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