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女神の寵愛

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 朝目が覚めるとスッキリしていた。身体の倦怠感がなくなり気分もいい。

 ユリウスは自分のベットの上で背伸びをして手をおろしてシーツに触れた。ぬるっとしたモノに触れて布団を捲るとそこには誰かとした行為の跡が残っていた。手を伸ばして匂いを嗅いでみると血と精子の匂い……。

 やってしまった。

 ユリウスは頭の中で叫び声を上げた。口に出さなくてよかったと思っている。どうしてこんなことになったのだろうか。日頃から疲れていたので、疲労回復に効果的なポーションがあると聞いてお店に行った。購入して飲んだ時から記憶がない。

 抱いた女性の感覚はあるが幸福感で満ち溢れる最高の行為だったと思い出せる。女性の顔も名前も覚えていない。どうして行為をしたのだろう。もしかして自分に気があるのでは、と思ったが妊娠して責任を取らせるためだと考えた。

 王国騎士団の騎士の周りには、騎士の花嫁になりたいものや爵位にしか興味がない令嬢が集まってくる。女の汚い部分を嫌と言う程見せられたユリウスは女性に興味がなくなった。伯爵令息の彼の元にも令嬢が来たが、次男ということもあり肩をすかして立ち去る令嬢も多かった。

 テーブルを見て見ると空になった小瓶が置かれていた。
 相手は空気が読める女性のようだ。避妊薬を飲んでから行為をしたのだと思われる。この子瓶を飲んだということは、子供が出来たとしても自分の子供じゃないと否定できる証拠の品になると聞いたことがある。

 相手の子は好きでもない男に抱かれて良かったのか。
 何もしないまま返しても良かったと思っても、もう遅い。

 相手の子が何者か分からない。


……それにしても凄い回数をやったのか色々と凄いことになっていた。

 ♢

 定期的に神殿に行き、呪いがかかっているか加護がなくなっているか確認することになっている。人が気がつくくらいの事ならすぐに行くが、そうじゃない場合は1か月に1回診断に行くことになっている。

 行為が行ってから1週間後、診断に行くことになっていたので集団で行くことになった。

 神殿の中に入るといつも以上に騎士団の者たちは頭を下げられた。神殿にいる鑑定出来る神官はいつもふんぞり返っているのに、騎士団の元に歩いてやってきた。

 珍しいものを見るようにジロジロ見ると、側にいた下級神官を呼び、普段騎士団の前に現れない教皇まで出てきた。

 紙を見ると名前を呼ばれる

「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」

 神殿の中でも一部の人間しか入れない最も神聖な場所になる光の間。神聖力を溜めることが出来る宝石はかつては輝きに満ちていたが、ここ数年で光は小さくなっている。
 薄暗い光の間に騎士団は案内された。

 普段とは違う場所に戸惑うがたまに案内されると他の騎士が言っている。

 名前を呼ばれて宝石に手をかざして見ると、小さな光だったのに周りの人たちが目を閉じてしまうほど輝きだした。

「目が目がぁぁぁぁ」
「素晴らしい光ですな、なくなると思っていたのに光が補充されて喜ばしいことです。女神の寵愛を授かりし騎士様ありがとうございます。」
「相手の男性か女性はどちらにいるのでしょう?」

 先に男性と言われて、男とやったと思われているが、それどころではない。ユリウスは女神から寵愛されることは何もしていないのだ。

「女神から寵愛されるにはどのような事をするんですか?」
「騎士様たちは存じませんか、失礼しました。子作りですよ。簡単に言うと交尾をすることです。」
「こづくり、こうび」

 心当たりはある。しかし相手が分からない。ユリウスは頭がいっぱいになってしまった。

「今まで文献で見たことがあるのは、女神から愛されたものや女神の化身か女神が処女を捧げたときに寵愛されると言われております。女神もモノが付いているときがあるので、入れられたのかもしれません。モノが付いていると嫉妬深い女神になるので浮気は出来ませんね。」

「で、どなたと交尾したのですか?」

「ユリウス怒らないから答えて見ろ」

「覚えておりません。」

 この後当日の事を細かく聞かれて相手を探すことになった。

 私服で意識がなくなった場所に行くと声をかけられた。

「あんた大丈夫かい?この前路地裏で体調悪くしていたけれど」

 何故路地裏に行くことがあるのだろうか。目の前の恰幅のいい女性が色々教えてくれた。介抱してくれた相手の事も教えてくれたので会いに行くことになった。

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