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平和な日常
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「==様最高!」
騎士団のファンクラブの集まりで、それぞれの推しについて話し合っていた時に思わず口に出してしまったファンがいた。皆頭抱えて、愛してると呟いている。
ユスティーナ公国では騎士団があり、王族や要人を守る第一騎士団、街を守る第二騎士団、魔獣討伐をする第三騎士団がある。どの騎士団も国を守ってくれる尊い騎士たちだ。騎士団を支えるために、100年前から公式の支援団体があり、非公式で騎士団ファンクラブと呼ばれている。
「うちの母も伯爵家推しで親子3代で同じなんです。」
「ああ、もっと近くで見たいわ」
「そうです、騎士の皆さんとお近づきになりたいですわ」
どの令嬢もうっとりしていた。騎士団の皆さんに近づくことなんてファンとしては絶対にしてはいけない。緊急時を除いては!これが鉄則の元動いている。
ファンクラブに所属するために年会費も支払い、集まりにも参加している。上位貴族の人たちはパーティーを開いて、騎士団長も呼んでいるらしい。たまに自慢しに来るのだが、平民や下級貴族である私たちにもしてくれる。
自慢話を聞き飽きている夫人たちは、お腹いっぱいなのだが聞いたこともない話でドキドキして反応のいい私たちを可愛がってくれるので大満足。お互いウィンウィンの関係なのだ。
今日の集まりは最近怪しい怪しい薬が出回っているという話だ。
「騎士達の純潔を散らすわけにはいかないわ!犯人は見つけ次第報告よ!」
「媚薬で意識もちょっと残って罪悪感を残すから注意が必要よ。か弱い私たちが騎士に勝てないからね!」
「もし襲われたとしたら緊急避妊薬飲んでね。こういう事で結婚迫ってもいい事にはならないから」
集まりに参加して対策を聞いて、この日は解散になった。ファンクラブの集まりには支援団体が作った屋敷を使わせてもらっている。
「サラは推しがユリウス様なの?」
「ええ、生涯ぶれないと思うわ。遠くから見ているだけでいいの。幸せだから」
「もし襲われたとしたら?」
「ジーニャはどうなの?」
ジーニャは黒髪の癖っ毛を結って紫の瞳をしている。ジーニャはサラと同じ平民だが魔法が使える。魔法はこの世界で皆普通に使えるが、たまにサラのように使えないものもいる。かといって不便なことは何もない。上位貴族は拘る人がいるけれど、平民たちにとっては使えない人も多数いる。
「襲われたことで脅迫して迫るかな」
「私は多分逃げるわ。だって貴族で騎士だよ。絶対に消されるわ。それに印象に残らない女なんて抱きたいと思わないわ」
サラは金髪で薄紫の瞳をジーニャに向けて話していた。サラの見た目はありきたりで平々凡々だった。金髪もありきたり、薄紫色の瞳だけは目立つが普段は目の色を変化させる指輪や眼鏡で隠している。指輪は魔力がなくなり効果がなくなったので眼鏡で誤魔化している。指輪は左手の薬指にはめている。そこしかハマらなかったからだ。
ジーニャと途中で別れて、サラは一軒家の前で立ち止まって鍵を取り出した。さっきの話を聞いて背後に警戒して家に入った。
中に誰もいなくてよかった。
ホッとして家の中に入り鍵を閉める。平民の両親が亡くなって両親が残してくれた家だ。この家のおかげでサラは何とか生きていけている。ユスティーナ公国では相続税がない。土地は借り地になり月々の代金を支払わないといけないがそれでも借りるより安い。
「伯爵令息か、近づくのも恐れ多い存在よ。」
マグカップにお茶を注いで冷めるまで待っているときに、ユリウス様の隠し撮り写真を眺めていた。ファンクラブの集まりで貰った写真だ。遠くからなのでドアップとはいかないが、軍馬に乗った凛々しい姿だった。確かこの時は彼の所属する第三騎士団が討伐で功績をあげたときだった。
多分、あの時からユリウスが好きになったのだ。
日の光が当たり輝く茶色の髪の毛に緑色の瞳。顔を強張らせているが時々ふにゃっとした顔つきになるのが堪らなかった。騎士服の正装を着た彼の姿に視線が離せなくなった。
初めて見てから4年、彼は予想以上の凛々しい姿になった。出会った時の少年のような姿ではない。剣を振い勇敢に戦う男性になったのだ。
(あの手に触れられたら堪らないだろうな……。)
いかがわしい想像が頭に浮かぶと頭を振った。伯爵令息ともなるとモテるだろう。名門貴族なら選びたい放題。
(遊んでくれないかな。また厭らしい妄想が止まらない。今日は外食にしよう。何だかお酒が飲みたい気分)
サラのこの選択が運命を変えることになった。
騎士団のファンクラブの集まりで、それぞれの推しについて話し合っていた時に思わず口に出してしまったファンがいた。皆頭抱えて、愛してると呟いている。
ユスティーナ公国では騎士団があり、王族や要人を守る第一騎士団、街を守る第二騎士団、魔獣討伐をする第三騎士団がある。どの騎士団も国を守ってくれる尊い騎士たちだ。騎士団を支えるために、100年前から公式の支援団体があり、非公式で騎士団ファンクラブと呼ばれている。
「うちの母も伯爵家推しで親子3代で同じなんです。」
「ああ、もっと近くで見たいわ」
「そうです、騎士の皆さんとお近づきになりたいですわ」
どの令嬢もうっとりしていた。騎士団の皆さんに近づくことなんてファンとしては絶対にしてはいけない。緊急時を除いては!これが鉄則の元動いている。
ファンクラブに所属するために年会費も支払い、集まりにも参加している。上位貴族の人たちはパーティーを開いて、騎士団長も呼んでいるらしい。たまに自慢しに来るのだが、平民や下級貴族である私たちにもしてくれる。
自慢話を聞き飽きている夫人たちは、お腹いっぱいなのだが聞いたこともない話でドキドキして反応のいい私たちを可愛がってくれるので大満足。お互いウィンウィンの関係なのだ。
今日の集まりは最近怪しい怪しい薬が出回っているという話だ。
「騎士達の純潔を散らすわけにはいかないわ!犯人は見つけ次第報告よ!」
「媚薬で意識もちょっと残って罪悪感を残すから注意が必要よ。か弱い私たちが騎士に勝てないからね!」
「もし襲われたとしたら緊急避妊薬飲んでね。こういう事で結婚迫ってもいい事にはならないから」
集まりに参加して対策を聞いて、この日は解散になった。ファンクラブの集まりには支援団体が作った屋敷を使わせてもらっている。
「サラは推しがユリウス様なの?」
「ええ、生涯ぶれないと思うわ。遠くから見ているだけでいいの。幸せだから」
「もし襲われたとしたら?」
「ジーニャはどうなの?」
ジーニャは黒髪の癖っ毛を結って紫の瞳をしている。ジーニャはサラと同じ平民だが魔法が使える。魔法はこの世界で皆普通に使えるが、たまにサラのように使えないものもいる。かといって不便なことは何もない。上位貴族は拘る人がいるけれど、平民たちにとっては使えない人も多数いる。
「襲われたことで脅迫して迫るかな」
「私は多分逃げるわ。だって貴族で騎士だよ。絶対に消されるわ。それに印象に残らない女なんて抱きたいと思わないわ」
サラは金髪で薄紫の瞳をジーニャに向けて話していた。サラの見た目はありきたりで平々凡々だった。金髪もありきたり、薄紫色の瞳だけは目立つが普段は目の色を変化させる指輪や眼鏡で隠している。指輪は魔力がなくなり効果がなくなったので眼鏡で誤魔化している。指輪は左手の薬指にはめている。そこしかハマらなかったからだ。
ジーニャと途中で別れて、サラは一軒家の前で立ち止まって鍵を取り出した。さっきの話を聞いて背後に警戒して家に入った。
中に誰もいなくてよかった。
ホッとして家の中に入り鍵を閉める。平民の両親が亡くなって両親が残してくれた家だ。この家のおかげでサラは何とか生きていけている。ユスティーナ公国では相続税がない。土地は借り地になり月々の代金を支払わないといけないがそれでも借りるより安い。
「伯爵令息か、近づくのも恐れ多い存在よ。」
マグカップにお茶を注いで冷めるまで待っているときに、ユリウス様の隠し撮り写真を眺めていた。ファンクラブの集まりで貰った写真だ。遠くからなのでドアップとはいかないが、軍馬に乗った凛々しい姿だった。確かこの時は彼の所属する第三騎士団が討伐で功績をあげたときだった。
多分、あの時からユリウスが好きになったのだ。
日の光が当たり輝く茶色の髪の毛に緑色の瞳。顔を強張らせているが時々ふにゃっとした顔つきになるのが堪らなかった。騎士服の正装を着た彼の姿に視線が離せなくなった。
初めて見てから4年、彼は予想以上の凛々しい姿になった。出会った時の少年のような姿ではない。剣を振い勇敢に戦う男性になったのだ。
(あの手に触れられたら堪らないだろうな……。)
いかがわしい想像が頭に浮かぶと頭を振った。伯爵令息ともなるとモテるだろう。名門貴族なら選びたい放題。
(遊んでくれないかな。また厭らしい妄想が止まらない。今日は外食にしよう。何だかお酒が飲みたい気分)
サラのこの選択が運命を変えることになった。
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