完結 悪女の幼馴染の別れは公爵令息の溺愛の始まり~気弱令嬢で八方美人の悪女の幼馴染辞めました!~

シェルビビ

文字の大きさ
上 下
14 / 15

あの時と違う景色

しおりを挟む
「アビー結婚おめでとう」

 アビーの結婚相手はレーヴ侯爵様になった。前回は幼馴染と結婚して、浮気されたり借金されたりしていたから何としても阻止したくて躍起になっていた。

「お嬢様のおかげです」

 16歳で結婚した私の傍にいて励ましてくれたアビー。実家に兄弟が多いからと赤ちゃんの世話も率先的にしていた。姉というものが分からないけれどアビーを見ていればこんな感じなのかと理解できる。

 アビーは公爵家に入った時から色んな作法を勉強をさせてくれた。

「娘が2人いるようなものよ気にしないで」

 立派なレディーになったアビーは侯爵様に見初められて結婚した。彼は1回結婚したけれど、浮気されて別れてしまったみたいだった。とても素敵な方でこの世の中にこれほど美しい人がいるのかと感心した。

 馴れ初めは、服のお店に来ていた侯爵様を見たアビーが人形だと思って抱きしめて移動しようとした時だった。
 その頃公爵家ではリアルなマネキンに服を着せたら売り上げがいいのではと話していて、等身大人形を作っていたから勘違いしたのだった。

「すいません」
「ひいい!喋ったああああ。申し訳ございません!」

 土下座する勢いで謝っていた。

 このことが縁に繋がり結婚するまでに至った。

 侯爵様は最初誘うためにわざと抱き着いてきたと思っていたら一切誘ってこない。今まで自分に興味を示さない人間は初めてだ。外見だけで判断せず理想を押し付けない所がいいと言っている。

 侯爵家の屋敷で開かれた結婚式は、花屋敷と呼ばれた我が家で育てた花束を使ってくれた。

「はじめてお嬢様が出会ったときに作ってくれた花で、花の蜜を吸うと美味しいと言ってくれたのです。貴族だけれど庶民と同じ感覚なのだと仲良くなりたいと思いました。」

 アビーは結婚する時、我が家の養子になった。これで本当の姉になれたのだ。

 ♢

 あれから様々な事があって30歳になった。子供は4人も生まれて全員女の子だ。私はお店の事や領地の事で忙しい。今日も賑やかな公爵家では子供たちが踊り狂っている。遺伝子って恐ろしい。
 マリーゴールド家の両親は踊り狂っているのを見て一緒に踊っていた。

 アフィンは幼い顔つきから精悍で凛々しい顔つきになった。
 子供たちは金髪灼眼でアフィンに似ていた。

 金色のハリネズミのハンカチと人形をアフィンは持っていて、鷹が毛づくろいしている人形も大切に飾っている。

「ハリネズミってアリアの事だったんだ。似ているでしょう?」
「チクチク縫うところとか?」
「心を開くと可愛いところですよ」

 アフィンに話していないことがある。
 金色の糸は産まれた時から傍にいた蜘蛛が吐き出した糸で、蜘蛛は森の中に暮らしている事を。

 今度その蜘蛛の人形でも作ってみよう。子供たちも大喜びだ。

「ママ、パパとのなれそめ教えて~」
「そうね、話すわ。」

 今度産まれてくる子供にもお腹の中で聞かせてあげている。

 あのころと違う景色を私は見ている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている

五色ひわ
恋愛
 ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。  初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」

ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」 美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。 夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。 さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。 政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。 「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」 果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

処理中です...